近年男性の更年期障害への関心が高まっています 。

この男性更年期障害にいち早く着目し、20年間取り組んでこられたのが新宿区医師会長をも務めていらっしゃる平澤精一先生です。

また平澤先生は男性更年期障害の治療を通じAGAにも深く精通しておられます。

今回は男性更年期障害とAGAについて平澤先生にお話をお伺いしました。

男性更年期障害の治療を始めたきっかけ

当時人気絶頂でテレビにも度々出演なさっていた漫画家のはらたいら氏が突如テレビに出演しなくなり、おかしいなと思っていたところ、後日ご自身が男性更年期障害であることを告白する書籍を出版され興味を持ちました。

男性更年期障害の原因には男性ホルモンが関係していることが多く、治療を担当するのは泌尿器科医になるだろうと考え、専門医として以降約20年間男性更年期障害の研究と治療に取り組んできました。

当時は男性更年期障害が一般的ではなかったので、海外の論文くらいしか参考になるものがなく、とても苦労したのを覚えています。

男性更年期障害とは

男性更年期障害の原因の多くは男性ホルモンの低下で起こるLOH(加齢男性性腺機能低下)症候群です。加齢により男性ホルモンが低下することで以下のような症状が現れます。

  • 意欲の低下
  • 不眠などの睡眠障害
  • 全身倦怠感(けんたいかん)
  • 頭痛
  • 頻尿
  • 不安
  • 性欲低下 など

LOH症候群は男性ホルモンであるテストステロンの血中濃度を検査することで診断します。

男性更年期障害の簡易的なチェック方法としては、以下のようなチェックシートを用います。

26点以下であれば正常、それ以上であれば男性更年期障害の可能性がありますので、専門医に相談してみると良いでしょう。

男性更年期障害の治療

男性更年期障害と診断された場合、男性ホルモンであるテストステロンを補充する必要があります。

これによりホルモンバランスが整えられ症状が改善します。

ただし、ただ男性ホルモンを補充しても必要な栄養素が不足していては恒常的な改善にはつながりません。

特に有効なのは「亜鉛」です。

皮膚や髪の毛、骨、筋肉、肝臓などに含まれており、テストステロンの生成にも大きく関わっています。当院では男性ホルモンの投与に加え亜鉛の薬も処方しています。

亜鉛は重要な栄養素です。普段から摂取するようにしましょう。 亜鉛が多く含まれる食品には牡蠣、レバー、卵などがあります。

男性更年期障害とAGA

当院ではAGA外来も行っています。

よく流行に乗って始めたクリニックと混同されてしまうのですが、当院は男性更年期障害の治療の延長線上としてAGA治療を行っています。

AGA(男性型脱毛症)はテストステロンが5α還元酵素の作用でジヒドロテストステロンに変化することで、毛髪の育成が阻害されることによって起こります。

男性更年期障害の治療のためにテストステロンを投与しますので、自然とAGAに悩む患者様からのご相談もいただくようになりました。

そこでAGA外来を設置し、男性更年期障害とAGAの治療を一体として提供しています。

AGAの原因

テストステロンが5α還元酵素の作用でジヒドロテストステロンに変化します。

このジヒドロテストステロンが毛母細胞に作用することで、毛周期が崩れ毛髪が十分に成長する前に脱落することで薄毛となるのです。

つまり5α還元酵素がAGAの発端となるのですが、この5α還元酵素には2種類の型が存在します。いずれもテストステロンに作用しジヒドロテストステロンを生み出します。

・Ⅰ型

 主に前立腺で生成される。側頭部や後頭部にも存在。

・Ⅱ型

 髪の生え際や頭頂部の皮脂や毛乳頭細胞などに含まれる

Ⅱ型の5α還元酵素によって生じたジヒドロテストステロンは毛髪(毛母細胞)以外に前立腺にも作用し、前立腺肥大を引き起こすことがあります。この前立腺肥大によりⅠ型の5α還元酵素の生成が増大し、さらにAGAが進むといった悪循環が起こることがあります。

