【最新版】NIPTとは?費用や医療費控除について徹底解説
新型出生前診断(NIPT)とは出生前診断の中では非確定検査と分類され胎児の染色体異常の有無について調べるスクリーニング検査のひとつです。
この検査を受けることで、自分たちの妊娠や出産に関する選択肢を増やすことが出来ます。
しかし、実際の検査にはどれぐらいの費用がかかり、医療費控除や健康保険の対象になるのかどうかはあまり知られていません。
そこで、今回は新型出生前診断(NIPT)の概要から、実際にかかる費用、各種保険や控除の対象になるのかを解説していきます。
NIPTの費用や医療費控除される?の概要
- NIPTとは赤ちゃんの特定の染色体疾患を調べることが出来る検査
- 検査でわかる染色体疾患は3種類
- 新型出生前診断(NIPT)にかかる費用は約20万円前後
- 医療保険や医療費控除は適用されない
NIPT(新型出生前診断)を受けることができる病院や施設についてはこの記事で詳しく解説しています。
認可施設・無認可施設も併せて紹介しているのでぜひご覧ください。
Contents
新型出生前診断(NIPT)とは
新型出生前診断(NIPT)は、妊婦さんの血液中に含まれる胎児のDNA断片を分析することで、赤ちゃんの特定の染色体疾患を調べることが出来る検査です。
検査では、次の3つを調べることが出来ます。
検査でわかる染色体疾患
- パトウ症候群(13トリソミー)
- エドワーズ症候群(18トリソミー)
- ダウン症候群(21トリソミー)
新型出生前診断(NIPT)では上記の3つの疾患を低リスク・高精度で検査をすることが出来るため、近年検査をする妊婦さんが増加しています。
各種検査の費用
新型出生前診断(NIPT)について詳しく解説していく前に、従来の出生前診断にかかる費用を確認しておきましょう。
超音波エコー検査の費用は約2〜3万円
超音波エコー検査の費用は約2〜3万円程度です。
通常定期的に実施される妊婦さんの検診に加え、担当医師の判断や妊婦さんからの要望に応じて形態学的な検査が行われます。
形態学的な検査の目的は、胎児の心臓や脳、消化器、頭の大きさなど、主要臓器の異常や染色体異常に伴う身体的な異常をの有無を明らかにすることです。
母体血清マーカー検査は約2〜3万円
母体血清マーカー検査の費用は約2〜3万円程度です。
妊婦さんから採取した血液から、胎児の遺伝子異常を検査出来ます。
よく新型出生前診断(NIPT)と比較されますが、検査精度や検査可能な妊娠週数、判定で出てくる結果などに違いがあるので混同しないよう、注意しましょう。
コンバインド検査は約3〜5万円
コンバインド検査の費用は約3〜5万円程度です。
上記で紹介した超音波エコー検査と母体血清マーカーを組み合わせた検査で、より精度を上げることが出来ます。
羊水検査の費用は約10〜20万円
羊水検査の費用は約10〜20万円です。
検査によって胎児の染色体異常や特定の遺伝子疾患の有無を調べられます。
また、妊婦さんのお腹を穿刺して羊水を検査するため、痛みや流産のリスクが発生するので注意しましょう。
絨毛検査の費用は費用は約10〜20万円
絨毛検査の費用は約10〜20万円です。
羊水検査同様、胎児の染色体異常や特定の遺伝子疾患の有無を調べられます。
羊水検査と比較して、2週間ほど検査を早めに受けることが出来る他、採取出来る胎児の細胞の量が多く、より正確な遺伝子検査に向いていることが特徴です。
しかし、流産の確率や感染症、検査の難易度が高く一定水準の技術が必要なことなど、ある程度のリスクが伴います。
新型出生前診断(NIPT)のメリット・デメリット
新型出生前診断(NIPT)のメリット・デメリットを解説していきます。
他の出生前検査と比較して、どの出生前検査を受けるのか、判断の材料にしてください。
新型出生前診断(NIPT)の4つのメリット
新型出生前診断(NIPT)には4つのメリットがあります。
4つのメリット
- メリット①|制度が高い
- メリット②|流産・死産のリスクが高い
- メリット③|早い時期から検査可能
- メリット④|検査が短時間で済む
それぞれ解説してきます。
メリット①|精度が高い
新型出生前診断(NIPT)の精度は99%以上です。
従来の非確定検査(超音波検査や母体血清マーカー)の検査感度は80〜85%程度で、非確定検査の中では最も精度が高いと言えます。
メリット②|流産・死産のリスクが低い
