ワキガの根本治療?!アポクリン腺除去手術とボトックス注射
ワキガを治すためには、まず生活習慣を見直すことが基本となります。生活習慣を改善しても、においが抑えられない場合、次のステップとして美容外科による手術や処置という手段があります。
ワキガの根本治療には、アポクリン腺に対し直接働きかけることが、最も効果的で持続性のある方法です。治療方法にはアポクリン腺を除去する手術や、ボトックス注射で汗の出る神経をブロックする方法があります。この中には保険適用になる方法もあります。
それぞれのメリット・デメリットを知ることにより、ご自分の症状や生活環境に合った治療方法を選択することができます。
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ワキガの根本治療はアポクリン腺を除去することが有効
汗を出す汗腺にはアポクリン腺とエクリン腺の2つがあります。ワキガの原因となるのはアポクリン腺から出る汗が原因です。この汗が皮膚の細菌に分解されることで、不快なにおいを発生させます。
ワキガの治療には、まず生活習慣を改善することが基本となります。しかし効果が不十分であることも多く、ワキガの根本治療とはいえません。
ワキガの根本治療には、アポクリン腺の働きを抑制させさせること、もしくは除去する手術を受けることが有効的な方法です。しかし傷跡が残るなど、手術を受けることに躊躇してしまう方もいるのではないでしょうか。
近年では、小さな傷で済むような治療方法が開発されています。またアポクリン腺に直接働きかけるのではなく、注射をして汗の分泌を抑える方法もあり、選択肢は多岐にわたります。
大切なことは治療を受ける前に、そのメリットとデメリットを詳しく理解した上で、手術や処置を選択することです。
ワキガの手術適応には「腋臭症」の診断が必要
ワキガを手術するために受診する病院は皮膚科、形成外科、美容外科などが対応しています。病院の担当する医師によって専門や対応している手術が異なるので、事前に確認してから受診する方が良いでしょう。
手術適応となるのは、生活に支障が出る程の強いにおいのある方であり、軽度の方は対象外となる可能性があります。医師の診断により、ワキガの正式名称である「腋臭症(えきしゅうしょう)」という診断名が必要となります。
その判断基準は、ワキガの自覚症状があるかどうかや他者から指摘されたかどうかなど、総合的に判断して診断されます。
ワキガの治療方法とメリット・デメリット
では実際にどのような手術方法があるのか、メリットとデメリットを比較しながら、種類別に見ていきましょう。
1)アポクリン腺除去手術
1-1.剪除(せんじょ)法
皮弁法とも呼ばれ、スタンダードな手術方法です。外科手術用のハサミを用いて、皮膚を1、2箇所切開し、アポクリン腺のある層を皮膚の内側から切除する方法です。局所麻酔で行い、片方ずつ日帰り手術で行います。
- アポクリン腺を直接見ながら切除するので、根治治療として効果が大きい。
- 保険適用のため費用が抑えられる。
- 4〜5cm程切開するので、手術の傷痕が残る。
- 傷痕が安定するまでには、およそ1〜2ヶ月の時間がかかる。
- 手術時間が長い。
- 術後に圧迫固定をし、激しい運動を避けるなどの安静を守る必要がある。
- 感染や出血、血腫など手術による合併症を起こすリスクがある。
1-2.皮膚有毛部切除法
アポクリン腺がワキ毛の生えている中心部分に分布しており、この皮膚部分を切除する方法です。剪除法との違いは、術後の圧迫固定が不要な点です。
- 術後の固定が不要なため、ADL復帰の早い。
- 保険適用のため費用が抑えられる。
- 傷口が大きい。
- 皮膚を縫い合わせるため、術後に皮膚トラブルが起きやすい。
- 再発のリスクがある。
1-3.超音波法
剪除法と似ていますが、ハサミの代わりに超音波メスを使用するのが特徴です。超音波メスを高速で振動させることにより、アポクリン腺を破壊し、その他の血管や神経は傷つけないよう温存する方法です。
手術時間は2時間程度で終わりますが、数日間は出血を抑えるために包帯で固定が必要となります。
- 傷口が小さい。
- 保険外なので高額になる。
- 超音波による摩擦熱が皮膚にダメージを与え、傷跡が残りやすい。
- むくみ、火傷などの合併症のリスクがある。
- 傷口の安定まで時間がかかる。
1-4.クアドラカット法
ワキの下を5ミリ程度カットして、細い針を差し込んでアポクリン腺を破壊・吸引する方法です。短時間で、痛みも少ないため、子供のワキガにも対応している場合があります。
- 傷口が小さいため手術痕が残りづらい。
- 手術時間が1時間程度で終わる。
- 保険外なので高額になる。
- 再発の可能性がある。
- 内部を見ないで操作するため、施術する側の技量に左右されやすい。
2)ボトックス注射
手術には抵抗がある場合、リスクの少ない方法としてボトックス注射を選択する方法があります。
ボツリヌス菌が作るたんぱく質から作られた薬をワキの下に注射し、エクリン腺の神経をブロックすることで汗の量を減らすことができます。
・ワキガだと保険適応は難しい?
保険適応になるかどうかは医師の診断によります。特定の部位から異常な汗が出る「原発性腋窩多汗症」と診断された場合は保険適用となります。「腋臭症」の診断に対しては保険適応外となります。
・ワキガに効果がある?
アポクリン腺はたんぱく質を含み、皮膚の常在菌によって分解されるとにおいを発生させます。ボトックス注射はエクリン腺に働きかけるものですが、汗の量を減らすことによって、においの改善にも効果が期待できます。
・持続性はあるのか?
1回の注射でおよそ半年程度の持続性があります。効果の差はありますが、年に1、2回の注射で効果が得られます。
- 治療時間が5分程度。
- 治療後に運動・入浴などの活動制限がない。
- 傷口ができない。
- 汗腺を取り除くわけではないので、効果は永続的ではない。
- 繰り返しの治療が必要。
- 保険外なので高額になる。
手術を選択をする上で気を付けたいこと
・保険外の治療を過去に一度でも行った場合、あとから保険適用の手術を受けられない場合があります。まずは皮膚科を受診し、医師のカウンセリングを受けて、ご自分に合った治療計画を立てることが重要です。
・保険外治療は高額です。術後にトラブルが起こることもあるため、アフターケアがしっかりしている病院や施設で行うことが大切です。
ワキガの根本改善まとめ
- ワキガの根治治療には、アポクリン腺を除去する手術が有効である。
- ワキガの治療にはアポクリン腺を除去する手術とボトックス注射で治す方法がある。
- アポクリン腺除去手術のうち、保険適応になるのは剪除法と皮膚有毛部切除法。スタンダードな治療方法は剪除法(皮弁法)。
- 保険外の手術には超音波法やクアドラカット法などがある。
- 傷口が小さく、短時間で終わるなどのメリットがある一方、傷の安定まで時間がかかり、施術者の技量に左右されやすいというデメリットもある。
- ボトックス注射は多汗症に対する治療だが、汗を抑制することでワキガにも効果が期待できる。
まずは受診をし、医師のカウンセリングを受けてみましょう。
そして、ご自身のライフスタイルに合った治療計画を立てることが、悔いのない一歩となるでしょう。