AGAの治療

AGAの治療には原因となるジヒドロテストステロンを発生させる5α還元酵素の作用を阻害する薬(5α還元酵素阻害薬)を用います。

・フィナステリド(商品名:プロペシア)

 Ⅱ型5α還元酵素を阻害

・デュタステリド(商品名:ザガーロ)

 Ⅱ型5α還元酵素とともにⅠ型5α還元酵素を阻害

比較的年齢の低い方はフィナステリド、前立腺肥大を伴うような年齢の高い方にはⅠ型Ⅱ型の両方に効くデュタステリドを第一選択とすることが多いです。デュタステリドはⅠ型の5α還元酵素も阻害するため前立腺肥大症の治療薬としても承認されており、非常に信頼性の高い薬と言えます。

これに加えてミノキシジルを外用薬として使用します。

ミノキシジルはもともと高血圧の方向けに開発された薬ですが、治験段階で発毛作用があることが分かり、現在では市販薬が発売されるほど一般的な発毛剤として認識されています。

内服薬もありますが、外用薬で十分な効果が期待できます。

さらに、先程男性更年期障害の時にも触れましたが、亜鉛製剤も当院ではデュタステリドとミノキシジルと共に処方しています。

いくら5α還元酵素の作用を阻害しても、毛髪の素となる栄養素が不足していては毛髪は成長しません。亜鉛は毛髪の生育に必須な栄養素です。

5α還元酵素阻害薬の副作用

よくテストステロンがジヒドロテストステロンに変化するのを防ぐだけなので、男性ホルモンは相対的には減っていないため、これらの症状が出るのはプラセボ効果(思い込み)なのではという質問を頂きます。

ジヒドロテストステロンはテストステロンと比べ男性機能により強い影響を与える男性ホルモンであるため、ジヒドロテストステロンの減少は男性機能の低下につながる可能性は否定できません。

こういった副作用に対してED(勃起不全)治療薬をご要望になる患者様がいらっしゃいます。そのため当院でもED外来も設置しています。

ただ、副作用には性欲減退や射精障害など勃起不全以外の症状も含まれることを忘れてはいけません。

もし挙児希望の方がAGA治療をなさりたい場合は、5α還元酵素阻害薬の処方には慎重になる必要があると思います。5α還元酵素阻害薬の効果は最長で6ヶ月程度残る場合があるため、計画的な服用が必要になるでしょう。

男性更年期障害やAGAに悩む皆様へ

男性更年期障害は40代50代の更年期世代を中心に起こります。

日本メンズメルスケア学会は60代以上にも更年期障害に生活習慣病が加わった熟年期障害が起こりうるとの見解を示しており、男性にとって一生の課題であると私は認識しています。

特に高齢になればなるほど、生活習慣病との合併症を考える必要があり、より病態は複雑になっていきます。

男性更年期障害により意欲を失い、抑うつ障害を引き起こす可能性もあり、これも憂慮すべき問題となっています。

加えて、AGAによって外見に自信を持てなくなり、自己評価が下がることで健康意識や労働意欲が失われる可能性もあります。

昔から「髪は女性の命」と言われてきましたが、現代においては「髪は男性にとっても命」と言ってよいと思います。

男性更年期障害とAGAの治療によって内面外面の双方を改善し、いくつになっても元気で若々しい心身を保つ方が増えることが、超高齢化社会を迎えた日本を支えることにつながると私は考えています。

この記事を読んで少しでも気になった方は、お近くの専門医に相談なさって見て下さい。

取材協力
マイシティクリニック
院長 平澤精一 様
〒160-0022 東京都新宿区新宿3-25-10 當山ビル6階
TEL:03-3354-3411
URL:https://www.mycity-clinic.com/

【月~金】午前10:30~13:30 午後15:00~18:30

【土】午前15:00~18:30

【日祝日】休診

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