ピコレーザーとは?期待出来る効果から失敗のリスクまで解説
いくつになっても肌に関する悩みはつきものです。
しみ・そばかすや、にきび跡が気になり、あまり自分に自信が持てない方も多いのではないでしょうか。
今回は様々な肌の悩みを解決するために開発された、ピコレーザーについて解説します。
- ピコレーザーはしみなどの肌の悩みに対して、効果が期待出来る治療法である
- ピコレーザーを受ける前にメリット・デメリットを知る必要がある
- ピコレーザーを受けたいと思ったら、まずは医師のカウンセリングがおすすめ
Contents
ピコレーザーとは
ピコレーザーとは、しみ・そばかすを始め、肝斑(かんぱん)やにきび跡・毛穴の開きから肌の張りの改善までを期待出来る治療法です。
レーザーの波長と照射時間(パルス幅)をしみの特性に合わせて変えることが、しみ治療には重要となります。
照射時間の短いレーザーを当てることで、しみなどの原因であるメラニン色素を破壊することが出来ます。
従来のしみに対して使用されてきたレーザー治療法のパルス幅は、「ナノ秒」(1秒間の1/1,000,000,000秒)でした。
しかしピコレーザーは、更にその1/1000秒の「ピコ秒」という非常に短いパルス幅でしみ治療が行えるようになりました。
パルス幅が短くなることで照射時間は短くなります。
照射時間が短くなると、治療部位以外の組織への熱ダメージは少なくなる性質があります。
そのため、痛みを少なく、色素沈着のリスクを低くして治療をすることが可能となりました。
更に、従来のレーザーよりも、しみの原因であるメラニン色素を細かく砕きます。
メラニン色素が細かく砕かれれば代謝効率が上がり、メラニン色素が排出されやすくなるため、しみが薄くなるなどの効果を得られるまでの時間も短くなることが期待出来ます。
つまりピコレーザーとは、従来のレーザー治療よりも痛みやリスクを抑えつつ、しみなどの肌の悩みに対する改善効果を高めた治療法といえます。
ピコレーザーの3+1つの照射方法
ピコレーザーには基本的に3つの照射方法があります。
- ピコスポット
- ピコトーニング
- ピコフラクショナル
それぞれの照射方法はその方の肌の悩みに合わせて使い分けます。
この基本となる3つの照射方法と併せて、ピコトーニングとピコフラクショナルを同時に行う、ピココンビネーションについても解説していきます。
ピコスポット
ピコスポットは、しみ・そばかすなどが気になる部位へ集中的にレーザーを照射し、しみの除去を目的とした治療法です。
出力の強いレーザーを短い時間で照射するため、少しの痛みはあるものの肌への負担を少なくし、治療後の炎症後色素沈着のリスクも減らせる点が特徴です。
ピコトーニング
ピコトーニングは、しみや肝斑の症状改善に期待が出来る治療法です。
従来のレーザー治療では、肝斑に刺激を与えてしまい、かえって症状が悪化し色素が濃くなるリスクがありました。
しかしピコトーニングは、肝斑を刺激しないように出力の弱いレーザーをシャワー状に広範囲に照射します。
その結果、皮膚のメラニン色素を少しずつ減らすことが可能となり、肝斑への改善効果が期待出来ます。
ピコフラクショナル
ピコフラクショナルは、にきび・にきび跡や小じわの改善、肌の張りの改善を目的とした治療法です。
ピコフラクショナルは、点状に集中したレーザーが肌の深部まで届き、新しい皮膚の再生を促す効果が期待出来ます。
またピコフラクショナルは、肌表面にほとんど負担が掛からないため、痛みやダウンタイムが少ない点が特徴です。
ピココンビネーション
ピココンビネーションは、ピコトーニング・ピコフラクショナルを組み合わせた治療法であり、それぞれの治療効果を同時に得ることが期待出来る方法です。
肌のしみだけでなく、小じわや肌の張りの改善など、幅広い肌の悩みに対応した治療法です。
ピコレーザーで期待出来る効果
ピコレーザー治療を受けることで、期待出来る効果は以下の通りです。
- しみや肝斑の改善
- にきび跡、毛穴の開き、肌の張りの改善
- タトゥーや刺青の除去
しみや肝斑の改善
そのため、メラニン色素が原因となる、しみや肝斑の改善効果が期待出来ます。
従来のレーザー治療では、肝斑への効果は期待出来ませんでした。
ピコレーザーはピコ秒のパルス幅のレーザーを照射し、メラニン色素の除去を試みる治療法です。
ピコトーニング治療を行うことで肝斑を少しずつ薄くすることも期待出来ます。
にきび跡、毛穴の開き、肌の張りの改善
ピコレーザーはにきび跡、毛穴の開きや肌の張りの改善にも効果的です。
ピコフラクショナル治療を行うことで、の深部までレーザーが届き肌皮膚の再生が促されます。
