エルトン・ジョンやスティングの衣装を手掛けるなど、国際的に評価の高いファッションデザイナーである小西良幸さん。

バブル崩壊とともに大きな負債を抱えたが、タレントとして大ブレイク。ファッションチェックでの的確なコメントが人気を博し、「ドン小西」の愛称で親しまれている。

10年前に大きな心臓の手術を経験した小西さんに、人生観について伺った。

心臓の大きな病気をされましたね。

2011年11月に『主治医が見つかる診療所』というTV番組に出演して、人間ドックを受けてみたんです。結果、心臓の大動脈弁に異常があって、血液が逆流していることが判明。

当時61歳でしたが僕は生涯現役でいたいから、手術のリスクよりも万全のコンディションであることを選びました。

それで翌月には心臓弁を人工のものにする手術を受けることを決めたんです。

上行大脈が破裂寸前だから、心肺停止させての大手術でした。でもそれが今や実年齢70代だけど心臓だけは40代(笑)。

手術後、人生観は変わりましたか?

「世界に生かされている。まだまだやるぞ」と思いましたね。

気が付いたのは、「人は簡単に死ぬ」ってこと。

たまたま生かされて手術からも生還出来たんです。

これからの人生、どうしたら人の役に立てるのか、アーティストとして感動を残せるのかということを考えて仕事をするようになりました。

何か役割があるからこそ人間は生かされていると、僕は思っています。

役割を果たすとはどういうことでしょうか?

社会に関わっていく手段として、仕事がまず挙げられると思います。

仕事とは、ただ労働して賃金が得られればいいというわけではないし、社会で大きな成功を収めて、大金を稼ぐことでもない。

目に見える数字だけではなく、何か付加価値を求めること。

デザイナーである僕でいえばタレントさんでも議員さんでもここぞという時に僕に衣装作りを頼んでくれるという付加価値があるかないか。

着てもシワが寄らず、疲れず心地がいい服を仕立てられる──長くやっていなければ出来ない技術です。

それに加えて、体形の崩れさえも着る方の魅力に感じさせるような魅せ方をプラスすることが出来るかどうか。

普通なら長く一緒にいてやっとわかるような着る方の魅力や個性を、客観的に観察しながら、瞬時に判断して服に反映していくんです。

そうやって僕の服を着た方、見た方の心を華やがせるような感動が生まれると思っています。

暑さ寒さを凌ぐための服は、所詮は衣料。

感動なんかない。

時代まで動かしていくような装いの文化。

人間の感情を揺さぶる無形の資産です。

それが本当のファッション。

数字では表現出来ない人生の「コク」を生み出すのが、僕の仕事、そして役割なのかなと思います。

患者さんにメッセージを。

今、入院されている方は、先の不安で一杯かもしれません。

でも、安心してください、僕は何十年も生きている中で、もう限界だと思った予想が、見事に全部外れ(笑)。

残念ながら神様は人間に予知能力なんて与えていない。

酷いうつ病を患ったこともあるし、心臓の手術もしました。

何十億円も借金を抱えたこともあるけど、今、こうして現役で僕の役割を務めさせてもらっているもの。

逞しく日々を過ごしていればどうにかなりますよ。

自由時間がたくさんあって、寒くも暑くもない気候の中、おいしいご飯が3食出る──それだけが幸せじゃないですよ。

生きている間に何かを生み出し続ける、誰かのお役に立とうと努力する、そして誰かに当てにされる自分でいるために、苦しみながらも頑張って生きていく……ことが人生の意義なんじゃないかな。

その気になれば何でも実りますよ。

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