「先進医療ってよく聞くけどよく分からない」

「先進医療にはどういうものがあるの?」

という方のためにこの記事は書かれています。

先進医療を一般の方で詳しく知っていることは少ないのではないでしょうか?

しかし、これから日本では高齢化が進み、ますますがん患者が増加していく見込みです。

ぜひ先進医療に詳しくなって万が一ご自身ががんになってしまった時に利用してみてはいかがでしょうか?

先進医療とは何か?

先進医療制度とは、厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療法です。

先進医療は厚生労働大臣が定める施設基準に適した病院または診療所でなければ受けることができません。

厚生労働省では、個々の先進医療について実施可能な医療機関の施設基準を定めており、その条件をクリアした医療機関にしか先進医療を実施する許可を与えていないのです。

そのため、すべての医療機関が自由に先進医療を行えるわけではありません。

また、実際に安全性と有効性が認められるかどうか、その点が今まさに検証されている最中の治療でもあります。

さらに先進医療は時期ごとに変化します。

日本の医療には、公的医療に適用になるものとならないものがありますが、ならないものの中には将来的に公的医療保険の適用にするかどうかを判断するための評価をされるものがあります。

それらの医療は評価療法と呼ばれ、先進医療もこの中に含まれます。

ただし、評価療法だからといって将来的に公的医療保険適用になることが確定しているわけではありません。

評価の結果、安全性・有効性が認められなければ公的医療保険は適用されず評価療法からも除外されてしまいます。

いずれにしても重要なことは一定期間を経ると評価療法の内容は変化し、先進医療に認可されている治療の内容も変化することです。

 先進医療は第2項先進医療と第3項先進医療に分類され、第3項先進医療は高度医療と呼ばれることもあります。

この2つの医療の違いは、第2項の医療で使われる医薬品や医療機器はすべて薬事法で承認・認証・適用されているのに対して、第3項では、そうでない医薬品や医療機器も含まれているというところです。

第3項先進医療で未承認の医薬品や医療機器は、使用実績を重ねて、薬事法での承認などを目指しています。

費用負担の考え方

一般的に治療を受けた場合、公的医療保険が適用されるため実際にかかった費用のうち患者が負担する部分は一部でだけですが、先進医療を受けた場合、かかった費用は全額患者負担となります。

ただし、先進医療にかかった費用以外の通常の医療と共通する部分は公的医療保険が適用されます。

通常の医療と共通する部分とは診察、検査、投薬、入院料等です。

つまり、患者負担になるのは先進医療にかかる技術料ということです。

この技術料にかかる金額は病院や疾患ごとに異なりますので、先進医療では通常の医療に比べて負担額が大きくなるのは間違いないでしょう。

わかりづらいと感じた方のために先進医療の自己負担の例を挙げておきます。

総医療費が100万円、先進医療にかかる金額が20万円だった場合

保険給付分は100−20=80(万円)となります。

この7割に当たる80×0.7=56(万円)は医療保険からの給付となります。

残りの24(万円)は患者負担となります。

したがって、先進医療にかかる金額の20万円がここに加算されますので、患者が負担する金額は44万円となります。

がんの先進医療にはどんなものがあるか?

