「肝硬変について詳しく知りたい」

「肝硬変てお酒をたくさん飲む人の病気じゃないの?」

そのような疑問をお持ちの方に向けてこの記事は書かれています。

お酒を飲み過ぎると肝臓に良くないと誰しも聞いたことがあると思います。

過度の飲酒が肝硬変という病気を引き起こすことは間違いありません。

この記事では肝硬変とは?という基本的な問いからもし肝硬変になってしまった場合の治療法などについて解説しています。

肝硬変について知りたいことの答えが必ず見つかるはずです。

肝硬変とは?

肝硬変は肝細胞が壊れて脱落した部分に繊維が増えることに加えて、残った肝細胞がそれを補うように再生し、小さな結節を無数に作っている状態です。

肝硬変とは、あらゆる慢性的な肝臓の疾患の終末像とも表現できるでしょう。

そして肝臓は硬く、小さくなります。

肝臓が硬く小さくなれば肝臓の血管の抵抗も増し、肝臓に血を流す門脈という血管に圧がかかります。

ただそれだけでは肝硬変について理解するのは難しいと思います。

肝硬変について説明する前に大まかな肝臓の働きを説明させていただきます。

肝硬変では肝臓の働きに障害が起こることによる症状が出てくるためです。

肝臓の働き

肝臓は体内の恒常性(一定であること)を保つために、人体にとって必要不可欠な働きをしています。

主な働きは腸管から吸収された様々な栄養素を門脈という血管を通して吸収し代謝すること、毒素やアンモニア、薬物など人体において有毒な物質の分解・排泄を行うこと(解毒)、腸管からの異物や有害物などを肝臓の細胞が吸収・消化し除去する生体防御(免疫)、脂質の吸収に関わる胆汁酸を生成し、不必要なものとともに胆汁として排泄すること、アルブミンなどの体内で必要なタンパク質を作ることなどです。

この他にも老化した赤血球の除去なども行っています。

肝硬変とはどういうことか?(肝硬変の病態)

上記の肝臓の働きを踏まえて肝硬変とはどういうことかを簡単に説明しますと

  • 肝機能の低下
  • 肝臓の血流の変化
  • 免疫機能の低下による易感染性

ということが挙げられます。

これらを踏まえて肝硬変の症状を説明していきます。

肝硬変の症状

肝硬変は、肝機能がある程度保たれている代償期と肝機能障害が進行した非代償期に分けられます。

肝臓はある程度障害を受けても代償できる予備能を持っているため、代償期には症状はほとんどなく気づかなければそのまま経過してしまいます。

しかし非代償期になれば様々な症状が現れてきます。

上述の病態も踏まえますと、

肝機能低下によって、浮腫、腹水、胸水、貧血、黄疸、蜘蛛が足を広げたように血管が拡張するクモ状血管腫、手掌や親指、小指が赤くなる手掌紅斑、男性ならば女性化乳房などの症状を生じる可能性、重症化すれば肝性脳症という精神症状を生じる可能性があります。

肝臓の血流の変化によって、胃や食道に血の塊ができる胃・食道静脈瘤や腹部の表面の血管が膨れる腹壁静脈怒張、脾臓が腫れ上がる脾腫などの症状を生じる可能性があります。

免疫機能の低下による易感染性によって、腹腔の臓器の炎症や腸管穿孔がないにもかかわらず腹膜炎などの症状を生じる可能性があります。

肝硬変の罹患率

日本の肝硬変の患者数は約40万人と言われています。

男女比は5:3で男性が多いです。

肝硬変だけで死亡する患者は年間約1.7万人とも言われています。

肝硬変の原因

肝硬変の原因としてアルコールが取り上げられがちですが、日本においては肝炎ウイルス性の肝硬変が65%以上を占めています。

アルコール性の肝硬変は、日本においては約18%です。

ただし、近年ではウイルス性の肝硬変は減少しアルコール性など代謝性障害にようる肝硬変が増加しています。

この記事では、肝硬変の原因の大半を占めるウイルスとアルコールについて解説していきます。

ウイルス性

肝硬変の大きな原因となるウイルスはB型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスです。

肝炎ウイルスには他にA型、D型、E型肝炎ウイルスがありますがA型、E型肝炎ウイルスは感染しても一過性であるため持続感染はしません。

持続感染とは6ヶ月以上ウイルスが血液内に存在することをいいます。

つまり、長期に渡ってウイルスが肝臓に肝臓に住みついてしますことです。

また、D型肝炎ウイルスは日本で感染することは稀です。

B型肝炎ウイルス(HBV)

B型肝炎ウイルス(HBV)は肝硬変の原因の約12%を占めています。

主な感染経路としては針刺事故や輸血などの血液感染、性交渉、母子感染などがあります。

HBVは感染した時の健康状態によって一過性に終わることと持続感染するものに分けられますが、一過性で終わることが多いようです。

一過性に感染したのち急性感染を起こすこともあります。

急性肝炎になると全身倦怠感や食欲不振、悪心、嘔吐、褐色尿、黄疸などが現れ、非退けてば劇症肝炎化することもあります。

持続感染しやすいのは出産時あるいは3歳未満の乳幼児の感染です。

HBVが持続感染する中で10〜20%の人は慢性の増悪が進行し肝硬変に至ります。

C型肝炎ウイルス(HCV)

