がんの名医に聞く「がん医療の現在」「末期がん医療のあり方」

がんの名医に聞く「がん医療の現在」「末期がん医療のあり方」


横浜市港北区、新横浜駅前で新横浜かとうクリニックを開業する加藤洋一医師は、標準治療から先端治療まで様々な治療で多くの患者さんを診療してきました。そんな加藤医師に「がん医療の現在」「末期がん医療のあり方」などについてお話をうかがいました。

患者さんひとりひとりに対して
最適な治療を選ぶオーダーメイド治療に

がん治療は日々、進歩していますが、一番変わりつつあることは何でしょうか?

 従来のがん治療は、部位やステージ、それまでの治療によってやることが決まっていました。ところが、それに限界があることがわかってきて、免疫や遺伝子といったがんの原因からアプローチするようになりました。免疫が十分に働いていないからがんになり、遺伝子に異常があるからがんになるのです。遺伝子がどのように異常なのか、免疫がどんな状態なのかで、がんの性質があり、それに応じた治療があります。乳がんを例に挙げると、女性ホルモンが関係しているがんであれば、ホルモン剤が効きます。HER2という蛋白質を出しているがんであれば、ハーセプチンという分子標的薬が使えます。これからは患者さんひとりひとりに対して最適な治療を選ぶオーダーメイド治療の方向に進んでいくでしょう。

国はがんゲノム医療を推進していますね。

 がんの原因となる遺伝子がどんどんわかってきました。例えば、100人に1人しかない遺伝子の異常で発症する肺がんがあります。この患者さんに対しては80%の方に効果がある治療薬があります。だから、がんになったら網羅的に遺伝子をスクリーニングしないと、患者さんにとって最適な治療は突き止められません。もうひとつ、制度上の問題もあるのではないでしょうか。遺伝子の変異で80%効く薬がわかったとしても、それが保険適応でなければ、何百万円、何千万円という費用は全て自己負担になります。そんな金額を払えるのは、本当にひと握りの方でしょうから、真実を知ることで、かえって不幸な結果になりかねないのです。

緩和ケアでは全身の状態を維持することが重要

患者さんに対して心がけていることは?

 標準治療はガイドラインに沿って行われますが、それをやり尽くすと、後は緩和ケアしかありません。でも、それが患者さんの希望を失わせてしまうんです。標準治療以外でもまだやれることはたくさんあります。患者さんに生きる選択肢、治る選択肢を与えるのが、医療の使命ではないでしょうか。

進行がんの患者さんの診療は大変だと思いますが……

 ステージ4や末期の患者さんは確かに大変です。化学療法でがんが小さくなっても、肝臓が悪くなることがあるように、副作用への備えが求められます。痛みを和らげるために、麻薬を処方すると、食欲が落ちますから、栄養管理だって必要です。ひとつの治療をやって完了というわけではなくて、とにかく手間はかかります。それでも、がん医療の最終的な目標はたとえ末期であっても治せることだと思っています。やはり患者さんのがんが消えて元気になってくれるのが、何よりのやり甲斐ですね。

末期がんの患者さんを相手する上で求められることは?

 多くの末期がんの患者さんは合併症で亡くなります。がんを小さくすることと同じくらい、全身の状態を維持していく必要があります。基本、がんの治療は大変です。だから、しっかり食べて、眠って、運動が出来て……ある程度の日常生活が保てる体力が不可欠です。だから、ステージ4で寝たきりの患者さんでも起こして歩かせて、お腹が空いたら食事をするようにさせないと。緩和ケアでは痛みを取ることばかりに注力しがちですが、全身の状態を維持することが、同じくらい重要なのです。

医療法人社団神樹会
新横浜かとうクリニック
院長 加藤洋一

平成20年、新横浜かとうクリニック院長。平成22年、医療法人社団神樹会理事長。平成23年、横浜市港北区港北医療センター理事・横浜市医師会代議員・神奈川県医師会代議員・横浜市外科医会学術担当理事・聖マリアンナ医科大学放射線講師。平成27年、一般社団法人横浜市港北区医師会副会長・港北医療センター副センター長。平成29年、横浜外科医会副会長。

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