新型出生前診断のメリットの1つは流産・死産のリスクが低いことです。
新型出生前診断(NIPT)は妊婦さんの血液中の胎児の染色体の欠片を採血し、染色体異常がないか検査します。
確定検査は、新型出生前診断と比較して胎児流産のリスクが高い傾向にあり、羊水検査では0.1~0.3%、絨毛検査で1%ほどです。
メリット③|早い時期から検査可能
新型出生前診断(NIPT)は妊娠10週頃から検査が可能です。
妊娠から早い時期に胎児の状態を知ることが出来るので、その後の妊娠生活についてゆっくり考えられますし、その後の準備にも時間的な余裕が生まれます。
また、検査で陽性と判定された場合、羊水検査が勧められることが多いです。
新型出生前診断(NIPT)の結果が届くのが大体2週間前後なので、検査結果から約3週間前後、羊水検査を受けるかどうか判断することが出来ます。
メリット④|検査が短時間で済む
新型出生前診断(NIPT)は1回の来院でよく、採血のみで検査が可能です。
検査自体の時間は30分程度と、短時間で検査をすることが出来るので、仕事が忙しい女性やお子様がいる女性にとって、検査が短時間で済むことは大きなメリットと言えるでしょう。
新型出生前診断(NIPT)の4つのデメリット
新型出生診断(NIPT)にはメリットがある反面、デメリットも存在します。
主なデメリットは以下の4つです。
4つのデメリット
- デメリット①|陽性的中率が年齢に依存している
- デメリット②|施設によっては検査を受ける制限がある
- デメリット③|費用が高額
- デメリット④|検査出来る染色体が限定される
メリット同様、こちらも一つひとつ解説していきます。
デメリット①|陽性的中率が年齢に依存している
新型出生前診断(NIPT)は、妊婦さんの年齢が若ければ若いほど陽性的中率が低下します。
検査結果で陽性の判定が出た場合でも、必ず遺伝子異常があるというわけではありません。
確定検査である羊水検査や絨毛検査を新型出生検査(NIPT)後に受けることが推奨されています。
デメリット②|施設によっては検査を受ける制限がある
新型出生前診断(NIPT)は施設によりますが、検査を受けるための制限が設けられています。
出産時の年齢が35歳以上であることや、他の非確定検査で染色体異常の可能性がある場合などの条件を満たす妊婦さんのみとされていることが多いです。
認可施設の医療機関は上記の制限を遵守しているため、条件を満たさない妊婦さんは新型出生前診断(NIPT)を受けることが出来ません。
ただし、認可外の施設でも新型出生前診断(NIPT)を受けることが出来ます。
「違法で検査を行っている」というわけではなく、「新型出生前診断(NIPT)を条件を満たさなくても受けたい」というニーズに答えた結果、認可外となっているというだけです。
検査が受けられる条件を満たしていないが、新型出生前診断(NIPT)を受けたいという妊婦さんは認可外施設で受診しましょう。
デメリット③|費用が高額
新型出生前診断(NIPT)は、一般的に20万前後の費用がかかります。
これは他の非確定検査と比較すると高額です。
胎児の染色体異常について、より正確な情報を得るために同額程度の費用がかかるとなると、死産・流産のリスクが少なく、様々なメリットがある新型出生前診断(NIPT)を受診する方がよいと考えられます。
また、一部のクリニックでは新型出生前診断(NIPT)で陽性と診断された場合の羊水検査の費用を負担してくれることもあるようです。
デメリット④|検査出来る染色体が限定される
新型出生前診断(NIPT)では検査出来る染色体は
検査出来る染色体
- パトウ症候群(13トリソミー)
- エドワーズ症候群(18トリソミー)
- ダウン症候群(21トリソミー)
のみとされています。
クラインフェルター症候群やターナー症候群など、別の可能性もあるため、新型出生前診断(NIPT)だけでは全ての症状を調べられません。
新型出生前診断(NIPT)を実施している医療機関では、すべての常染色体と、性染色体、染色体の数的異常だけでなく構造的異常である微小欠失まで調べることが出来る検査をオプションプランとして設けている場合があります。
追加で費用がかかってしまいますが、
「新型出生前診断(NIPT)だけでは不安だ」
という方は、まずは専門の医師に相談することも一つの手です。
新型出生前診断(NIPT)にかかる費用は?
