日常的に耳にすることの多い「糖尿病」という病気。生活習慣の乱れでなりやすい、と漠然と理解していても詳しい原因や症状について知っている人は少ないのではないでしょうか。

糖尿病という病気は、原因や初期症状を知っていることで予防や早期発見につなげることができます。

実際に血糖値をコントロールすることで、糖尿病のリスクを軽減することが可能です。

そこでこの記事では、「血糖値について」「糖尿病の原因」「糖尿病の症状と合併症・治療方法」「糖尿病の予防方法」についてご紹介します。

この記事を読むことで、日ごろから糖尿病の予防につなげることができるはずです。ぜひ参考にしてみてください。

血糖値が上がり、下がるのはなぜ?

糖尿病や糖質制限という言葉が頻繁に使われる現代。糖質を上手くコントロールすることは、健康維持だけでなくダイエットとして取り入れられています。

そもそも血糖値とは、血液中に含まれている糖(ブドウ糖)の濃度です。(*1-1)

では血糖値が上がり、下がる仕組みを知っていますか?血糖値の仕組みについて正しく知ることは、糖尿病を知ることへの近道です。

そこで、まずは血糖値が上がる、下がる仕組みについてご紹介します。

血糖値が下がる仕組み」(*1-2)

  1. 食べ物の中の糖質(炭水化物)が消化管で消化される。
  2. ブドウ糖になった炭水化物は、血液に吸収され血糖値が上がる。
  3. 血糖値が上がると、すい臓から「インスリン」というホルモンが分泌される。
  4. インスリンにより血液中のブドウ糖は、細胞に入りエネルギーとなる。
  5. 不要なブドウ糖はグリコーゲンに変わり、血糖値が下がる。
  6. 変化したグリコーゲンは、肝臓や筋肉に貯蔵される。

血糖値が上がる仕組み」(*1-3)

  1. お腹が空くと血糖値が下がる。
  2. 血糖値が下がると、「グルカゴン」というホルモンがすい臓から分泌される。
  3. このホルモンの働きにより、貯蔵されたグリコーゲンが分解される。
  4. 分解されたグリコーゲンはブドウ糖に変化。
  5. ブドウ糖はエネルギーとして使われ、血糖値が正常に戻る。

このような仕組みで、血糖が上がり、下がります。

低血糖・高血糖のリスク

血糖値は正常な人で、食前の値が「70~100mg/dl」程度です。(*1-4)

この正常範囲を下回る場合を「低血糖」、上回る場合を「高血糖」と呼びます。どちらも身体にとって良くない状態です。

「低血糖」の場合、以下のような症状が出ます。(*1-5)

  • 動機
  • ふるえ
  • 意識低下
  • 昏睡

「高血糖」の状態になると、次のようなリスクがあるといわれています。(*1-6)

  • 動脈硬化(脳卒中や心筋梗塞)
  • 糖尿病

高血糖は症状として現れることが少なく、気づきにくいです。しかし糖尿病にまで進むと、症状を自覚することも。糖尿病の初期症状については、他の項目でご紹介します。

糖尿病の病態と原因とは?

一般的に糖尿病は、生活習慣や食べ過ぎなどが原因でなってしまうと思われています。しかし糖尿病には大きく二種類あり、生活習慣だけが原因とはいえません。

そこで、原因の異なる二種類の糖尿病について詳しく解説していきます。

一型糖尿病

一型糖尿病は「インスリン依存型糖尿病」ともいわれ、なんらかの原因でインスリンが分泌されない病気です。

原因には自己免疫疾患などがあり、それらによりインスリン分泌細胞が壊されます。そのため、血糖値を下げるインスリンが分泌されません。(*2-1)

インスリンが分泌されなければ上がった血糖値を下げることができず、高血糖のままになってしまいます。

ですのでインスリンを自分で注射し、血糖値を下げる必要があります。そのためインスリン依存型と呼ばれているのです。

二型糖尿病

二型糖尿病は「インスリン非依存型糖尿病」ともいわれ、遺伝的要因と生活習慣などによって引き起こされる病気です。(*2-2)

過食や運動不足が原因となり、血糖値が下がらない(あるいはインスリンが足りない)状態になっています。

この病態はいわゆる「生活習慣病」と呼ばれ、多くの人がイメージする糖尿病です。今や社会問題ともなっており、疑いのある人は日本人の6人に1人ともいわれています。(*2-3)

