「免疫という言葉をよく目にするけど、詳しい仕組みが分からない…」という人は多いのではないでしょうか。

身体を守る仕組みという漠然とした意味を知っていても、どのように働いているのか分からない人は多いと思います。

免疫を正しく理解することは、免疫力を高める近道です。そんな免疫は、一つずつ中身を理解していけば難しいことはありません。

様々な要素が絡み合って成り立っている「免疫」。自分の身体のことであるため、免疫力を高めるためにも正しく理解しましょう!

そこでこの記事では、「免疫とは」や「免疫のしくみや働き」「生活との関り」「免疫力を高める栄養」などについてご紹介します。この記事を読めば、健康にとても重要な免疫について詳しく知ることができます。

そして、日常生活でも免疫力を高めることにつなげていけるはずです。ぜひ参考にしてみてください。

免疫とは?

そもそも免疫とは「身体の外から侵入した菌や体内で発生した異物(がんなど)から、身体を守る防御機構」のことを指します。疫(流行病)から免れる(害を受けない)という意味から、「免疫」です。

この免疫は、侵入する細菌やウイルスなどから身体を守る重要なシステムです。免疫力が高いと風邪をひきにくいといわれるように、身体を正常な状態に保ちます。

そのため免疫力を維持することは、どのような人にとっても重要です。しかし免疫について知らなければ、免疫力を維持することも難しいでしょう。そこで次の項目から、免疫について分かりやすく説明します。

免疫に出てくる用語の解説

免疫を知る上で、聞きなれない言葉も多いと思います。ここでは、よく出てくる用語についてあらかじめ解説していきます。

  • 抗原:細菌やウイルス、花粉など免疫反応を起こしてしまう物質の総称。
  • 抗体:入って来た抗原を排除するために作られるたんぱく質の総称。(主に免疫グロブリン)
  • 貪食:免疫細胞などが、身体に不必要なさいぼうを捕獲し、消化・分解する作用のこと。

免疫が働くしくみ

免疫を簡単にいうと、「侵入した細菌などの抗原に対して免疫細胞が自分の身体ではないと識別し攻撃することで排除する」しくみです。

自分であるかそうでないかを識別し、自分以外を攻撃します。つまりこういった識別する能力や攻撃する能力の低下が、免疫力の低下です。

免疫には大きく別けて、「自然免疫」と「獲得免疫」の2つがあります。この2つは役割が異なり、どちらも免疫に重要です。そのためここでは、この2つの免疫について詳しく説明していきます。

自然免疫とは?

自然免疫とは「体内に入ってきた細菌などの異物を直ちに識別し、すぐに排除する反応(*1-1)」をいいます。

侵入した相手に関係なく無差別的に攻撃するこの免疫は「非特異的免疫」とも呼ばれ、身体が一番初めに自然と反応する免疫です。つまり自然免疫は、最前線の防御機構といえます。

自然免疫は主に「樹状細胞」や「マクロファージ」、「好中球」といった免疫細胞が働きます。(*1-2)これらは細菌などに貪食作用を持つ、食細胞です。

獲得免疫とは?

獲得免疫とは「同じ種類の細菌など(抗原)が再び入って来たときに、反応して排除すること(*1-3)」をいいます。獲得という言葉通り、すでに記憶されているためすぐに反応し排除可能なしくみです。

獲得免疫の場合は、すでに獲得されている情報にしか反応しません。インフルエンザに一度かかると、同じ種類のインフルエンザにはかかりにくくなることも「獲得免疫」の一つです。

獲得免疫の特徴(*2-1)は、以下の通りになります。

  • 一度かかった病気にかからない「免疫記憶
  • どんな抗原(細菌やウイルスなど)でも排除できる「多様性
  • 細菌やウイルスなどの病原体を見分けられる「特異性
    (これに反して無差別に攻撃することを「非特異性」)
  • 自己と非自己を見分けて自分を攻撃しない「自己寛容

こういった特徴を持ち、主に「T細胞」と「B細胞」が働いています。(*1-4)また、獲得免疫は作用によって「細胞性免疫」と「液性免疫」に分類されます。

細胞性免疫

細胞性免疫は部分的に起こる反応で、「キラーT細胞」と「マクロファージ」が直接感染した細胞を攻撃します。自然免疫で樹状細胞から抗原が何かという提示を「ヘルパーT細胞」受け、それによってサイトカインを生産。サイトカインによってマクロファージとキラーT細胞が活性化し、排除するという流れです。(*2-2)この際キラーT細胞はメモリーT細胞となり、抗原の情報が記録されます。

