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全国からがん患者など多くの湯治客が訪れるという秘湯・玉川温泉に健康と美容のプロがいく《美整堂・池野龍弥》

玉川温泉04
専門家に聞く美容と健康

秋田県仙北市、玉川温泉──。

日本一の酸性度と一箇所からの豊富なお湯の湧出量を誇るこの温泉は、様々な病気に対する効能があるとされ、古くから湯治場として知られています。

そんな玉川温泉に、第一線で活躍するモデルや芸能人、エグゼクティブ層が全国から訪れる話題の鍼灸整体院「美整堂」の、鍼灸師で院長の池野龍弥先生を筆頭に、世界中にクライアントを持つ国際セラピストで副院長の佐々木彦也先生、都内に複数のフィットネスジムを展開されている柔道整復師の竹川誠二先生の3名が実際に足を運ばれました。

健康と美容のプロは玉川温泉をどう感じたのでしょうか。

玉川温泉とは

江戸時代に発見され、明治時代までは鹿湯と呼ばれていた温泉。昭和初期に玉川温泉と名を改め、宿泊施設が併設された湯治場として営業を開始。1970年代、温泉の効能が全国的に知られるようになると、多くの湯治客で賑わうようになった。
酸性度、アルカリ度を示すpH値はゼロに近いほど酸性度が高いことを表す。中性で7、レモンや食酢が2〜3の値であるpH値が、玉川温泉の湯では1.2を示すが、これは日本の温泉では一番高い酸性度だといわれている。リウマチなどの神経系疾患や循環器系の疾患、皮膚病、肝機能の強化、疲労回復、免疫力強化など、様々な効能があるとされている。

自家用車で玉川温泉へ

玉川温泉を訪れたのは2022年11月の初旬。美整堂男性スタッフだけの日帰り旅でした。

まだ深夜といえる時間帯に、それぞれの都内の自宅から各々の自家用車で出発しました。

秋の行楽シーズンということもあり景色も楽しみたいと思っていたのですが、天気は生憎の雨。私は、コンビニで買った軽食で食事を済ませ、休憩も申し訳程度にしか取らずに東北道を使って真っ直ぐ目的地へ向かいました。

運よく道も空いていたのですが、それでも到着はお昼過ぎになりました。

かなり時間が掛かったと思いましたが、佐々木先生が着いたのはさらにその1時間後。
常磐道を使ったらしいのですが、一車線にはまってしまい苦戦を強いられたようです。

関東方面からクルマで来られる際は、ルート的には迂回をする形になりますが、
三車線あってスムーズに来易い東北道がお勧めです。

玉川温泉01

左:美整堂 院長・鍼灸師 池野龍弥/中央:美整堂 副院長・国際美容施術家 佐々木彦也/右:美整堂・柔道整復師 竹川誠二

私たちが訪れた時期の温泉施設は日帰り入浴の営業時間は15時まででした。全員が揃った時間が14時近くだったので、かなりぎりぎりです。

利用時間は季節や天候、新型コロナウイルス蔓延防止対策の影響で変動することもあるようなので、事前に確認をしてから向かうことをお勧めします。

日帰り入浴:営業時間

10:00~15:00(最終受付14:30)
※新型コロナウィルス感染症対策で、現在は基本的にこちらの時間帯で営業

夏季(4月下旬〜11月30日)
9:00~16:00 最終受付15:30

冬季(12月1日〜4月中旬)
9:00~13:30

秋田県は仙北市の山中にある秘湯

玉川温泉があるのはまさに秘境という趣のある山の奥です。
高速を降りてからも山道を1〜2時間走ることになるので、運転に集中力がいり、かなり大変でした。

玉川温泉02

玉川温泉に到着して最初に見える風景。秘境の全てが一望出来る

体力に自信のない方やお身体の悪い方が、遠方からご自身の運転で向かうのは現実的ではありません。
途中で運転を交代出来る方に同伴を頼むか、最寄りの秋田新幹線田沢湖駅から出ているバスやタクシーを利用する方が賢明です。
秋田の山奥なのでもちろん雪の影響もあります。
時期によっては温泉がある場所まで一般車両の通行が出来ず、営業自体もしていません。
私たちが訪れた時期でも、一部で交通規制がされていました。
雪による通行止めや交通規制の有無もしっかり確認をしてから向かいましょう。

