≪内海聡≫医師が明かす薬のリスク 第五回「日本人だけが知らない社会毒」

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最近、ギャバが豊富なトマトが、ゲノム編集によって誕生し、食卓に上るようになったと報道され、明るいニュースかのように扱われました。EUではゲノム編集食品は遺伝子組み換え食品と同じく厳しく規制されていますが、日本では安全性の審査も表示も不要となっています。日本の食環境は本当に安全なのでしょうか。減薬や断薬の指導を行うTokyo DD Clinicを開院し、薬害や医療が原因で起こる病気などについて、様々なメディアで情報を発信している内海聡医師に、「社会毒」についてお話を伺いました。
世界一の「社会毒大国」日本

私は『医学不要論』という著書の中で先住民は罹らず、現代人だけが罹る病気の引き金になる物質を、「社会毒」と名づけ、これこそが日本人の病気を著しく増やしてきた物質的原因だと主張しています。社会毒は非常に面倒な存在で、全ての方が摂取しても、直ちに病気になったり死亡したりしないという特徴を持っています。病気の原因だと判断することが困難だからこそ、質が悪いのです。
日本人は、日本の食品や住環境は世界でもトップクラスの衛生と安全を保っているように思い込んでいますが、現実は世界一の「社会毒大国」といっても過言ではありません。この現実をしっかり受け止めないと、日本人の病気が減ることはないでしょう。
病気の原因としてメンタル面では人間関係などの様々なストレスやものの考え方などが影響し、フィジカル面では社会毒がかなり大きく関わっています。社会毒の具体例を挙げると、遺伝子組み換え食品、農薬・除草剤、食品添加物、砂糖、人工甘味料、放射能、電磁波などです。要するに先住民時代にはなかった文明が作り出した有害物質の総称ということになります。それらは、便利な暮らしの代償として昔にはなかった病気をどんどん作っているのです。それどころか、病気の原因が社会毒のせいだと声すら上げられない世の中になっています。メディアのスポンサー問題があるからです。スポンサーの不都合なことは表立っていえません。一方、海外では社会毒に関してとても敏感です。

世界に逆行して、農薬の規制を緩和

世界との意識の差がよくわかる例として、ネオニコチノイドを代表する農薬の毒が挙げられます。ネオニコチノイドは子供の脳や神経などへ悪影響をもたらす発達性神経毒性の危険性が高い物質だということが、科学的に認められていて、EUではクロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサムの3種類のネオニコチノイド系殺虫剤の屋外使用を2018年に全面禁止とし、ほかの農薬についても安全とされる残留基準値を低く設定しています。彼らは要望を政府に訴えるなどの地道な活動を通じて、農薬の残留基準値を厳しく設定してきました。
残念ながら日本ではそのような声は小さく、それどころか2015年5月から、厚生労働省はネオニコチノイド系農薬の食品残留基準値を緩和しました。そのほかの農薬の残留基準値も次々に規制緩和がされています。日本のスーパーマーケットで売られている野菜を海外で販売すれば、即逮捕されるほどの法外な残留基準値のものを日本人は食べているのだと知るべきです。
そんなものを食べ続けていたら、やがて肝臓や腎臓を傷つけ、時間が経つほど、病気のリスクが増えていくことになります。しかし、残留農薬の健康被害を証明するにはら長期的な試験と膨大な予算が必要なためとても困難です。さらに、研究を抑制するような勢力があるのも事実です。

遺伝子組み換え食品の危険性

遺伝子組み換えをした作物は、ある特定の除草剤に耐性がある品種であれば、それとセットで除草剤も大量に売れるという仕組みで、大きなお金が動きます。そして、除草剤に耐性がある品種であれば、遠慮なく除草剤が使えるので除草剤まみれ。害虫耐性がある作物であれば、虫を殺すほどの毒性があるということです。欧米諸国、ロシアも含めて、遺伝子組み換え食品に関しては非常に厳しい規制があり、殆ど使わない、食べないという国もあるくらい。世界の市場で避けられ余った遺伝子組み換え食品は、日本が在庫処分しているイメージです。
パッケージ裏に「遺伝子組み換えでない」と記載されているのを見たことがあると思います。現在の日本では生産や流通の過程で遺伝子組み換えの食品が混入しても5%までなら「遺伝子組み換えでない」と表示出来るように定められています。2023年4月からは、遺伝子組み換え食品の混入が「不検出」となった場合のみ、「遺伝子組み換えでない」と表示出来るとルールが変わります。
これは一見いいことのように思えますが、表示義務の緩い日本では、遺伝子組み換え作物を100%使用していても「遺伝子組換え」と記載せずに済むケースが殆どなのに、安全にこだわりを持ち、遺伝子組み換えでない原料をわざわざ使用した良心的なメーカーが「遺伝子組換えでない」とパッケージに記載出来なくなるかもしれないということです。こうなってくると消費者は自分で安全な食品を選ぶことが難しくなります。