液性免疫

液性免疫は、B細胞が抗体をたくさん作り体液中に抗体を広げるという反応です。ヘルパーT細胞によってサイトカインが放出され、B細胞を刺激。刺激されたB細胞が形質細胞となり、抗体をたくさん作る。その後全身に広げ、抗体が作用するという流れです。(*2-3)

抗体の作用には次のようなものがあります。

  • 細菌の毒素やウイルスなどに結合し、感染する力や毒素成分を失わせる効果(中和作用)
  • 細菌やウイルスに結合(オプソニン効果)し、貪食の手助けを行う。
  • 抗体の働きを助ける補体を活性化する。

これらの作用を行う抗体をたくさん生産することで、抗原(細菌やウイルス)から身体を守る働きをするのが液性免疫です。

免疫が働く流れ

自然免疫や液性免疫の説明を見ても、どのように免疫が働いているのか分かりにくいと感じる人も多いでしょう。免疫は、順番に働く流れを見ていけば、決して難しくありません。

免疫の働く流れは次の通りです。

  1. 細菌やウイルス(抗原)が体の中に入ってくる。
  2. 自然免疫が働き、好中球やマクロファージが抗原を食べる。(貪食作用
  3. 樹状細胞がリンパ節へ行き、抗原が入って来たことをヘルパーT細胞に伝える。(抗原提示)
  4. ヘルパーT細胞が増殖し、サイトカインを生産する。
  5. サイトカインがキラーT細胞やマクロファージを刺激し、抗原に感染している細胞を直接攻撃する。(細胞性免疫:部分的な免疫反応)
  6. サイトカインがB細胞を刺激し、形質細胞へ変化する。形質細胞は、抗体をたくさん作る。抗体により抗原を攻撃。(液性免疫)
  7. 抗原がなくなるまで攻撃が行われ、なくなると「制御性T細胞」が終了の合図を出す。
  8. メモリーT細胞やメモリーB細胞が抗原について記憶。次の抗原侵入時に迅速に対応する。

このような流れで、身体の免疫は働いています。自然免疫と獲得免疫がうまく働くことで、チームワークの取れた連携はできているのです。

免疫に関わる身体の部位と役割

身体には、免疫には欠かせない働きをしている部位がいくつもあります。その部位が正常に働いていることで、免疫も正常に保たれるのです。

そこでここでは、免疫に関わりのある身体の部位と役割についてご紹介します。

  • 胸腺
    胸腺は、主にT細胞を作り育てる場所です。ほとんどT細胞を作るだけの臓器で、ホルモンなどは分泌されません。(*3-1)身体の心臓のやや上に位置しています。
  • 骨髄
    骨髄は、ほぼ全ての免疫細胞が作られる場所です。免疫を維持するためには、骨髄の働きが必要不可欠。免疫を作り出す場所といってもいいでしょう。特に、腰あたりにある腸骨と胸にある胸骨では、盛んに免疫細胞が作られています。
  • パイエル板
    免疫細胞とM細胞(後述します)が、力を合わせて戦う場所。粘膜組織にあり、免疫に重要な役割を持っています。
  • リンパ節
    身体の各所にある免疫器官の一つ。いわゆる免疫の関所で、リンパ液から流れてくる抗原をチェックする役割があります。リンパ液の途中にあるリンパ節。もしも大きく腫れている場合は、感染やがんなどが疑われる場所です。(*4)
  • 脾臓(ひぞう)
    血液中に入ってきてしまった細菌やウイルス(抗原)を、T細胞やB細胞が攻撃する場所です。血液循環の調整や血液のろ過などの役割も持っています。
  • 粘膜
    抗原の侵入を防ぐ役割がある粘膜組織は、「粘膜免疫」として物理的に細菌やウイルスの侵入を防ぐ場所です。パイエル板やM細胞、免疫グロブリンが働き感染防御します。

このように、身体のこれらの部位には免疫に必要不可欠な役割があります。免疫細胞の生産から抗原と戦う場所まで、これらの部位を正常に保つことが免疫を維持する上で重要です。