がんの治療法には大きく分けて以下の3つの方法があります。

  • 手術療法
  • 化学療法
  • 放射線療法

この中で、「放射線療法」は体外から放射線を照射し、がん細胞の増殖能を奪うものです。

放射線療法で用いる放射線には種類があり、「光子線(γ線、X線など)」と「粒子線(陽子線、重粒子線)」に大きく分類することができます。

この2種類の放射線は身体へのダメージという点で異なります。

光子線は身体へ照射した時、がん細胞以外の細胞も破壊してしまいます。

粒子線は光子線に比べて身体への影響が少ないです。

がん治療において病巣に集中して放射線を当てつつ、正常な組織への影響を最小限にすることが良い放射線療法ですので、粒子線はがん治療にとても効果的です。

粒子線を用いた治療は先進医療第3項に分類されています。

それでは、がんの先進医療で使用される粒子線での治療からご紹介していきます。

陽子線治療

概要

陽子線治療とは、加速された粒子線の一種である陽子線を患者の腫瘍性の病変に照射して治療するものです。

重粒子線も同様ですが、陽子線が腫瘍の増殖を抑えるのに有効なのは「止まる」という性質を有しているからです。

粒子線は一般的に医療に用いられる放射線であるX線とは異なり「止まる」地点で細胞へ与える影響が最大になります。

また「止まる」地点は放出された粒子線の持つエネルギーで決まります。

そして「止まる」地点より奥にある組織にはほとんど影響を与えません。

したがって陽子線や、重粒子線は始めに与えるエネルギーをコントロールすれば、がんに集中して放射線を当てることが可能です。

加えて「止まる」地点で細胞へ与える影響が最大になることは他の放射線と比べて身体に与える影響が少なく効率良くがん細胞を破壊できるということでもあります。

つまり副作用も通常の放射線治療と比べて少なくなります。

ただし、局所で副作用を起こすこともあります。

治療の流れ

治療はベッドに寝た姿勢で受けます。

原則1日1回、週に3〜5回行い、合計4〜40回程度繰り返します。

この回数は疾患の種類や程度、部位によって異なります。

1回の治療時間は15〜30分程度ですが、疾患によってはそれ以上に時間がかかることもあります。

適応

以下の疾患に適応されます。

  • 脳腫瘍
  • 頭頸部のがん
  • 食道がん
  • 非小細胞性の肺がん
  • 肝がん
  • 膵がん
  • 前立腺がん

費用

厚生労働省の「第71回先進医療会議資料 平成30年度(平成29年7月1日~平成30年6月30日)実績報告」によりますと、1件あたりの技術料は約271万円です。

重粒子線治療

概要

陽子線治療では陽子を用いて治療を行いましたが、重粒子線治療では炭素粒子を用いて治療を行います。

重粒子線も陽子線と同じ性質を有しています。

ただし炭素粒子は陽子の約12倍の質量を有しているため、線量集中性と生物効果の両面において、がん治療に適した性質を有しています。

陽子線やX線に比べて重粒子線は細胞に障害を与える効果が2〜3倍ありますので従来のX線などに抵抗を示すがんにも有効です。

副作用に関しても陽子線と同様に局所に起こる可能性もあります。

治療の流れ

陽子線治療同様、治療はベッドの上で寝た姿勢で受けます。

治療回数は4〜16回で1週間から1ヶ月程度かけて治療を行いますが、一般の放射線治療は6〜7週間かけて行うため格段に短くなっています。

一回の治療は30〜60分ですが、疾患によってはそれ以上に時間がかかることもあります。

適応

  • 頭頸部腫瘍
  • 非小細胞性肺がん
  • 肝がん
  • 骨・軟部腫瘍
  • 前立腺がん

費用

厚生労働省の「第71回先進医療会議資料 平成30年度(平成29年7月1日~平成30年6月30日)実績報告」によりますと1件あたりの技術料は313万円です。

先進医療の中で陽子線・重粒子線治療は特に有名ですが、この他にもNKT細胞という細胞を用いた免疫療法も注目されていますのでご紹介させていただきます。

NKT細胞を用いた免疫療法

概要

NKT細胞とは1986年に発見された「第4のリンパ球」と呼ばれる細胞です。

この治療は体内に存在するNKT細胞を活性化することにより、がん組織の免疫環境を変化させ、免疫細胞ががんを攻撃できるようにする治療法です。

NKT細胞の働きを一言でまとめると免疫にとても重要な役割を持っているということです。

ある病原体が体内に侵入した場合、病変部から「CXCL16」という物質が血管内に放出されます。

NKT細胞は「CXCL16」によってすぐさま活性化され、その病原体に抵抗するための免疫細胞を活性化し、免疫細胞の集団を作りあげます。

そしてその免疫細胞の集団がその病原体を排除するのです。

また、一度活性化して集団を作った免疫細胞が病原体に対する長期の免疫記憶を保持するため、再びその病原体が侵入してきた時、すぐに排除することが可能になります。

このためNKT細胞はワクチンが効果を発揮するためにも必要です。

ただし、NKT細胞はがんに対しては十分な働きをすることができません。

がん細胞は自己の正常な細胞からできたものなので「CXCL16」等のNKT細胞を活性化する物質を放出しないからです。

そのためがん治療にNKT細胞を用いるためには人工的に活性化させる必要があります。

NKT細胞を人工的に活性化させるには「αGalCer(アルファ・ガラクトシルセラミド)」という物質を用います。

患者の血液から採取した樹状細胞という細胞にαGalCerを取り込ませ、それを患者の体内に細胞製品として投与することで体内のNKT細胞を人工的に活性化することができます。

NKT細胞を人工的に活性化することで、体内の免疫状態はガラリと変化します。

それまでがん細胞を十分に攻撃できなかった免疫細胞が効率的に働くようになり、がん細胞を除去できるようになります。

また、NKT細胞自体にもがん細胞を破壊したり、がん細胞が持つ血管造成作用を抑制したりする機能を持っています。

加えて、免疫記憶が残るためがんが増えた場合には必要な免疫細胞がすぐに補給されるようになります。

したがって、がんの進行や転移を抑制することが可能になります。

播種や転移したがんにもNKT細胞を用いた免疫療法は有効性を示します。

治療の流れ

詳しい治療の流れは病院ごとに異なりますが、第71回先進医療会議資料「平成30年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」を基に算出したところ平均入院期間は1.1日です。

また年間実施人数は49人でした。

適応

頭頸部の扁平上皮がん等に適応されます。

費用

1回につき約35万〜40万円程度です。

まとめ

先進医療とは?→先進医療制度とは、厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療法。実施されている病院は限られている。先進医療の技術部分にかかる費用は患者負担のため高額になりやすい。

先進医療の種類→現在、厚生労働省が定める先進医療は第2項先進医療が21種類、第3項先進医療が60種類あるがこれらは変動する。

いかがでしたか?

なかなか普段の生活の中で先進医療に触れる機会が少ないと思います。

そういった方はぜひこの記事を参考にして頂ければ幸いです。

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