マンジェリコンというハーブを聞いたことはありますか?

血糖値を下げ、糖尿病を予防する、血圧を下げるなどの強力な効果を持っているとされ、「奇跡のハーブ」ともいわれますが、知名度は決して高くありません。

今回は、そのマンジェリコンの秘密に迫ってみたいと思います。

正体不明のマンジェリコン

マンジェリコンをウェブで検索すると、その効果を謳った商品やブログ記事は多く出てきますが、マンジェリコンそのものの効果を検証したサイトはあまりみられませんし、マンジェリコンがどのような植物なのかもはっきりしません。

マンジェリコンは沖縄で自生しているハーブで、昔から沖縄の人々が健康のために愛用していたと言われています。

しかし、そもそもマンジェリコンは沖縄原産ではなく、ブラジルから伝わったとされています。

植物学の観点から調べようにも異なる学名で紹介されており、どれがマンジェリコンなのかも定かではありません。そこで、マンジェリコンの効果を紹介する前に、この植物がどのようなものかをまず明らかにしたいと思います。

マンジェリコンはシソ科植物のなにか

マンジェリコンは、一説によるとシソ科メボウキ属の植物で、学名をOcimum gratissimum Lと言うそうです。つまりバジルのことです。バジルはインド、熱帯アジア原産のハーブですが、種類が豊富で、多様な栽培品種があり、頻繁に他家受粉も行うため雑種が多く、分類が複雑です。マンジェリコンはその中の一種である可能性があります。

ちなみに、メボウキというのは和名で、元々目箒と書きます。というのも、バジルは江戸時代にわが国に伝わったのですが、バジルの種子を水に漬けると表面にゼリー状のものが出てきます。当時は、これで目を洗う治療があったことから、このように呼ばれていたそうです。

一方で、マンジェリコンは、同じシソ科のPlectranthus属で学名をPlectranthus barbatusとする説もあります。この場合は、インドが原産だとされています。しかし、マンジェリコンの原産はブラジルで、南米に移民した沖縄の人が持ち帰ったのが始まりだとする説もあります。

マンジェリコンがメボウキ属であるということもPlectranthus属であるということも、公式な情報はないので、どちらも正確ではない可能性はあります。このように起源はよくわからないのですが、いつの時点かに沖縄に持ち込まれて自生し、島民が健康のためにお茶として煎じて飲んでいたシソ科植物が、最近になって商品化されて広まっているのが実態に近いようです。

マンジェリコンの効果は?

起源ははっきりしないといっても、肝心のマンジェリコンの効果はどうでしょうか。

マンジェリコン茶の効能でよく謳われているのは、血糖値の改善や高血圧の改善です。しかし、研究論文検索サイトであるGoogle Scholarで「マンジェリコン」を検索しても、残念ながら、血糖値や血圧改善に関するものどころか研究論文自体が1件も出てきません(2020年3月26日現在)。そこで、確実ではありませんが、マンジェリコンの学名であるとされるOcimum gratissimum L とPlectranthus barbatusについて検索してみました。

まず、Ocimum gratissimum Lの葉の抽出物のヒトに対する研究から明らかになっている効果について紹介していきましょう。

●血糖値の改善と血圧低下

空腹時および食後の血中グルコースの有意な減少、脂質の改善、および糖尿病および肥満の参加者における血圧の低下が確認されています。また、肥満の患者についてはBMIが若干改善されています。

●認知機能改善

ストレス、不安、性的問題、鬱病が軽減し、作業記憶や注意力の改善がみとめられました。

●免疫力の向上

健康な成人のナチュラルキラー細胞とTヘルパー細胞の増加、およびウイルス感染に対する免疫応答の改善がみられました。また、喘息患者の喘息症状が緩和されました。

●口腔環境の改善

歯肉の炎症が改善し、歯肉出血や化膿の改善がみとめられました。

●高い安全性

これらの研究結果では、バジルの経口摂取による有害事象は報告されていません。バジル自体は、インド発祥のアーユルヴェーダ医学を始めとして伝統的な医学のなかで数千年の使用実績があり、安全性の高いハーブであると示唆されています。もちろん、他の薬剤との相互作用など、治療として使用するにはまだ十分なデータはそろっていないようですが、適度に楽しむ程度であれば問題はなさそうです。

一方、Plectranthus barbatusについては、こちらもアーユルヴェーダ医学で古くから用いられてきたハーブのようです。

最近の研究によると、葉の抽出物を経口摂取することで、肥満男性の体重減少や骨量増加、テストステロン増加がみとめられています。また、ラットに対する実験ではありますが、血糖値の低下や脂質の低下がみとめられています。これまでの研究の精度や規模の面から有効性が確立しているとはいえませんが、いまのところ有害な報告もありません。

このように、マンジェリコンと予想されるハーブの抽出物はいずれも健康によい作用がみとめられており、経口摂取することの危険性も高くはないと考えられます。

マンジェリコンとボルトジンユ

ここで、さらに混乱の原因となるのが、マンジェリコンと似たハーブであるボルトジンユの存在です。

マンジェリコンとボルトジンユを同じものとして販売されている場合もあれば、明確に違うものとされている場合もあり、どちらが本当なのかはっきりしません。

ボルトジンユの学名はPlectranthus ornatusとされており、やはりシソ科の植物で、プレクトランサス属です。

元々地元沖縄であまり区別されずに親しまれてきたのかもしれません。

Plectranthus ornatusもまた、民間伝承医学の中で古くから使われてきた植物で、消化器、皮膚、感染症、呼吸器など様々な病気に用いられてきました。

エッセンシャルオイルとしての研究が多いですが、煎じ茶には消化を助け、二日酔いを緩和する効果もあるようです。

マンジェリコンの楽しみ方

このように、Ocimum gratissimum LもPlectranthus barbatusも古くから親しまれてきた歴史があり、最近の研究においても健康に良い効果がたくさんあります。マンジェリコンにもこれに近い効果があるかもしれません。

では、実際マンジェリコンはどのように楽しむのがよいでしょうか。

マンジェリコンは、葉を乾燥させ、煎じてお茶として飲むのが一般的な楽しみ方です。

ちなみに、マンジェリコンは、味がきわめて苦いのが特徴です。まさに「良薬は口に苦し」を地でいくハーブティーと言えるでしょう。

他のハーブや茶葉とブレンドして苦みを抑えたものも販売されていますので、好みに合わせて試してみるのがよいでしょう。

おわりに

知名度もあまり高くなく、謎も多いマンジェリコンですが、その起源を探るとアーユルヴェーダ医学まで遡り、関連が深いハーブはいずれも健康によい効果がみとめられています。どのようにして沖縄で広まったのかもミステリーですね。

こうしたハーブの効果については、補完代替医療の領域をはじめとして様々な分野で盛んに研究されており、今後も新たな発見が続くと思います。

謎に満ちたマンジェリコンの歴史と未来に思いを馳せながら、ハーブティーの苦みを堪能してみてはいかがでしょうか。

参考文献

KW Singletary,Basil: A brief summary of potential health benefits , Nutrition Today: March/April 2018 - Volume 53 - Issue 2 - p 92-97

Elsa Brito ,Bioactivities of decoctions from Plectranthus species related to their traditional use on the treatment of digestive problems and alcohol intoxication, Journal of Ethnopharmacology,Volume 220, 28 June 2018, Pages 147-154

看護師 古川正造

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