免疫細胞の種類や役割について

免疫を紹介する中で、多くの免疫細胞が出てきたと思います。免疫細胞には、多くの種類がありそれぞれに違った役割を持っています。

そのためここでは、免疫細胞の役割についてご紹介します。

  • 好中球
    白血球の中にある免疫細胞。白血球の50%以上が好中球で、抗原を食べるて消化、殺菌する作用(貪食作用)がある細胞。寿命はおよそ1日程度。
  • 好塩基球
    好中球、好酸球が移動することを助ける物質を生産する免疫細胞。アレルギーにも関与している白血球の一つ。寿命はおよそ1日程度。
  • 好酸球
    好中球と同じ、貪食作用を持つ白血球の一つ。体内に侵入してきた抗原を貪食し、処理する免疫細胞。呼吸器官や腸管に、血液中より多く含まれている。寿命は好中球や好塩基球より長い。
  • B細胞
    抗原を攻撃する抗体を生産する免疫細胞。複数の種類があり、1つごとに1種類の抗体を生産。抗体は、免疫細胞の働きを助ける。寿命は数か月程度。
  • 形質細胞
    B細胞がサイトカインによって分化した細胞。抗体をたくさん生産する。抗原を全て処理した後、メモリーB細胞に変化し抗原の情報を記録する役割も。
  • マクロファージ
    自然免疫で大活躍する、免疫細胞。体内に侵入したものは無差別に食べてしまう貪食細胞で、抗原の処理に活躍する。また、抗原をT細胞に伝える役割も。
  • 樹状細胞
    細菌やウイルスなどの抗原が入ってくると、身体に情報を蓄えてT細胞に伝える。自然免疫と獲得免疫のパイプ役。寿命は数日から数か月。
  • ナチュラルキラーT細胞
    細胞の中の細菌やウイルス、がんを処理する免疫細胞。免疫系では、特に強い処理能力がある。寿命は2週間程度。
  • 制御性T細胞
    抗原が身体からいなくなったら、攻撃を止めるよう指示する役割。免疫細胞の過活動を防ぐ。寿命は2週間程度。
  • キラーT細胞
    細菌やウイルス、がんなどに侵された細胞を処理する免疫細胞。サイトカインの刺激で、活動が増す。寿命は半年程度。
  • ヘルパーT細胞
    細胞やウイルスなどの抗原に侵された細胞を見つけ出す役割。脾臓やリンパ節には多く存在し、抗原を処理する免疫細胞を手助けする。寿命は半年程度。
  • M細胞
    バイエル板などを覆う上皮細胞に存在する細胞。樹状細胞などの集まりで、抗原を取り込む役割がある。

このように、免疫細胞には数多くの種類があります。どの免疫細胞も、免疫には欠かせません。これらの細胞がチームとなりお互いに作用しながら、外からの抗原を攻撃、処理してくれます。

免疫力は生活にどう影響している?

免疫力というのは、生活に密接に関わっています。免疫が維持され免疫力があるからこそ、不自由なく日常生活を送れるのです。

食品やサプリメントでも見かける「免疫力」が下がると、どのようなことが起こるのでしょうか?日常的に免疫力を上げる方法と共に、確認していきましょう。

免疫力が下がると起こること

免疫力が下がる原因は、主に次のようなものがあります。

  • 激しい運動を日常的にする
  • 高齢者や乳幼児
  • 妊娠中
  • 睡眠不足
  • 日常的にストレスを感じる
  • 生活が不規則(夜勤がある、シフト制の仕事など)
  • 食事のバランスが悪い

これらに該当する方は、一般的な人より免疫力が下がっているといわれています。特に日常的にストレスを感じやすい会社員の人や、ストレスがかかり生活も不規則な受験生は免疫力が下がりやすいです。

また、激しい運動を日常的に行うことは、免疫力が下がるという研究も。(*5)特にアスリートは、炎症やアレルギーを起こしやすいようです。

他にも、病気によって免疫力が下がる場合もあります。また病気の治療で免疫抑制剤を飲んでいることも、免疫力を極端に下げる原因です。

これらが原因で免疫力が下がると起こりやすいことは、

  • 細菌やウイルスなどの感染症にかかりやすい
  • 花粉症やアトピーといった、アレルギーが出やすい
  • 日常的に疲れを感じやすくなる
  • 肌が荒れやすくなる
  • 下痢になりやすい

以上になります。特に感染症になりやすい、というのは最も分かりやすいです。ちょっとした風邪にもなりやすく、時には大きな病気の原因にも。

そのため免疫力を高めることは、健康に生活するために重要といえます。免疫力は、日常のちょっとしたことでも上げることが可能です。

免疫力をあげるためには?