アクセス

夏季(4月中旬~10月末)
秋田新幹線『田沢湖』駅から、
羽後交通バス『玉川温泉』いき、または『八幡平頂上』いきに乗車し、
『玉川温泉停留所』にて下車。

冬季(12月~4月中旬)
国道341号線の二神館~澄川間が冬期通行止めとなり、一般車輌の通行が出来なくなる。
玉川温泉は冬季休業となる。

※姉妹館の新玉川温泉は冬季でも営業。
田沢湖駅前から急行バス『新玉川温泉』いきに乗車し、終点『新玉川温泉』下車。
冬季のバスは交通規制のため新幹線が遅れても待たずに発車し、代替運行はないので注意。

駐車場はかなり広いため、クルマを停める場所の心配はなさそうです。
ただ、階段があるので足や膝の悪い方は少し注意が必要です。

また、駐車場から温泉施設までは距離があります。

車椅子を利用している方はクルマで直接施設まで向かい、先に降ろして貰うことをお勧めします。事前に連絡を入れて、現地のスタッフの方に協力を頼んだ方がいいかも知れません。

玉川温泉03

駐車場。車椅子の方は、温泉施設前で降車させて貰い、クルマだけ駐車場に上っていくことをお勧め

駐車場から右手に進むと施設があり、左手に進んだ山側では散策が出来ます。温泉が湧き出ている様子を見学したのですが、源泉の色味が黄色や緑色をしていて、独特で驚きました。

玉川温泉04

入口付近。岩場からラジウム泉が流れ出し、緑色をしている。沸騰している様子が見て取れ、熱気が顔にまで伝わった

湯治客が集まる岩盤浴場

さらに先に進むと岩盤浴が出来る東屋があります。
私は遠くから眺めるだけに留めましたが、中でたくさんの方が横になって岩盤浴をしているのがわかりました。

玉川温泉05

正面に見える東屋のような建物に湯治客が集っている。地面に寝ころび、地熱とラジウムを全身に浴びて、熱心に治療に励んでいる様子が見て取れた

この日は雨だったので屋根のある東屋にたくさんの湯治客が密集していましたが、晴れの日には外の思い思いの場所にゴザを敷いて寛ぐようです。
雨ということもあり、気温自体は寒かったのですが、あちこちから水蒸気が溢れ出していて地面はとても温かそうでした。

玉川温泉06

駐車場から見える風景

玉川温泉独自の天然の北投石の岩盤からは熱だけではなく、大量のマイナスイオンや微量の放射線が出ているそうです。

北投石とは

世界でも台湾の北投(ぺいとう)温泉と玉川温泉でしかみられない、貴重な鉱物。大量のラジウムを含んでおり、微量の放射線が放出されている。この放射線によるホルミシス効果で様々な健康効果が得られるのではないかと考えられ、現在も研究が進んでいる。玉川温泉の岩盤浴による効能も、この鉱石が影響していると考えられている。

玉川温泉07

大きな北投石。このような特別天然記念物である北投石の岩石が、ごろごろとある

時間を掛けてじわじわと身体を温めることの出来る岩盤浴は、その効能もさることながら、湯あたりの心配もなく、お湯に長時間温泉に浸かる体力のない方にお勧めです。

岩盤浴の勧め

〈やり方〉
・熱を帯びている場所を選び、岩肌が刺さらないようゴザを敷いて横になる
・ゴザの種類に規定はないが、ビニール製よりイグサのものが熱伝導がよい
・タオルケットや毛布を身体の上に掛け、熱を逃がさないように
・場所によっては40~50℃になるので低温火傷を防ぐため身体の向きを適宜変えること

〈時間〉
・1回30~40分程度を1日に1~2回程度

〈服装〉
・大量に汗をかくので、ジャージや動き易い軽装
・靴は動き易く着脱し易いスニーカーやサンダル

〈持ち物〉
・ゴザ・毛布やタオルケット
・枕の代わりになる大きめなタオルなど
・朝晩は外気が冷えるので羽織るものを
・汗をかくので着替えや、水分補給用の飲み物は必須
・鞄は持ち運びに便利なリュックがお勧め