二型糖尿病は特に、発症を防ぐための「一次予防」、血糖値をコントロールし悪化を防ぐ「二次予防」、合併症の発症を防ぐ「三次予防」のいずれも重要な病気です。

一型糖尿病、二型糖尿病以外にも妊娠や病気に伴い糖尿病を発症することもあります。ですが代表的な糖尿病は上記の2つです。

糖尿病の初期症状

前述したように、糖尿病は自覚症状が現れにくい病気です。かなり高血糖になるまで、病気に気づかないこともあります。

早期発見が大事な病気ですので、あらかじめ症状を確認しておきましょう。

糖尿病(高血糖)の初期症状には、次のようなものがあります。(*3-1)

  • のどが渇く
  • 尿回数が増える
  • 体重減少
  • 疲れやすい
  • よく水を飲んでいる

これ以外にも、高血糖が続くと意識障害に至ることも。(*3-2)

自覚症状が現れにくい糖尿病を早く見つけるためには、一年ごとの健康診断で血糖値を確認しておくことが重要です。

他にも該当する症状がある場合は、早めに受診することで早期発見につながります。

検査・治療方法

糖尿病は自覚するのが難しい病気であるため、健康診断や合併症、メタボリックシンドロームなどで気づく人も多いです。

糖尿病かも、と思ったときどのような検査が行われるのでしょうか?糖尿病の治療と共にご紹介します。

検査

糖尿病の診断で行われる主な検査には以下のものがあります。

  • 血液検査
  • 75g経口ブドウ糖負荷試験
  • 尿検査

糖尿病の検査は、血液検査がメインです。その中でも血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の結果によって糖尿病の診断は行われます。

各検査項目で分かることは次の通りです。(*4-1)

  • 血糖値…採取した血液の血糖が分かる。
  • HbA1c…過去1~2か月の血糖値が分かる。

また、普段は正常でも食後の血糖が高くなる「隠れ糖尿病」の診断では、75g経口ブドウ糖負荷試験を用いることも。

75g経口ブドウ糖負荷試験」は、空腹状態(10時間以上)で病院に行き、血液検査を行った後、75gのブドウ糖入りソーダ水を飲み再び血液検査を行う検査方法です。(*5-1)

空腹時とソーダ水を飲んだ時の血糖値の値を比較し、隠れ糖尿病を見つけます。

尿検査は糖尿病の検査としてはあまり用いられませんが、血糖値が高いと尿糖が出るため糖尿病を見つけるヒントになります。

尿検査のキットは市販でも購入することができ、自分で調べることが可能です。しかしそれだけでは判断できないため、尿糖が出たら病院で詳しい検査をしてもらうようにしましょう。

治療

糖尿病の治療は、血糖値をコントロールするために行われます。血糖をコントロールすることで糖尿病の悪化や合併症起こすことなく生活するのが目的です。

血糖値が上がらないようにするために、次のような治療が行われます。(*6-1)

  • 食事療法
    食事などで摂取する糖質によって血糖値は上昇します。そのため摂取する糖を抑え、バランスのいい食事をすることが食事療法です。
  • 運動療法
    糖は運動によって使われます。そのため血糖コントロールをするために、運動療法は重要です。他にも脂肪を減らしインスリンの働きを促したり、筋肉量を増やし糖を身体に取り込む目的もあります。
  • 薬物療法
    糖尿病の薬にはインスリンの分泌を促すものや、糖の吸収を遅らせたり排泄を促したりするもの、インスリンそのものを注射する薬など多様な薬が。それらを糖尿病の型や症状などによって医師が処方し治療します。

糖尿病の治療は、これらの治療がメインです。その中でも生活習慣を原因とする二型糖尿病では、食事・運動療法から行われます。

インスリンが作られない一型糖尿病は、インスリン注射が必須です。(*6-2)

このようにインスリン注射など血糖値を直接下げる薬は、低血糖に注意しながらの治療が重要となります。低血糖の症状は上の項目で紹介していますので、ご参考にしてください。

合併症

血糖値のコントロールがうまくできず高血糖が続くと、合併症を発症します。糖尿病の合併症は恐ろしく、予防がとても大切です。

糖尿病が進行し取り返しのつかない合併症を発症しないためにも、合併症について確認しておきましょう。

糖尿病の合併症には、急性と慢性があります。急性は一時的に異常な高血糖になる状態です。慢性は長期的に、ゆっくりと進行する合併症をいいます。

【急性の合併症】(*7)

