おうち時間で美しく整える【第1回】睡眠の質を高めるために今すぐやめたい悪い生活習慣≪池野 龍弥≫

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専門家に聞く美容と健康

「寝ても疲れが取れない」──。もしかしたら、自分では十分に睡眠を取ったつもりでも、睡眠の質が悪いのかもしれません。第一線で活躍されているモデルやタレント、トッププロアスリート、働き盛りのエグゼクティブ層が心身のメンテナンスに世界から集う、鍼灸整体院「美整堂」の池野龍弥院長に、睡眠の質を高めるために改善したい生活習慣についてお話を伺いました。

自覚がない不眠に陥っている

私が施術している中で感じるのは、性別年齢問わず、ご本人に自覚はないものの、不眠になっている方が多いということです。例えば、23時にはベッドに入って7時に起きているのに、なかなか寝付けない。寝付いても夜間、2回3回と起きてしまう。毎晩、夢を見るというのも睡眠の質としては悪いといえます。原因は、大きくいうと自律神経の乱れです。人体は交感神経と副交感神経で調整されていますが、交感神経ばかりが優位になってしまうと、睡眠に悪影響が出てきます。睡眠の質の向上は美容や疲労回復にとって必要不可欠なことですが、今皆さんが心配されている感染症と闘うための免疫力にも深く関わっています。十分寝ているはずなのに疲れが取れない、二度寝したいという方は、睡眠の質を悪化させる悪い生活習慣を正す必要がありそうです。

睡眠の質を悪化させる悪い生活習慣7つ

  • 寝る直前の食事
  • 糖質の摂り過ぎ
  • 寝酒
  • カフェインの摂取
  • 夕方からの強い照明
  • 運動不足
  • 日光不足

これから順に説明していきます。

寝る直前の食事

就寝前の食事は遅くとも3時間前には終わらせるようにしましょう。睡眠中の消化活動は起きている時に比べてとても穏やかなので、消化不良や胃もたれの原因になります。睡眠中は身体の修復に集中して機能を使いたいのですが、消化吸収に使われると、それだけでも睡眠の質が下ります。

糖質の摂り過ぎ

精製した糖質はなるべく控えめにしてみましょう。日中から糖質を食べ過ぎると、血糖値の乱高下が原因で、眠くなってはいけない時間に眠気がきてしまい、就寝時間に目が冴えてしまうことも。白米を雑穀米に変えてみたり、スイーツが好きな方は白砂糖を使わないお菓子を選んだり、食物繊維を前もって食べておくなど、血糖値が急激に上がらない食べ方を意識してみるとよいでしょう。

寝酒

アルコールは体内に入ると分解されてアセトアルデヒドという毒の状態になり、さらに分解が進み無毒化されます。日本人の44%の方が、血中アセトアルデヒド濃度が低い時点から作用する強力な酵素である「ALDH2」が不活性というデータがあります。つまり、寝る前にお酒を飲んで、アルコールからアセトアルデヒドへの分解が4時間かかったとすると、眠ってから4時間後に身体に毒が溜まるので、寝ている途中でトイレのために目が覚めてしまうのです。

カフェインの摂取

カフェインの成分が体外へ排出されるまでの時間「半減期」は意外と長く、平均して5時間から7時間といいます。ランチの後にコーヒーを飲むと、夜10時にはまだ半分のカフェインの覚醒作用が残っているということです。カフェインはコーヒーだけではなく緑茶や紅茶、エナジードリンクや清涼飲料水にも含まれています。不眠が深刻な方は、試しに全ての飲み物からカフェインを断ち、水やルイボス茶や麦茶などカフェインフリーの飲み物に変えてみてはいかがでしょうか。

夕方からの強い照明

LED照明などの強い光が目に入った瞬間、人間の脳はすぐに反応し、交感神経が優位になります。自律神経バランスが狂ってしまうので、寝る前に強い光を浴びるのはご法度です。LEDはTVやパソコン・スマートフォン・ゲーム器などのバックライトとして使われています。LEDの青白い光の波長には覚醒作用があるため、日中はいいのですが、就寝前に見続けると寝付きが悪くなる原因に。アメリカで行われた研究によると、タブレットで寝る前に読書していた健康な成人は、紙の読書に比べ約20%も、自然な眠りを誘うホルモンであるメラトニンの分泌が少なくなったといいます。日が沈んでからの時間は天井から照らす明るく青白い照明を消して、蝋燭の炎の色に似た光の、間接照明などに変えてみましょう。置き型の白熱色のスタンドを導入するだけでも随分変わってくるはずです。

運動不足

コロナ自粛のせいもあるのか、不眠を訴える方のほとんどが運動不足です。出歩けない毎日の中でお試しいただきたいのが、お風呂あがり、寝る前のストレッチです。リラックスした気持ちでゆったりとストレッチをすると、血流がよくなり、眠りに入る前のルーティンとしても心を落ち着けるでしょう。

日光不足

自宅にいる時間が長いせいで、日光に十分に当たっていないというのも、睡眠の質を下げる原因になっています。朝、しっかり日光に当たるというのは、体内時計を整え睡眠の質を向上させる上ではとても大切なことです。
外出が困難な方は、窓辺に掌を出して、太陽光を10分間当てると、1日に必要な日光を得ることが出来ます。朝起きてすぐにカーテンを開けて、窓から差し込む朝日を浴びるのもいいでしょう。

ここに挙げたことを全部実行しましょう、ということではありませんのでご安心ください。是非、ご自身ですぐに行動に移せそうなことから始めてみてください。

ご協力いただいた専門家

美整堂池野龍弥
美整堂 院長
鍼灸師
池野 龍弥 Ryuya Ikeno

大口式ボディテック整体協会 理事
東京都出身。難治性疾患に対する鍼灸施術、メンタルケア、美容整体、予防医療を得意とする。帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科卒業後、独立。医師専門に鍼灸技術を指導する研究会の主任に任命され、医師や歯科医への鍼灸指導を行う。海外での施術や指導経験も多く、ベトナム、シンガポール、中国、アメリカに顧客を持つ。東京ガールズコレクション出場モデルやタレントからの施術依頼も多く、美容面の悩みを持つ顧客からも絶大な支持を得ている。

美整堂 BISEIDO
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