おうち時間で美しく整える【第3回】男性にお腹を下す人が多いのはなぜなのか? 東洋医学から考える身体の不調《池野 龍弥》
「いつもお腹の調子が悪い」「病院に行ってもストレスでしょうといわれ診断名がつかない」など原因不明の下痢で悩む男性が増えています。第一線で活躍している芸能人や、トッププロアスリート、働き盛りのエグゼクティブ層が心身のメンテナンスに世界から集う鍼灸整体院「美整堂」の池野龍弥院長に、東洋医学から考えたお腹の不調についてお話を伺いました。
働き盛りの男性に下痢が多い
肩凝りや腰痛のケア、スポーツや仕事のパフォーマンス維持、美容など、クライアントが当院に通われる目的は様々です。それぞれ違う目的で施術を求めていらっしゃるのですが、よくよく話を聞くと、男性のクライアントにお腹が緩い方が多いことがわかりました。特に働き盛りのエグゼクティブ、バリバリと仕事をこなしている経営者層にとても多いのです。とはいっても、病院に行っても原因不明といわれるし、薬をもらいに病院に通い続ける時間もないからと、皆さん放置されています。実は、東洋医学の考え方を用いれば、お腹の不調の原因と解決法をとても簡単に説明することが出来るのです。
東洋医学の考え方は五行の「相生」「相克」
まず、知っていただきたいのは、東洋医学の考え方の根本は科学ではなく哲学にあるということ。人体のことで科学的に解明出来ないこと、数値では表せないことを説明する時に、東洋医学の考え方を用いるとわかりやすいと思います。
東洋医学の世界では、自然界は5つの物質で成り立っていると考えます。「木」「火」「土」「金」「水」の五行が時計回りに並んでいると思ってください。木が燃えて、燃えかすから土が生まれ、土が堆積して金属が生まれ、金属に結露して水が生まれ、水は木を育む──お互いが助け合っているのが円状の外周です。そして、星の形状に相対する場合は、一方を抑制する関係を表します。木が育ち過ぎると、土を痩せさせ、土が多いと、水の流れを堰き止め、水が増え過ぎると、火を消し、火が強過ぎると、金属を溶かし、金属は木を伐採する道具となる──じゃんけんのような関係です。この円と星の関係が、自然界の万物に当てはまるというのが、東洋医学のベースとなる考え方で、それぞれ「相生」「相克」の関係といいます。
五行を人体に当てはめると不調の原因がわかる
東洋医学ではこの五行を人体に当てはめて治療に使います。「肝」はストレス処理に働く臓器と考えます。「心」は心臓と精神活動を表します。「脾」は消化器全般、お腹の状態を表すと考えてください。「肺」は呼吸器系、皮膚、免疫など。「腎」はエネルギーの生成と身体を冷ます役割を担っています。ここに当てはめて考えると、経営者の方は様々なストレスとプレッシャーを抱えているので「肝(木)」の部分が「負けないぞ」と力んだ状態になっているといえます。相生関係の円の線も相克関係の斜め線も、抑制の力が強く働き過ぎて、相克の位置にある消化器を司る「脾(土)」がダメージを受け、お腹が常に緩いという現象が起こるのです。
お腹が緩い方のケアの仕方
ビジネスマンや経営者の方のお腹の悩みをケアする時には、最初からお腹そのものを手当てすることは考えず、まずはストレス処理を司る「肝」を癒してあげます。お腹が弱いと悩む方は、漢方を専門とされる内科の医師に相談してみてはいかがでしょうか。「肝」に働きかける漢方を服用して、お腹の具合がよくなったという方の話をよく聞きます。漢方薬は、人によって合う、合わないがあるので、市販のものを勝手に使うのではなく、必ず専門医に相談に乗っていただくことをお勧めしています。そして、大切なのは、不調をもたらす原因であるストレスの大本を断ち切らない限り、不調は繰り返すということです。無理をしないでご自身を労わってください。
美整堂 院長
鍼灸師
池野 龍弥 Ryuya Ikeno
大口式ボディテック整体協会 理事
東京都出身。難治性疾患に対する鍼灸施術、メンタルケア、美容整体、予防医療を得意とする。帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科卒業後、独立。医師専門に鍼灸技術を指導する研究会の主任に任命され、医師や歯科医への鍼灸指導を行う。海外での施術や指導経験も多く、ベトナム、シンガポール、中国、アメリカに顧客を持つ。東京ガールズコレクション出場モデルやタレントからの施術依頼も多く、美容面の悩みを持つ顧客からも絶大な支持を得ている。
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