皮膚の再生が促されることで、瘢痕化(はんこんか)したにきび跡の改善だけでなく、肌質の向上による毛穴の開きや肌の張りの改善効果も期待出来ます。
タトゥーや刺青の除去
ピコレーザーはタトゥーを始めとする刺青やアートメイクの除去にも有効です。
肌に入れた色素粒子を細かく破壊することで、タトゥーや刺青を薄くすることが期待出来ます。
しかし1回のレーザー治療では、タトゥーをしっかりと除去することが出来ません。
色の深さやインクの種類にもよりますが、複数回、場合によっては10回以上の照射が必要なこともあります。
ピコレーザーによるタトゥー除去をご希望の際は、カウンセリングの際に医師と念入りに打ち合わせをしましょう。
ピコレーザーの副作用
ピコレーザーは肌へのダメージが少ないとはいえ、もちろん副作用のリスクもあります。
ピコレーザー治療による副作用で重篤なものはあまり報告されていないようですが、治療を受ける上で副作用のリスクは理解しておく必要があります。
ここではピコレーザー治療の副作用について解説します。
蕁麻疹様の赤み・腫れ
ピコスポット治療後当日に、肌に蕁麻疹のような赤みや腫れが生じることがあります。
ですが、一般的には、数時間で症状は改善します。
赤み
ピコスポット・トーニング・フラクショナル治療によって治療部位に赤みが生じる場合があります。
治療後当日から生じ、数日で消失します。
しかし、赤みが強く出る方は改善までに時間が掛かります。
かさぶた
ピコスポット治療の翌日から生じ、7日~10日ほどの期間で剥がれ落ちます。
無理に剥がそうとせず、自然と剥がれるのを待ちましょう。
炎症後色素沈着
炎症後色素沈着はニキビや虫刺されなどの炎症が起きた後に色素沈着したシミのことです。。
ピコスポット治療の2~3週間後に生じることがあります。
改善までは半年から1年ほどの期間を要します。
ピコレーザーのメリットとデメリット
ピコレーザーにはメリットがあれば、デメリットもあります。
ピコレーザーを受ける上でメリットとデメリットをしっかりと比較して、治療を受けるか否かを判断するようにしましょう。
ピコレーザーのメリット
ピコレーザーのメリットに以下が挙げられます。
- 肌に与えるダメージが少ない
- 少ない治療回数で効果が期待出来る
- 治療後のダウンタイムがほとんどない
最大のメリットは、メラニンの度合いや深さに合わせて、レーザーの波長やパルス幅、照射サイズを調整することが出来る点です。
これにより肌に余分な負担を掛けずに、高い効果を得られるように調整出来ます。
ふたつめはピコレーザーの特徴として、広範囲に照射した後でも、日を置かずにピコスポット治療が行え、点状に絞ったレーザーを深部局所に届けられる点にあります。
これにより効率的に照射することが可能となり、施術回数を抑えながらしっかりとした治療効果が期待出来ます。
最後にピコレーザーは熱作用による肌への負担が少ないため、治療後にテープなどの保護は基本的に不要となります。
そのため施術後のダウンタイムは少なく、日常生活に支障をきたす可能性も低いです。
ピコレーザーのデメリット
では次に、ピコレーザーのデメリットについてです。
ピコレーザーのデメリットには以下が挙げられます。
- 場合によっては費用が高額になる
- 人によっては治療中に痛みを感じることがある
- 治療後に施術部分が目立つ場合がある
ひとつめはピコレーザーの費用はレーザーの照射回数だけでなく、照射範囲でも変動する点にあります。
ピコスポット治療を顔の一部分に照射するのか、顔全体に照射するのかによって治療費は異なり、照射範囲が広くなるほど治療費は高額になります。
ご自身の予算に合わせたピコレーザー治療が受けられるように、医師と相談するようにしましょう。
ふたつめは治療中の痛みに関してです。
ピコレーザーは、治療中に輪ゴムで弾かれたようなチクチクとした痛みを感じるといわれています。
人によっては気にならない程度ですが、痛みに弱い方は治療中に痛みを不快に感じることもあります。
ただしピコトーニングの場合は、ほとんど痛みがないといわれています。
最後は、副作用でも紹介した、治療後に蕁麻疹の様な赤みや皮膚の盛り上がりが出現する点です。
いずれの症状も一時的であり、時間が経過することで症状は落ち着いてきます。
しかし、長期間にわたって症状が改善されない場合は、一度医師の診察を受けるようにしましょう。
ピコレーザーで失敗しやすい、不適応な方の特徴
ピコレーザーでは効果が得られず、逆にしみが濃くなってしまったという口コミをする方がいるのも事実です。