新型出生前診断(NIPT)にかかる費用は約20万円前後と言われています。
検査単体では高額ですが、検査結果後に確定検査が必要な費用を実費で負担してくれる施設もあるようです。
詳しく解説していきます。
新型出生前診断(NIPT)の費用相場は20万円前後
新型出生前診断(NIPT)の費用相場は20万円前後です。
医療機関や選択するプランにによっては8万円から検査出来ることもあります。
価格が安ければよいというわけではなく、その分アフターフォローがない場合もあるので、選ぶ前に事前に確認しておきましょう。
また、費用にバラつきがある理由として、認可施設か、認可外施設かがあります。
産婦人科があることや出生前カウンセリングを行うなど、一定の条件を満たすことが必要です。
現在、認可施設は全国で約90箇所程度で、まだまだ少ないと言えるでしょう。
また、認可施設で新型出生検査(NIPT)を受けるためには、妊婦さんの年齢が35歳以上でなければならないなどの一定の制約があります。
「35歳以下でも、新型出生検査(NIPT)を受けたい」
というニーズに答えた施設が認可外施設です。
認可施設では学会が定めたルールやプランがありますが、学会の枠組みにない認可外施設では、そのようなルールやプランは存在していません。
医師の定めたプランが用意されており、妊婦自らがプラン内容の選択することが出来ます。
自分にとって必要な情報を選ぶことが出来れば、その分費用を抑えることが出来るのです。
少しでも節約をするのなら、プランを自由に選べる認可外施設の方が、負担も少なくお勧めになります。
医師の他に専門のカウンセラーも常勤してますので、「自分にとってどのプランが必要なのか」を相談してみるといいでしょう。
新型出生前診断(NIPT)後の確定検査の費用相場は10〜20万円
新型出生前診断(NIPT)は精度が高い検査ですが、確定検査ではありません。
陽性または判定保留が続いた場合、確定検査を受ける必要があります。
一般的に、確定検査は、絨毛検査よりも流産のリスクが低い羊水検査を行うことが多いです。
羊水検査は、確定検査の1つで針でお腹を穿刺して羊水を直接検査する方法。
妊娠15~16週目以降から受けられる検査で、非確定検査と比べると直接お腹に針を刺すので痛みを伴うことや0.2〜0.3%程度、流産のリスクが生じます。
羊水検査の費用は約10~20万円と言われていますが、医療機関によっては一定の条件を満たせば実費を負担してくれる場合もあるようです。
医療機関によっては確定検査の実費を負担してくれる所も
新型出生前検査(NIPT)で陽性または判定保留が続いた場合、確定検査(羊水検査または絨毛検査)を受ける必要があります。
日本医学会の認定施設では、ほとんどの施設で新型出生前診断(NIPT)の価格に確定検査の費用も含まれています。
認可外施設での検査でも、確定検査代を実費負担してくれるクリニックもあり、新型出生前診断(NIPT)の前にそういったサービスがないか、確認しておきましょう。
新型出生前診断(NIPT)は保険や医療費控除は適用されない?
新型出生前診断(NIPT)の検査費用は20万円前後と、高額であることが分かりました。
では、そんな高額な新型出生前診断(NIPT)は医療費控除や保険適用の対象になるのでしょうか。
新型出生前診断(NIPT)は保険・医療費控除は適用されない
新型出生前診断(NIPT)は医療保険や医療費控除は適用されません。
医療費控除の対象となる項目は、主に病気の診療です。
妊娠中に病気や怪我で診療が必要になった場合は、医療費控除の対象となります。
医療費控除の対象とならない項目は、病気の診療以外の部分です。
新型出生前診断が医療費控除の対象にならない理由は、検査で胎児の染色体数の異常の可能性が認められても、必ずしも治療につながるわけではないからです。
国税庁も、出生前遺伝学的検査の費用は医療費控除の対象にならないと言及しています。
新型出生前診断(NIPT)は受けた方がいい?
NIPTの費用や医療費控除される?のまとめ
- NIPTとは赤ちゃんの特定の染色体疾患を調べることが出来る検査
- 検査でわかる染色体疾患は3種類
- 新型出生前診断(NIPT)にかかる費用は約20万円前後
- 医療保険や医療費控除は適用されない
新型出生前診断(NIPT)は受けた方がよいかどうかは、その妊婦さんや夫婦の間で意思決定した方がよいでしょう。
事前に自分の子に染色体異常があるかどうかがわかれば、中絶をするか、出産をするか、夫婦の間で余裕をもって話し合いをすることが出来ます。
どちらの判断が正しいか間違っているかではなく、予め様々な場合を想定して、準備をしておくことが大切です。