〈注意〉
岩盤浴に使用するものは一切、貸し出しをしてないので注意
宿泊している場合でも、旅館の浴衣で岩盤浴をすることは禁止。必ず持参したものを使用すること

入浴前にもっと散策しようと思ったのですが、その日の気温は2℃。
かなり寒く、運転の疲れもあったので足早に温泉施設に向かいました。

温泉施設はかなり広く、いろいろな種類のお風呂が楽しめる

古くからの湯治場と聞いていましたが、温泉施設はとても広くて奇麗でした。

玉川温泉08

営業時間が意外と早く終わるので、事前に営業しているか、何時までの入場で何時までの入浴が可能か確認をお忘れなく

浴槽ごとに異なる数種類の湯を体験出来るうえ、シャワーや掛け湯などの充実した設備が楽しめます。
タオルのレンタルや備え付けのシャンプーもあり、私のように手ぶらで来た場合でも気軽に温泉を楽しめます。

玉川温泉09

自動券売機で入場券を購入。タオルのレンタルもあるので手ぶらでも入浴出来る

雨のためか利用客も少なく、ゆったり楽しむことが出来ました。

玉川温泉10

日帰り入浴料

大人:800円
小人:400円
幼児以下:無料
タオルレンタル:250円

日本一の酸性度の温泉に入浴

掛け湯を済ませ、さっそく玉川温泉の源泉をそのまま100%使用した湯を試してみました。
入るとすぐ、身体中をぴりぴりとした刺激が走りました。
強い酸性の湯に浸かっているのだと体感でわかります。
私は肌に掻き傷があったので、そこに湯が染みて結構痛かったです。
外傷があったり、皮膚の弱い方やアトピーの方はすこしきついかも知れません。
そして、身体がどんどん重くなっていくのを感じました。
お湯自体にも重さを感じるほどです。

温度自体はそれほど高くないのですが、刺激や身体の重さがつらく、私は5分も浸かっていられませんでした。佐々木先生も数分で出ていたようです。

ひとによって感じ方は違うかも知れませんが、お湯は薬に浸かっているような感覚です。
上がった時には、子供の頃プールで遊んだ後のような疲労感を覚えました。

施設内にはほかにも源泉を半分に薄めた50%の湯や、温度が低めに設定されているぬるめの湯、蒸気を浴びるサウナのような設備などいろいろな種類のお風呂がありました。
私が試した中では、50%のぬる湯や蒸気湯は体力のない方にもお勧め出来そうです。

また、温泉を試飲出来る場所もありました。
試しに飲んでみたのですが、これがとにかく酸っぱい。
源泉と水を、1:9で薄めて飲むのですが、それでもとても酸っぱくて驚きました。

ちなみに佐々木先生は説明を読む前に源泉をそのまま飲んでしまい、激しく後悔していました(笑)。
皆さんは絶対に薄めて飲んでくださいね。

一通りの湯を試したのですが、それでも合わせて20分ほどしか温泉内にはいられませんでした。いろいろと試しているうちに湯あたりのような症状になってしまったのです。

特別温泉が苦手ではない、健康で体力のある私でもこうなってしまったので、体力に自信のない方や持病のある方は適宜休憩をしっかりとるなど、対策や注意をした方がいいと思います。

主な湯の種類

源泉100%
温泉の効能を一番味わうことが出来る湯。
肌への刺激が強いので、ゆっくりと浸かりゆっくりと上がる、休憩を挟んだ余裕のある入浴をすること。温度はぬるめの39℃前後に設定されている。
(3〜5分の入浴ごとに同時間の休憩を推奨)

源泉50%(あつ湯・ぬる湯)
源泉を半分薄めたもの。肌への刺激は100%の湯よりは少ないが、
あつ湯では温度が43〜44℃に設定されているため高血圧の方は注意が必要。
(あつ湯は1〜3分の入浴ごとに同時間の休憩を推奨、ぬる湯は体調に合わせ適宜)

打たせ湯
源泉50%の湯を高さ2mほどの位置から落としている。
湯を当てる部位には必ずタオルを置いて直接刺激はさせない。
同じ箇所を長時間打たないように注意。

蒸気湯
室温が通常より低めの50〜60℃に設定された、サウナのような施設。口から蒸気を吸い込み気道の繊毛を刺激することにより粘膜の再生を促す。気管支炎や風邪、喘息などへの効能が期待される。

