1973年のデビュー以来、数多くのヒット曲を生み出した歌手、作曲家であり、俳優や映画監督としてもマルチな才能を発揮する宇崎竜童さん。

2021年2月20日より公開される在宅医療をテーマにした映画『痛くない死に方』に、末期の肺がん患者・本多彰の役で出演する。

映画公開を控えた宇崎さんに、役や歌に込めた思いについてお話を聞いた。

末期のがん患者という難しい役どころですね。

本作品は死に向かっていく患者を見守りながら、柄本佑君が演じる若い医師が成長していく姿を描いていますが、医師と患者の生き方の物語でもあります。

僕が演じる本多彰は、高橋伴明監督オリジナルのキャラクター。実は、この役が伴明さんにそっくり。

伴明さんはこの役に自分の思いを込めたんだろうと思いました。

本多は病の不便や不安をユーモアとウィットに富む川柳で表現します。

彼は自分の苦しみをストレートには伝えない。

人間的に温かいキャラクターだなと思いました。

そういう周囲への優しさ、家族に対する愛、それがほんの数秒のシーンに現れているんです。

この役を演じた撮影の数日間で、伴明さんの人間性を見ましたね。

作品を通じて死生観は変わりましたか?

人生の最期の理想をいえば、寿命が来たら、自然にぽっくり逝くような終わり方が一番。

病気になったら治る段階であれば精一杯頑張るけれど、お迎えを待つような年齢や段階になったら、自宅で家族に看取られながら逝きたいなと思うようになりました。

この作品に出会うまで、在宅死という言葉を知りませんでした。家に来てくれるお医者さんだっているんですね。

痛くない死に方がしたいです(笑)。

これまでに試練だったことは何ですか?

53歳の時、レコード会社から突然。

契約終了といわれたことがあります。

深い大人の事情があったんだけれど、凄いショックでした。

もうプロモーションツアーもやれない状態。

そこで、自分で企画して、五十三次の宿場を日本橋からバイクで回って、弾き語りのライブツアーをしたんです。

ホールばかりじゃなくてライブハウス、お寺の境内、音楽堂、教会でもやりました。

橋の下でも歌いましたよ(笑)。

五十三次最後の宿場は京都の三条大橋。

僕の生まれ故郷である京都の弥次喜多の像がある三条大橋の下でしたが、お客さんは何と5人(笑)。

レコード会社からはいらないといわれ、自分でライブをやればお客さんが集まらない。

僕ってその程度の存在なんだな、もう止めちゃおうかなと思いましたよ。

それでも今なお歌い続けていらっしゃいます。

有難いことにその後、どんどん仕事が入ってきたんです。

2020年に新型コロナウイルスの感染拡大でイベントを自粛するようになる直前まで、年間80本以上の弾き語りのライブをやり、ロックコンサートやフェスもあって……仕事があったから続けてこられました。

まだ止めるんじゃねえよということだったんでしょうね(笑)。

でもね、いつでも元気なわけじゃありません。

毎日、いや毎瞬間、落ち込んで、それでもすぐに立ち直るんです(笑)。

落ち込む度に誰かに引き上げてもらったり、下から押し上げて貰ったり……。

いろいろな方が支えてくれて、ここまで来れました。


映画『痛くない死に方』
2021年2月20日公開
シネスイッチ銀座ほか

監督・脚本:高橋伴明
原作・医療監修:長尾和宏『痛い在宅医』『痛くない死に方』ブックマン社
キャスト・柄本佑、坂井真紀、余貴美子、大谷直子、宇崎竜童、奥田瑛二

公式WEBサイト http://itakunaishinikata.com/
劇場情報 https://itakunaishinikata.com/#theater

《あらすじ》

在宅医療に従事する医師の河田仁(柄本佑)は、ある時、末期の肺がん患者である井上敏夫(下元史朗)を担当する。

敏夫の娘の智美(坂井真紀)が、「痛くない在宅医」を選択したからだ。しかし、智美夫婦の献身的な看病もむなしく、敏夫は苦しみ続けて亡くなってしまう。

「『痛くない在宅医』を選んだはずなのに、結局苦しませる結果になってしまった。

入院したまま最期を迎えさせたほうがよかったのか、病院から自宅に連れ戻した自分が父を殺したことになるのか」と、智美は自分を責める。

河田は、患者に対し、もっと別に出来ることが沢山あったのではないかと悔恨の念に苛まれる。

河田は在宅医の先輩である長野浩平(奥田瑛二)の下で在宅医としてあるべき姿を模索するようになる。

大病院の専門医と在宅医の決定的な違いは何か、長野から学んでゆく。

そして2年後、末期の肺がん患者である本多彰(宇崎竜童)を担当することになる。

果たして、「痛くない死に方」は実践出来るのか……。


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