医師は、とにかく目の前の患者さんを救いたい――その思いが全て

がん免疫療法のリーディング企業であるテラ株式会社を創業し、医師によるバイオベンチャーとしては極めて異例の早さでJASDAQ上場を果たした矢﨑雄一郎医師。

日本の再生医療、がん医療に大きな変革を起こした。現在は次世代がん医療についての研究を継続しつつ、自身のクリニックでがん患者ひとりひとりと向き合い、精力的に治療に取り組んでいる。

外科医として臨床の場に身を置きながら、一転起業して上場という例のない経歴をお持ちですが……。

僕は左脳より右脳、感覚で行動する性分なんです。

学生時代はロックに嵌り、バンドを組むなど、音楽に夢中でした。

常に新しい何かを作り出すのが好きで……ビジネスの世界に身を投じたのはその延長線上にあることかもしれません。

医大卒業後は大学病院に消化器外科医として勤務していました。

やりがいもあり、チームも充実していました。

しかし、抗がん剤の副作用で食欲がなくなり、体力が落ちた結果、退院出来ずにそのまま亡くなる患者さんが、あまりに多いのを見て、標準治療、特に化学療法は進行がんを克服する上では限界があることを思い知らされました。

そして、1999年3月に一度医師を辞めたんです。特に旅程を決めず欧州に飛び、松村先生監修の『ゲノム』という本一冊持って、1年間くらいバックパッカーをしました。所謂「自分探しの旅」です(笑)。

旅の間自問自答を続けたのは、人生を賭してすべきことは何かということでした。

樹状細胞ワクチンにフォーカスした理由は?

2004年、テラ株式会社を立ち上げ、2009年には念願の上場を果たします。

医師が創業し上場したのは、日本では僕が初めてではないでしょうか。

ベンチャーが次々に誕生する時代に生まれたという幸運もあったでしょう。

ただ、上場したからには株主のために利益を追い求めなくてはなりません。

会社としては樹状細胞ワクチンの保険適用を目指そうという流れになりました。

そのためには長い時と多くの費用をかけて、治験に選択と集中をし、エビデンスを集めなければならない。

経営資源は限られていますから、その間は新しいがん治療を生み出したりする研究や臨床は出来ません。

樹状細胞ワクチンを世間に普及させる役目は果たしたと思い、次のステージ――目の前の患者さんをこれまで以上に高い治療成果を上げて救う新たな研究と臨床の場に、身を転じることにしました。

読者の皆さんにメッセージを。

がんを当たり前のように治せる技術を確立する――それが僕の夢です。

私の考える次のテーマは、ゲノム情報に基づいた樹状細胞ワクチン。

今も患者さんの治療を行いながら、新しい治療の研究を続けています。

医師は、とにかく目の前の患者さんを救いたい――その思いが全てなんです。

僕も、全力でがんと闘うので、諦めずに一緒に頑張りましょう。

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事