金時草が生活習慣病に効く!?成分や効果を徹底解説
「健康のためにはどんな野菜を食べると効果的なの?」
「食事で美味しく健康を維持したい!」
健康を意識している方に是非食べてみてほしい野菜が、金時草(キンジソウ)です。
金時草は金沢や沖縄などの伝統野菜で、不老長寿の薬として昔から親しまれてきました。
最近では、様々な研究によって生活習慣病の予防への効果が確認されています。
ですが、金時草自体が私たちの生活にあまり馴染みがありません。
どのような野菜でどのような成分が豊富なのか、ご存じない方も多いでしょう。
そこで、こちらの記事では金時草について、成分や効果、食べ方までわかりやすく解説します。
金時草とはどんな野菜なの?
金時草は、熱帯アジアが原産地のキク科ギヌラ属に分類される多年草です。
金時草と書いてキンジソウと読みます。
学名はGynura bicolorで、正式な和名はスイゼンジナ。
金時草という呼び名は、石川県金沢市での通称名です。
金時草は加賀野菜として、金沢市でたくさん栽培されています。
日本国内では、金沢が最大の産地です。
暑さに強く、夏に成長する野菜であるため、金時草は6月下旬~11月中旬にかけて出荷されます。
金時草の特徴は?
金時草の一番の特徴は、葉の色です。
葉の表側は緑色ですが、裏側は赤紫色をしています。
この鮮やかな赤紫色が金時芋や金時豆の色と似ていることから、金時草と呼ばれるようになったとのことです。
葉はやわらかく、細長い楕円の形をしています。
また、茎は円柱の形をしており、たくさん枝分かれをしている点が特徴的です。
食用として食べられる部分は、葉と新しい茎の部分のみ。
茹でるとモロヘイヤやオクラのような粘りが出てきます。
金時草の通称名|たくさん呼び名がある?!
金時草の最大の産地は金沢ですが、実は他の地方でも別の通称名を持つ伝統野菜として親しまれています。
金時草の他の通称名がこちら。
- 水前寺菜(スイゼンジナ)
- ハンダマ
水前寺菜は熊本での金時草の呼び名であり、ハンダマは沖縄の伝統野菜としての呼び名です。
沖縄では古くから不老長寿の薬として、ハンダマは扱われてきました。
呼び名は異なりますが、「金時草」「水前寺菜」「ハンダマ」は全て同じ野菜のことを指します。
金時草の歴史|江戸時代に日本へ
金時草が日本に伝えられたのは、江戸時代です。
どこから伝えられたのかについては、2つの説があります。
1つは、中国から伝来したという説。
もう1つは、オランダから伝えられたという説です。
江戸時代に伝わった金時草は、熊本市で栽培されるようになります。
そのため、熊本市の地名の1つである「スイゼンジ」という名が和名として付けられたといわれています。
その後、金沢にも金時草が伝えられ、昭和30年以降に市場で広がり始めました。
金沢では綿紫草と初めは呼ばれていましたが、昭和40年以降に現在の通称名である金時草と呼ばれるように。
つまり、金時草として一般的に知られるようになったのは、つい最近のことです。
金時草にはどんな成分が含まれているの?