生活の中で免疫を上げるための方法には、次のようなものがあります。

  • 身体を温める
    体温が下がることで血流が悪くなり、免疫力を下げる原因に。逆に体温を1℃でも上げれば、数倍も免疫力が上がります。身体を温めるお風呂や湯たんぽ、腹巻などで対策しましょう。
  • たくさん笑う
    たくさん笑うことで、抗体が増えるという研究結果があります。ストレス発散のためにも、笑うことが大事です。
  • 栄養バランスのいい食事
    バランスのいい食事は、免疫を高める効果があります。特に特定の食品には、さらに免疫を高める効果も。免疫力アップにおすすめの食品は、次の項目で紹介します。
  • ストレスを溜めない
    ストレスを溜めず楽観的に過ごすことも、免疫力を高めるのに効果的です。
  • 適度な運動
    激しい運動は免疫力を下げますが、適度な運動は免疫力を高めます。運動で体力を付けられることもメリットの一つです。

このように、難しいことは一つもありません。少し気を付けていれば、免疫力を高めることができます。

規則正しい生活とバランスのいい食事、ストレスを溜めないことに気を付け、日ごろから免疫力を高めましょう!

免疫力を高める栄養と食べ物

免疫力を効果的に上げることができる栄養素や食品は、いくつかあります。免疫力の下がりやすい時期など、適度に免疫力を上げる栄養を摂ることがおすすめです!

免疫力を上げる栄養素と食品は次の通りです。

  • 乳酸菌や納豆菌
    発酵食品に含まれる乳酸菌や納豆菌は、腸内の善玉菌を増やします。その結果腸の状態を整える効果も。また、乳酸菌により抗体(IgA)の分泌が促進され、免疫力を上げます。(納豆、しょうゆ、みそ、漬物、ヨーグルト、キムチなど)
  • ビタミンA
    皮膚・粘膜の代謝を保ちます。粘膜は免疫に重要な役割を持っており、正常に代謝されることで免疫力アップ、維持につながります。(トマト、ニンジン、かぼちゃ、ウナギなど)
  • ビタミンC
    免疫細胞の働きを良くすることで、直接的に免疫力アップにつながります。(ブロッコリー、いちご、みかん、白菜など)
  • ビタミンB2
    粘膜の働きを正常に保ちます。粘膜は免疫に重要であるため、結果として免疫力を上げることになるのです。(ウナギ、卵、牛乳、レバーなど)
  • 鉄分
    免疫細胞を活性化する役割を持っています。そのため殺菌力が上昇し、免疫力上昇につながります。(しらす、煮干し、焼き鳥、青のりなど)

これらの栄養素をバランスよく摂れば、免疫力を上げることにつながります!いつもの食生活で、少しでも取り入れてみてはいかがでしょうか。

免疫について知り上手に免疫力を上げていこう!

  • 免疫が働くしくみ:免疫は、「自然免疫」と「獲得免疫」に分類。自然免疫は無差別に抗原を攻撃、獲得免疫は二度目の侵入に反応し抗原を排除するしくみ。
  • 免疫細胞の種類や役割について:免疫細胞は多くの種類があり、チームとなって相互的に免疫を担っている。
  • 免疫力は生活にどう影響している?:免疫力は下がると、感染症にかかりやすくなる。免疫力を下げないために、規則正しい生活とストレスを溜めない生活が必要。

これらのことを知っていれば、免疫について正しく理解できます。免疫は私たちの身体に必要不可欠な、身体を守るしくみです。

免疫について正しい知識を身に着け、日ごろから免疫力を高める行動を実施しましょう!そうすることで、自分の身体を守り免疫力の維持ができるはずです。その際は、この記事をぜひ参考にしてみてください。

「看護師 油谷 美久」

(*1)米田 立 東京都立小児総合医療センター 感染症科「免疫のシステムとワクチンの働き」
http://www.hosp.ncgm.go.jp/isc/080/FY2018/01_201903.pdf
(*2)小内 伸幸 東京医科歯科大学難治疾患研究所生体防御学分野 「私たちの体を守る免疫システム
その良い面と悪い面」
http://www.tmd.ac.jp/mri/koushimi/shimin/ouchi.pdf
(*3)京都大学再生医科学研究所 河本宏研究室「免疫細胞はどこで、どんな細胞からつくられるの?」
http://kawamoto.frontier.kyoto-u.ac.jp/public/public_008.html
(*4)国立がん研究センター がん情報サービス「リンパ節」
https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/lymph_setsu.html
(*5)鈴木克彦 早稲田大学人間科学部健康福祉科学科「運動と免疫」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcam/1/1/1_1_31/_pdf

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