
「ノニ」という植物をご存知でしょうか?
世界的トップモデルが幼少期より愛飲している「スーパーフード」として話題になりました。
「美容に良い」「健康に良い」と謳われ、ジュースやお茶、サプリメントなど様々な商品が販売されていますが、ノニにはどのような効果があるのでしょうか?
今回は【ノニの成分】【ノニの効果・効能】や【ノニの安全性】ついてお伝えしていきます。
ノニとは?
ノニはハワイの呼び名で、日本ではヤエヤマアオキ(八重山青木)と呼ばれています。学名はmorinda citrifolia(モリンダ・シトリフォリア)で、インドネシア原産の熱帯性植物です。
日本では沖縄でのみ自生・栽培されており、
高さは5m程度の常緑の灌木で、表面がボコボコとした特徴的な果実を実らせます。
若い果実は緑色ですが、熟してくると黄色〜白色になり、独特の匂い(中鎖脂肪酸の発酵臭)を発するのが特徴です。
古くから東南アジア諸国などの熱帯地域では、ノニの果実をはじめ、根、茎、葉、花は食用・民間薬として利用されてきました。薬として親しまれてきたノニが、現代人の乱れた生活による不調に効果的であると注目を集めています。
ノニの成分
ノニの栄養成分は約140種類以上含まれているとされています。
ビタミンC、ビタミンB群、アミノ酸、カリウムなどのミネラル、β-カロテン、オレイン酸、リノール酸など、健康維持や美容に欠かせない成分を豊富に含んでいます。イリドイド、プロキセロン、スコポレチン、など聴き馴染みの無い成分も含まれていますが、これらも健康増進に有効な成分です。
ノニの効果・効能
前述した通り、ノニには多くの有効成分が含まれています。これらの有効成分が働き、次のような効果を期待することができます。
生活習慣病の予防効果
ノニには果実や種子にスコポレチンという成分が含まれています。このスコポレチンには血管拡張作用、血管をしなやかにして、血液をサラサラにする効果もあります。
また、ノニにはカリウムが多く含まれており、体内の余剰なナトリウム排泄に働くため、血圧を下げる効果があります。
このスコポレチンとカリウムの働きにより、高血圧改善効果が期待できます。
また、動物実験ではノニに体重増加を抑制する効果があることが確認されており※1、肥満予防・高血圧予防効果から生活習慣病の予防に効果があると言えます。
ダイエット、美肌・美容効果
ノニにはカリウムが豊富に含まれており、体内の余分な水分を排出し、浮腫を改善する効果あり、体脂肪減量に効果的な中鎖脂肪酸が豊富で、ダイエット効果が期待できます。
また、ノニには抗酸化物質も含まれているため美白効果・アンチエイジング効果が期待できます。シミやそばかすの予防・改善に効果的なビタミンCも豊富に含まれており、女性には嬉しい効果が多くありそうです。
免疫力を高める効果
ノニには、ビタミンCやプロキセロニンやイリドイドがふくまれており、これらが免疫細胞を活性化させるのに役立ちます。
また、スコポレチン、プロキセロニンなどには抗菌作用があるため、感染症を予防したり、感染症からの回復をはやめる効果が期待できます。
睡眠改善、ストレス緩和
ノニに含まれるスコポレチンなどの成分が、セロトニン合成を促進するため、疲労軽減効果や睡眠障害の改善が期待できます。
また、セロトニンはストレスを緩和する働きがあるため、ノニの摂取によりセロトニン分泌が促されればストレスの緩和効果も期待できます。
ノニの摂取方法
ノニの摂取方法としては、果実そのまま、ジュース、粉末、錠剤、お茶などが挙げられます。
果実は独特な匂いと苦味があり、その100%ジュースはバラエティ番組などで罰ゲームとして利用されることもあるほどクセがあります。
飲みにくさを軽減するために、他の果実の果汁とミックスしたものや、香料が添加された物も多く販売されていますが、ノニジュース100%に近い方がその効果をより得ることができます。
ノニジュースでは苦味や匂いが苦手で摂取し難いという方にはサプリメントや、お茶がおすすめです。
ノニの葉のお茶は爽やかでクセも少なく飲みやすくなっています。もちろん、果実だけでなく葉にも栄養素は多く含まれるので、無理なくノニの栄養素を摂取することが可能です。
ノニ商品の選び方
収穫時の果実の状態によっても、含有する栄養素の量が変わってきます。
完熟(落下したもの)では、栄養価が低下してしまうため、完熟前の「成熟果実」の状態が一番栄養価が高い状態です。※2
ジュースやサプリを購入する際には、収穫時の状態も選ぶ基準にすると良いですね。
ノニの安全性
ノニによる副作用に関する研究報告はありません。
しかし、ノニ摂取者が肝障害を発症したという報告や(ノニが原因であるか否かは不明)、肝障害のある患者が重症化したという報告書もありますが、因果関係は不明です。欧州食品安全機関は2009年に、ノニのジュースやピューレおよびエキスの安全評価書で、「現時点でのノニ製品と肝障害の因果関係は不明だが、報告件数が増加しているため一部の人で肝毒性を生じる可能性がある」としています。
日本医師会も「肝毒性副作用をもたらす可能性のある医薬品を投与されている患者はノニを摂取すべきではない」としており※3、内服中の薬がある場合にはノニの利用には注意が必要です。
(副作用として肝毒性のある薬品:利尿薬、ワルファリン、高血圧治療薬(ACE阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体遮断薬)など)
薬との相互作用の面では、ノニに含まれるビタミンKはワルファリンの効き目を減弱させてしまう可能性があるとされています。ワルファリン内服中の方のご使用は避けましょう。
また、ノニにはカリウムが豊富に含まれているため、腎機能障害でカリウム制限を行う人は高カリウム血症を生じるリスクがあります。実際に、腎不全患者がノニジュースを飲んで高カリウム血症を起こしたという報告もあります。※3
妊娠中、授乳中の使用については、安全性が確立しておらず、古くは月経促進薬として使用されていた歴史もあるため、使用は控えた方が良いでしょう。
その他、疾病治療中である場合には、ノニの使用に関して主治医に相談するようにして下さい。健康効果の高いとされるノニですが、場合によっては治療の妨げとなる場合があります。
まとめ
- ノニには約140種類以上の栄養素が含まれ、古くから熱帯地域では薬として利用されてきた。
- 生活習慣病予防効果、ダイエット・美容・美肌効果、免疫力を高める効果、睡眠改善・ストレス緩和効果が期待できる。
- 肝毒性を生じる可能性があり、薬との相互作用に注意。
- カリウムが豊富なため、腎機能障害のある方では高カリウム血症を引き起こすリスクがある。
※1: Nerurkar PV, Nishioka A, Eck PO, Johns LM, Volper E, Nerurkar VR. Regulation of glucose metabolism via hepatic forkhead transcription factor 1 (FoxO1) by Morinda citrifolia (noni) in high-fat diet-induced obese mice. Br J Nutr. 2012;108(2):218–228. doi:10.1017/S0007114511005563
※2:日本ノニ研究協会|http://www.noni-japan.com/
※3:日本医師会|ノニについて|https://www.med.or.jp/people/knkshoku/noni.html