金時草には、健康によいとされている成分が豊富に含まれています。
古くから不老長寿の薬として扱われていたのも、たくさんの健康成分が含有されているからです。
金時草に含まれている主な成分がこちら。
- アントシアニン
- GABA
- カルシウム
- ムチン(ネバネバ成分)
- βーカロテン
- 食物繊維
金時草の成分の中でも特に注目して欲しい成分が、「アントシアニン」「GABA」「カルシウム」の3つです。
金時草成分1 アントシアニン
アントシアニンは、ポリフェノールの一種です。
植物の色は、主にポリフェノールによって付いています。
つまり、金時草の綺麗な赤紫色は、アントシアニンがたっぷり含まれている証拠なのです。
アントシアニンは、強力な抗酸化力を持っています。
抗酸化力とは、活性酸素を害のない物質に変えて、身体を守る力です。
活性酸素は身体の細胞を攻撃して傷つけます。
老化や癌、動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病、シミなどの原因の1つが、実は活性酸素によって細胞が傷つくことなのです。
アントシアニンによって活性酸素が無毒化することで、健康や美容の維持に効果が期待できます。
その他、眼の健康や肝機能の改善への効果も、認められています。
金時草成分2 GABA
GABAはγ-アミノ酪酸の略称です。
アミノ酸の1種であり、脳や脊髄などで神経伝達物質として働いています。
発芽玄米に豊富に含まれていることで有名ですが、金時草には発芽玄米の約2倍ものGABAが含有されているのです。
GABAは、科学的に様々な効果が認められています。
GABAの代表的な効果が、次の3つです。
- 血圧降下
- ストレスや疲労感の低減
- 睡眠の質の改善
消費者庁が届出を受理して、効果の表示を認めている機能性表示食品の健康成分としてGABAはよく使用されています。
それほど、効果が科学的に証明されている成分なのです。
金時草成分3 カルシウム
カルシウムは健康を維持する上で、とても重要なミネラルです。
ですが、日本人の多くはカルシウムが不足しています。
金時草には、ホウレンソウの3~4倍ものカルシウムが含まれているため、カルシウムを補う食品としてもぴったりです。
ご存じの通り、カルシウムには骨や歯を丈夫にする働きがあります。
実は、カルシウムの役割は骨や歯だけに留まりません。
情報伝達物質として働くなど、たくさんの役割を私たちの身体の中で担っています。
カルシウムの主な役割がこちら。
- 筋肉を収縮させる
- 精神を安定させる
- 細胞内で情報伝達をする
- 骨や歯を丈夫に保つ
カルシウム不足は骨粗鬆症など、様々な不調や病気の原因になります。
金時草などカルシウムが豊富な食品をしっかり食べることは、健康維持の上で重要なのです。
金時草の効果はなに?
健康によい成分がたくさん含まれている金時草を食べると、具体的にどのような効果が得られるのでしょうか?
また、実際にどのような効果が研究で明らかになっているのでしょうか?
金時草の効果については、金沢大学 太田富久名誉教授とバイオセラピー開発研究センターとの共同研究によって確認されています。
マウスやラットを使った研究で明らかになった効果が、次の4つです。
- 血圧の上昇抑制
- 血糖値の上昇抑制
- 抗肥満効果
- ストレスを低減させる効果
血圧・血糖・肥満・ストレスは、生活習慣病に通じる重要な要素です。
つまり、金時草を食べることで生活習慣病を予防する効果が期待できます。
メモ:金時草の研究概要
ここで、具体的な研究結果を1つご紹介します。
研究対象と条件:4つのグループに分けたマウス
- マウスA群 拘束なし
- マウスB群 拘束あり、水を投与
- マウスC群 拘束あり、滋養強壮剤投与
- マウスD群 拘束あり、金時草粉末を投与
研究結果:金時草でストレスホルモンが減少
拘束されたマウスは拘束していないマウスと比較して血中コルチコステロンの濃度が1.65倍増加。
一方で、金時草を与えたマウスは、水を与えたマウスと比較して血中コルチコステロン濃度が減少。
血中コルチコステロンは、ストレスが強い環境下でたくさん分泌される副腎皮質ホルモンで、ストレス指標として利用されています。
つまり、血中コルチコステロン濃度が減少した金時草には、ストレスを軽減させる可能性があると示唆されました。
参考:http://www.jcam-net.jp/data/pdf/18029.pdf
金時草の食べ方|お勧めは青汁
「金時草のすごさはわかったけど、どうやって食べるの?」
金時草はあまり知られていない野菜なので、食べ方に困っている方も多いでしょう。
そこで、最後に、金時草の食べ方についてご紹介します。
金沢や沖縄では、おひたしや天ぷら、和え物などで金時草は食べられています。
お勧めの食べ方は、青汁です。
金時草に豊富に含まれているアントシアニンなどは水溶性の成分であるため、長く体内に留まることができません。
そのため、金時草は毎日食べることが大切です。
青汁にすると毎日金時草を摂りやすくなります。
青汁にしやすいように金時草を粉末にした商品なども販売されているため、使うと便利でしょう。
まとめ
- 金時草は水前寺菜やハンダマとも呼ばれる伝統野菜
- 金時草は生活習慣病予防に効果的な成分が豊富
- 金時草は青汁などにして毎日摂るのがよい
金沢や沖縄・熊本の伝統野菜の1つである金時草は、まだまだ認知度の低い野菜です。
一般的には広く知られていませんが、ビタミンやミネラル・GABA・アントシアニンなど現代人が必要としている健康・美容成分をたっぷりと含んでいます。
生活習慣病の予防や健康・美容の維持に大いなる可能性を秘めた野菜。それが金時草なのです。
気になる方は、青汁などで手軽に取り入れてみてください。