箱蒸し湯
蒸気で充満した木箱に顔だけを出して入り、身体を温める。こちらの方が顔を出している分呼吸がし易く、蒸気湯より身体への負担は少ない。

※疾患によっては、入浴自体推奨されていないこともあるようなので、事前に医師に確認をしてからの入浴を推奨します。

どういった効能を感じたか

美容面でいうと、いわゆる美肌効果はありそうです。
肌質や皮膚の感覚が入る前とは圧倒的に違い、全身がすべすべのしっとりとした肌になっていました。
私は温泉自体には計10分ほどしか浸かっていなかったのですが、それだけでもかなりの変化を感じられました。

玉川温泉は療養泉既定で酸性泉と認められる数値を70倍以上も上回る、74.56mg/kgの水素イオン含有量を誇る強酸性の温泉です。
古い角質を溶かして柔らかくする水素イオンのピーリング効果が、通常の酸性の温泉よりも強力なのでしょう。

軽度の乾燥肌であれば、継続的に入り続けることで、よくなるのではないかと思います。
しかし、刺激がかなり強いため、肌の弱い方が長時間入浴することはお勧め出来ません。

また、温泉の水素イオンが体内に入ることが活性酸素の除去に繋がるのではないかと考えます。
末端の血流や毛細血管の血流改善が見込めそうです。

それと強酸性の泉質ということで、殺菌作用や除菌作用も高いと思います。
ニキビや水虫、細菌性の皮膚炎への効能も期待出来るでしょう。

実際に温泉に浸かり、文字通り肌で感じたからこそ、効能に対する個人的な信頼度は上がりました。

宿泊について

一通りの取材を終えた私たちは、玉川温泉を後にしました。

東京までの帰り道は早起きや長旅による眠気や疲れに加えて、湯あたりの症状もあり、来る時よりもさらに大変でした。

私は今回、取材のために日帰りで玉川温泉を訪れましたが、険しい道のりや営業時間の短さ、温泉での湯あたりや疲労感を抱えての帰路の危険性などを考えると、遠方からの日帰り旅行は決してお勧め出来ません。
温泉の効能を利用した長期的な療養を期待しているのであれば、宿泊を利用した方がいいです。

宿泊施設

旅館部
通常の宿泊施設と同じ、一泊2食付きというスタイルでの宿泊が可能。
歴史ある旅館のため、テレビやトイレが付いていない部屋もあるので注意が必要。

自炊部
“部屋のみ”が提供される宿泊スタイル。
食材や食器を持参し、共同炊事場にて自身で食事を作る。

最後に

秘湯・玉川温泉は噂に違わぬ凄い温泉でした。

浴槽に足を入れた時の、文字通り電気が走ったような感覚の衝撃は忘れられません。
あれから別の温泉にも入りましたが、大抵の温泉がただのお湯にしか感じられなくなってしまいました。

もしまた訪れる機会があれば、長期的に湯治を行う効果の検証や岩盤浴の体験もしてみたいと思います。
皆さんも是非、機会があったらいってみてください。

Information

玉川温泉
公式サイト
https://www.tamagawa-onsen.jp/

ご協力いただいた専門家

美整堂池野龍弥
美整堂 院長
鍼灸師
池野 龍弥 Ryuya Ikeno

大口式ボディテック整体協会 理事
東京都出身。難治性疾患に対する鍼灸施術、メンタルケア、美容整体、予防医療を得意とする。帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科卒業後、独立。医師専門に鍼灸技術を指導する研究会の主任に任命され、医師や歯科医への鍼灸指導を行う。海外での施術や指導経験も多く、ベトナム、シンガポール、中国、アメリカに顧客を持つ。東京ガールズコレクション出場モデルやタレントからの施術依頼も多く、美容面の悩みを持つ顧客からも絶大な支持を得ている。

美整堂 BISEIDO
美整堂公式Instagram(@biseidoh)
TEL 03-5544-8985
東京都渋谷区広尾5-2-15 A棟-1F
https://biseido.jp/

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