C型肝炎ウイルス(HCV)は肝硬変の原因の約53%を占めており、単独でも肝硬変の原因で一番頻度が高いです。

主な感染経路としては針刺事故や輸血などの血液感染です。

HCVは一過性に終わるよりも持続感染することが多く、感染すると約70%の人が持続感染します。

HCVは急性肝炎を起こすことはあまりありません。

アルコール性

ウイルスを除いた肝硬変の原因ではアルコールによるものが一番頻度が高いです。

アルコール性肝硬変は持続的な大量飲酒により肝臓に脂肪が蓄積される脂肪肝の状態から始まります。

その後、脂肪肝から慢性肝炎が起こってくると肝臓の組織が繊維化するアルコール性肝線維症となります。

そして肝臓が炎症と線維化を繰り返すと肝臓は硬く小さくなり肝硬変となります。

肝硬変の予防

肝硬変には上述したウイルス性やアルコール性のものに加えて、自らの細胞が肝臓の細胞を破壊して炎症を引き起こす自己免疫性や胆汁が詰まって起こる胆汁うっ滞性、肥満の人に多い非アルコール性脂肪肝性などの様々な原因があります。

その中で肝硬変を予防するためには自らの肝臓に異常がないか検査を受けることです。

肝臓の異常が解るためには最低でも血液検査を受けることが望ましいです。

1年に1回は血液検査を受けるようにしましょう。

また、血液検査だけでなく肝臓の超音波検査や画像診断を受けるのも有効です。

ウイルス性による肝硬変が最多ですからウイルスに感染しないようにすることも大切です。

感染予防のためには

  • 出血時には血液付着物の処置は個人で行う
  • 日用品を個人専用にする
  • 分泌物(唾液・鼻水)の始末と手洗いを進んで行う
  • B型肝炎など性交渉で感染するウイルスもあるので性交渉の際はコンドームを使用する
  • 予防接種(ワクチン)

予防接種に関して、HCVに対するワクチンはありませんがHBVに対するワクチンは存在します。

また、アルコール性の肝硬変を防ぐためにも過度の飲酒は禁物です。

その他にも肝硬変を予防するためには適度に運動することやバランスの良い食事、十分な睡眠をとることで脂肪肝のリスク、すなわち肝硬変のリスクを低下させることもできます。

肝硬変の治療法

肝硬変の総合的な治療方針には、主に肝繊維化に対する治療、合併症の治療、発がん対策、肝移植があります。

肝硬変・肝繊維化の治療

肝硬変・肝線維化の原因の治療を行います。

上述のように原因は様々ですがこの記事では主な原因となるウイルス性肝硬変とアルコール性肝硬変の治療について取り上げます。

ウイルス性肝硬変の治療

ウイルス性肝硬変の治療については上述したHBVによる肝硬変とHCVによる肝硬変に分けて説明していきます。

HBVによる肝硬変には核酸アナログ製剤が第一選択にされる場合が多いです。

核酸アナログ製剤はHBVの増殖を抑制する働きを持ちます。

HCVによる肝硬変に使用される薬はHCVの遺伝子型(ゲノタイプ)や患者の健康状態によりますので複雑です。

ひとつの例としましてはHCVのゲノタイプが1bで患者に重度の腎障害がない症例ではソホスブビルとレジパスビルという薬を第一選択にされる場合が多いです。

アルコール性肝硬変の治療

アルコールによる肝障害の基本は断酒です。

ポイントは節酒ではなく断酒であることです。

その他の治療法は補助的です。

禁酒するためには家族や断酒会などの自助グループの協力が必要です。

また、アルコール依存症が疑われる場合には精神科医や専門医への紹介が推奨されています。

それでも禁酒が困難な場合には抗酒薬や精神安定薬は処方されます。

その他の両方ではビタミンB群の投与により栄養障害の是正や他の疾患の予防を行うための薬物療法などがあります。

合併症の治療

上述しましたように肝硬変の合併症は多くありますので全て紹介することはできません。

この記事では腹部に体液が異常に貯留する腹水の治療について取り上げさせていただきます。

まず腹水や血液を採取し原因を特定します。

腹水治療では、食塩・飲水の制限、利尿薬の投与を行います。

必要に応じて、アルブミン製剤投与や腹水穿刺をして排液を行います。

ちなみに肝硬変による腹水は淡黄色です。

発がん対策

肝細胞がん(肝がん)の多くは肝硬変を経て発病します。

肝細胞がんの原因として最も頻度が高いのはHCV感染によるもので約60%を占めます。

またHBV感染によるものも15%を占めますので、肝細胞がんの4分の3がウイルス感染によるものになえいます。

ですから上述のウイルス性肝硬変の治療に加えて、3〜4ヶ月ごとに血液検査で腫瘍マーカー測定と超音波検査による画像診断を行い、発がん予防と早期発見に努めることが重要です。

肝移植

内科的治療では改善が見込めない場合や肝不全が進行している場合、肝移植が選択肢に上がります。

肝硬変患者に対する肝移植後の5年生存率は約75%と言われています。

ただし、肝臓のドナーが不足しているため希望しても必ず受けられるというわけではありません。

まとめ

肝硬変とは?→あらゆる慢性肝障害の最終地点。そのまま経過すると肝がんに進展する可能性がある。

肝硬変はお酒をたくさん飲む人の病気?→肝硬変の原因で最多なのはウイルス性。ただし、アルコールの接種しすぎで肝硬変を発症することは間違いない。

いかがでしたか?

ここまで肝硬変について説明してきました。

肝硬変はお酒を飲むことだけでかかる病気ではないことがわかりましたね。

この記事を通してみなさんの肝硬変に関する知識が深まれば幸いです。

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