  • 糖尿病ケトアシドーシス
    インスリンが足りず、血糖値が下がらないことで起こる合併症です。血糖をエネルギーに変えることができず、エネルギー不足を起こします。その結果血中のケトン体が増え、血液が酸性になり身体は脱水状態になる病気です。
  • 高浸透圧高血糖症候群
    こちらも急な高血糖で起こる合併症です。しかしインスリンが足りないというわけではなく、ケトン体はあまり上昇しません。強い脱水と意識障害を引き起こします。

【慢性合併症】(*8)

  • 神経障害
    高血糖により末梢神経の代謝がうまく行えず神経に障害をきたす合併症。感覚異常や胃腸運動の異常、四肢の異常など神経がある様々な部位に異常をきたします。
  • 網膜症
    網膜にある毛細血管の状態が悪くなり、血管障害が起こる合併症。酸素や栄養が行かないことで、網膜出血、網膜剥離、視力低下や失明を引き起こします。
  • 腎症
    腎臓にある細い血管に障害を引き起こし、腎臓に異常をきたす合併症。時に腎不全にいたることのある病気です。
  • 狭心症・心筋梗塞、脳梗塞
    高血糖になると、血管が硬く狭くなります。(動脈硬化)その結果太い冠動脈の血流が悪くなり、心臓や脳の血管が詰まることで引き起こされます。
  • 足病変
    糖尿病患者は足にトラブルが起こりがちです。それらのトラブルは総称して「足病変」と呼ばれています。足の感染や変形、壊死などがこれにあたります。

糖尿病の予防方法とは?

糖尿病の予防には生活習慣を見直すことが重要です。糖尿病を発症するリスクを軽減するために、予防について確認しておきましょう!

日常的に行える予防には次のようなものがあります。(*9)

  • 食べ過ぎない(過食防止
  • 適度な運動を行う
  • 禁煙
  • 定期的な健康診断
  • ストレスを溜めない
  • 野菜を食べる
  • 肥満を改善する

予防すれば100%ならない、というわけではありません。しかしリスクの軽減にはつながります。

自身の生活習慣を見直し、糖尿病を未然に防ぐ行動を心がけましょう!

生活習慣を整え糖尿病を予防しよう!

  • 糖尿病とは?:血液中の糖(血糖値)が上がっている状態。一型糖尿病はインスリンが作れない。二型糖尿病は生活習慣が関係して発症する。
  • 初期症状と合併症:自覚症状が現れにくい病気。初期症状では、のどが渇いたり体重が減ったりする症状も。合併症では、神経症・網膜症・腎症などを発症する。
  • 糖尿病の予防:予防には、生活習慣を見直すことが重要。過食を避け、適度な運動を行う。また禁煙することも効果的である。

これらについて知っておくことで、糖尿病の予防につながります。糖尿病は生活習慣次第で、発症のリスクを軽減できる病気です。

生活習慣病ともいわれる糖尿病を予防するために、糖尿病に対する知識を深め予防を実践しましょう!そうすることで、二型糖尿病の予防につなげることができるはずです。

「看護師 油谷美久」

(*1)厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「血糖値(けっとうち)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-085.html
(*2)厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「糖尿病(とうにょうびょう)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-048.html
(*3)国立国際医療センター 糖尿病情報センター「糖尿病とは」
http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/010/010/01.html
(*4)国立国際医療センター 糖尿病情報センター「糖尿病は早く見つけましょう」
http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/030/010/01.html#02
(*5)国立国際医療センター 糖尿病情報センター「糖尿病と関連する検査」
http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/030/010/02.html#014
(*6)国立国際医療センター 糖尿病情報センター「糖尿病の治療ってどんなものがあるの?」
http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/040/010/01.html#01
(*7)国立国際医療センター 糖尿病情報センター「糖尿病の急性合併症のはなし」
http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/060/010/01.html
(*8)国立国際医療センター 糖尿病情報センター「糖尿病の慢性合併症について知っておきましょう」
http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/060/020/02.html#02
(*9)国立国際医療センター 糖尿病情報センター「糖尿病予備群といわれたら」
http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/010/010/03.html

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