明るい場所に出た時、突然黒い小さな虫のような点や、薄い雲のようなものが視界に現れたという経験はありませんか?

このような症状は「飛蚊症」と言います。

飛蚊症は若者からお年寄りまで起こる可能性がありますが、多くの場合治療しなくても問題はありません。

しかし、中には重大な眼の病気が潜んでいることがあるため注意が必要です。

今回は【飛蚊症について】詳しく解説しながら、【注意が必要な飛蚊症】についてもお伝えしていきます。

飛蚊症の症状

眼科では、視界で黒い物が飛ぶ症状を飛蚊症と言います。

蚊が飛んでいるように見えることから「飛蚊症」と言われますが、飛蚊症で視界に映る影は蚊のようなものだけではありません。

ゴマのような小さな斑点や、糸くず様のもの輪っかになっているものなど形は様々です。

色も透明から黒色で、一個だけ見えることも多数見えることもあります。

眼を左右上下に動かしても影も同様に移動し、白い壁や晴れた空を見た時にはっきりと現れるのが特徴です。

飛蚊症では、視界に影が映る他に痛みや視力の低下などの自覚症状を感じることがほとんどありません。

飛蚊症の「影」の正体は?

眼球の中は「硝子体」と呼ばれるゼリー状の透明な物質で満たされています。(正確には僅かに繊維も含まれています。)

私たちが見たものは、水晶体(レンズ)で屈折し、硝子体を通って網膜に映し出されます。本来は透明で濁りの無い硝子体に、何らかの原因によって「濁り」や「空洞」が生じるとそれが網膜に映り、影として認識されるのです。

飛蚊症での影の濃さや大きさは、濁りや空洞が網膜の近くにあればあるほど、濃く大きく映ります。

飛蚊症の原因

硝子体に濁りや空洞が発生する原因は、生理的なものと病的なものに分かれます。

▼生理的な飛蚊症

生理的な飛蚊症は、①生まれつき②加齢によるもの の影響であるため、治療は必要ありません。

  • 生まれつき

胎児の間は硝子体の中を血管が走行しています。

この血管はふつう産まれるまでには消えるのですが、稀に血管の一部や血管のまわりの組織が残存し、硝子体の濁りとして残ってしまうことがあるのです。

この濁りが飛蚊症の原因となるのですが、このような生まれつきのものは定期的な検査を受けて視力低下など異常がなければ、治療せず放置していても問題ないことが多いです。

  • 加齢によるもの

年齢を重ねると硝子体の性状が変化し、しぼんでいきます。さらに進行すると、通常くっついているはずの網膜と硝子体の間に隙間ができます(後部硝子体剥離)。この後部硝子体剥離が最も多い原因です。

後部硝子体剥離が生じると、硝子体の後部の膜が網膜に写りだされて飛蚊症を生じます。

この後部硝子体剥離は特別な病変ではなく、生理的な加齢変化で誰にでも起こりうる現象で60歳以降に好発します。

治療する必要はなく、定期的な検査を行い変化がなければ放置していても問題になることはほとんどありません。

とはいえ稀に重篤な病気であることもあるため、必ず眼科を受診しましょう。

▼病的な飛蚊症

 飛蚊症は治療の必要もなく、様子観察で問題のないものがほとんどですが、中には以下のような眼の病気の症状である場合もあります。

  • 網膜裂孔・網膜剥離

後部硝子体剥離が生じる際、しぼんでいく硝子体に引っ張られた網膜と硝子体の癒着部分に負荷がかかり穴が空いたり、破れたりすることがあります。これを網膜裂孔と言います。網膜裂孔を放置すると、破れた穴から硝子体液が流出し、網膜を裏側から剥がしてしまう網膜剥離が起きる可能性があります。

この網膜裂孔や網膜剥離では、飛蚊症が症状として出現することが多くあります。

飛蚊症のほかに、視界がチカチカ光る光視症が起きることもありますが、無症状の場合も多くあります。

進行すると、視力低下や視野の欠損を生じますが、網膜に痛覚は存在しないため、痛みを感じることはありません。

早期に適切な治療を行わなければ失明に至る可能性の高い疾患です。

治療方法は、網膜裂孔初期の場合、レーザー光凝固術で穴を塞ぎ剥離を防止します。痛みはなく、10分程度で終わる治療です。網膜剥離まで進行すると、入院・手術が必要になってきます。

  • 硝子体出血

糖尿病・高血圧などでは、網膜の循環不全から硝子体内に血液を求めて新しい血管が伸びていくことがあります。この新しく硝子体にできた血管から出血したり、外傷により出血した場合、飛蚊症を自覚する場合があります。

出血が多い場合には、墨が流れてきたような影が視界に映ります。

出血があっても、持続していなければ時間の経過とともに吸収されて視界の影も消失していきますが、出血量が多い場合や出血が持続する場合は止血のための治療が必要となります。

  • ぶどう膜炎

眼の虹彩・毛様体・脈絡膜とその周辺組織に生じる炎症をぶどう膜炎と言います。虹彩はいわゆる黒目の部分で、毛様体はレンズのピント調節を行う黒目の周りの部分です。脈絡膜は血管が豊富で、眼球を覆う膜です。

このうち毛様体と脈絡膜に炎症が生じると、炎症によって生じた物質や白血球などが硝子体内に流出して濁りが生じ、飛蚊症を生じます。

飛蚊症の他に、充血、目のかすみ、痛みを伴います。受診せずに放置していると、緑内障や白内障、網膜剥離へ移行する可能性もあるため早期の治療が必要です。

飛蚊症を自覚したら、受診しましょう。

飛蚊症の多くは心配のないケースですが、お伝えしたように失明する可能性のある重大な病気の症状である可能性もあります。その可能性を否定するためにも、飛蚊症を自覚したら自己判断で放置せずに必ず眼科を受診しましょう。

 特に、後部硝子体剥離の後発年齢である60歳を過ぎている場合、後部硝子体剥離の有無や網膜裂孔の有無をチェックしてもらうために早めに受診しましょう。

後部硝子体剥離と診断を受けた場合も、注意!

眼科を受診して、後部硝子体剥離と診断された後も次のような症状が出現していれば網膜裂孔・網膜剥離を生じている可能性がありますので、直ちに眼科を受診してください。

・視界の影が、急に増えた・大きくなった場合

 網膜裂孔を生じている危険性があります。早めに受診しましょう。

・視界がチカチカ光って見えた場合

 網膜裂孔・網膜剥離を生じている可能性があるため、早めに受診しましょう。

まとめ

 飛蚊症は痛みや痒みなど他に症状を伴わず、軽視される傾向にあります。確かに問題のないケースがほとんどですが、お伝えしたように失明に至る危険性のある眼の病気の可能性もあるため、自己判断で放置しないようにしましょう。

網膜剥離や網膜裂孔、硝子体出血などが発生していないか確認するためにも必ず眼科を受診しましょう。

・飛蚊症とは、視界に黒い影が現れる症状のこと

・ほとんどの場合は生理的なもので問題のないことが多い

・年齢を重ねると(特に60歳以降)発生しやすい

・失明に至る可能性のある重大な眼の病気で、飛蚊症の症状がでることもある

・問題のない飛蚊症なのかどうか、確認するためにも早期受診をしましょう

参考ページ

公益社団法人 日本眼科医会 ホームページ

日本眼科学会 ホームページ

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