ピコレーザーは誰でも効果が得られる治療法ではなく、受けられない方や効果が得られにくい方の特徴があります。
ピコレーザーを受けられない方の例をご紹介します。
- 光線過敏症の方
- 光線過敏症を高める薬を内服している方
- 激しい日焼け直後の方
- 真性ケロイドの方
- てんかん発作の既往がある方
- 希望部位に無治療の皮膚炎や感染がある方
- 重症の糖尿病・膠原病の方
- 治療部位に金の糸を入れている方
- 金製剤を内服中もしくは過去に内服歴のある方
上記に当てはまる方は、ピコレーザーを受けることが出来ません。
またピコレーザーの効果が得られにくい不適応な方の特徴として、日焼けしやすい方や肌の新陳代謝が乱れている方は、色素沈着しやすいため注意が必要です。
日焼けしやすい方は紫外線対策を実施し、肌の新陳代謝が乱れている方は角質ケアなどを実施することで、色素沈着を予防することが出来る可能性があります。
治療の流れ
一般的なピコレーザー治療の流れは以下の通りです。
- 問診・診察
- レーザー照射
- アフターケア
ピコレーザー治療を受ける前に、担当の医師から肌の状態や肌質を診察してもらい、治療に必要な回数の目安などを決めていきます。
またピコレーザー治療による副作用やメリット・デメリットの説明に加え、ピコレーザー治療を受けることが出来るか、問診にて医師が判断します。
レーザー照射をする際に、治療内容によっては、事前に麻酔クリームを塗布することもあります。
治療が終われば、患部をしっかりと冷やします。
最後に治療後の肌のアフターケアについて説明されます。
治療後すぐに化粧を行うことは可能ですが、化粧水や乳液による保湿、日焼け止めクリームを塗るなどの紫外線対策が重要となってきます。
次回も照射をする場合は治療内容にもよりますが、約1箇月ほどの期間を空ける必要があります。
ピコレーザー施術の値段
ピコレーザーは先ほども伝えた通り、照射範囲によって変動するため一律で値段が決まっているわけではありません。
こちらの値段表はあくまで参考程度にご覧ください。
ピコスポット治療 | |
---|---|
しみ除去 | 5mmまで:1回約10,000円 |
10mmまで:1回約20,000円 | |
タトゥー除去 | 1cm×1cm:1回約10,000円 |
2cm×2cm:1回約20,000円 | |
5cm×5cm:1回約40,000円 | |
10cm×10cm:1回約50,000円 | |
ピコトーニング | |
顔・首・手の甲 | 1回:約10,000円 |
5回:約45,000円 | |
ピコフラクショナル | |
顔 | 1回:約20,000円 |
5回:95,000円 |
ピコレーザーのよくある質問Q&A
こちらではピコレーザーについてよくある質問についてお答えします。
ピコレーザーは保険適応なのか?
ピコレーザーは一部保険適用が可能です。
ピコレーザーの保険適用の対象疾患であると医師が診断した場合、保険が適用となります。
対象の疾患は、「太田母斑」「異所性蒙古斑」「外傷性刺青」があります。
しみは何回治療すれば無くなるのか?
基本的に人によって必要な治療回数は異なってきます。
一般的にいわれているしみの除去に必要なピコスポット治療の回数は1~3回です。
しみはどれくらいの期間で無くなるのか?
しみの原因であるメラニン色素は、日々体の中で作られています。
そのため、しみを薄くする治療期には1箇月に1回の間隔で治療が必要です。
しみが薄くなった状態を維持する維持期でも、2箇月に1回のペースで定期的に治療を続ける必要があります。
まとめ|まずは医師のカウンセリングを受けましょう
- ピコレーザーはしみなどの肌の悩みに対して、効果が期待出来る治療法である
- ピコレーザーを受ける前にメリット・デメリットを知る必要がある
- ピコレーザーを受けたいと思ったら、まずは医師のカウンセリングがおすすめ
ピコレーザーはしみや小じわ・にきび跡など誰もが抱える肌の悩みに対して考案された治療法です。
しかし全ての方に効果が得られるわけではなく、中には治療を受けられない方もいます。
本記事を読み、ピコレーザーに興味を持った方がおりましたら、まずは医師がカウンセリングを行っているクリニックへ行くことをおすすめします。
医師からカウンセリングの中で、肌の悩みに対してピコレーザーが適切か、ピコレーザーを受けることが出来るか、治療におけるメリット・デメリットの説明などを行ってくれます。
医師のカウンセリングを受け、しっかりと治療についての内容を理解・納得すれば、より高い満足感が得られることと思います。
本記事が、ピコレーザー治療を受けようと考えている方の参考になれば幸いです。