日本の食品成分表示は遅れている

米国のスーパーマーケットに行けば、食品の成分表示に硝酸系フリーかどうか、抗生物質フリーかどうか、GMOという遺伝子組み換えの飼料を使っているかどうか、そういった大切な情報がきちんと書いてあります。一見おおらかに見える米国人でさえ、食の安全に関してはとても気にしているのです。欧州では添加物の使用の有無は全部書いていて当たり前、基本的には使わないように努力しています。日本の食品の成分表示は、とても曖昧なことが多く、添加物の情報を詳しく書いていないのは、先進国で日本くらいです。
欧州や米国の方が病気になるのは、添加物とか農薬が原因というよりは、砂糖と小麦の影響が大きいと思います。砂糖は非常に身体にとって有害な物質だということが、日本の医学会でも認められつつあります。糖質制限が流行しているのも、血糖値をどんどん上げるような物質を食べるのは危ないという認識が広まってきた結果でしょう。

社会毒から身を守るには

危ないものは食べない──これがお金をかけず、今すぐ始められる身の守り方です。具体的にいうと、毎日使う醤油や味噌、塩などの調味料を本当によいものに変える。その次に砂糖を家からなくしましょう。料理で甘い味つけをしたければ、味醂を使えばよいのです。当然、砂糖や果糖、合成甘味料を使用したお菓子、ジュース、スポーツドリンクなども避けましょう。インスタント食品やレトルト食品、市販の弁当、ファストフード、チェーン店のセントラルキッチンで作って、電子レンジで温めれば、すぐに食べられる料理などを減らして、家でも外食でも手料理を食べるようにするだけで、添加物の摂取量は大分減ります。
野菜や果物の農薬については、農薬を洗い落とすための100%天然成分を使用した水酸化カルシウム製剤で浸け洗いすればいいでしょう。あくまで表面についた農薬を落とすだけで対症療法に過ぎませんがやらないよりましです。
忘れてはならないのが水の安全の確保です。日本は水が綺麗だといわれていますが、日本の土壌汚染は進んでおり、地下水が全く当てになりません。今の日本では浄水器を使用するのがベターです。お金をかけずとも数千円のボトルタイプの浄水器があれば十分。飲む水や料理に使う水を浄水すれば、9割以上リスクマネージメント出来ていると考えてよいでしょう。
そして、何より社会毒に対して興味を持ち勉強することです。社会毒についての入門書として、私の著書『まんがで簡単にわかる! 日本人だけが知らない汚染食品~ 医者が教える食卓のこわい真実』(ユサブル発行)を一読いただければ理解が進むでしょう。

シリーズは全6回の予定。
次回は「精神と病気との関係」についてお届けします。


内海聡(うつみさとる)
Tokyo DD Clinic 院長・内科医
NPO法人薬害研究センター理事長
日本再生プロジェクト代表取締役

1974年、兵庫県生まれ。筑波大学医学部専門群卒業。東京女子医科大学附属東洋医学研究所、東京警察病院消化器内科などに勤務。牛久愛知総合病院漢方科勤務を経て牛久東洋医学クリニックを開業。2013年から現職。全国各地で講演活動を行い、多岐にわたる情報を発信。 著書に『医学不要論』(三五館・廣済堂新書)、『医者に頼らなくてもがんは消える~内科医の私ががんにかかったときに実践する根本療法』『心の絶対法則』、『まんがで簡単にわかる! 日本人だけが知らない汚染食品~ 医者が教える食卓のこわい真実』『医師が教える新型コロナワクチンの正体』(ユサブル)など多数。
URL https://tokyo-dd-clinic.com

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