
減量効果の非常に高い「糖質制限ダイエット」は大流行し、現在ではダイエットの主流となっています。
多くの方が実践し効果を出している一方で、効果が得られなかったという方もいるのではないでしょうか。
糖質制限ダイエットが失敗に終わった方は「やり方」が間違っていたのかもしれません。
間違った糖質制限ダイエットは、痩せないだけではなく逆に太ってしまう可能性があります。それどころか、健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、糖質制限ダイエットを行う際は正しい「知識」が必要です。
今回は【間違った糖質制限ダイエットで起こる健康リスク】と【安全な糖質制限ダイエットの方法】をお伝えしていきます。
糖質制限ダイエットは危険か?
糖質制限に関しては、「○kg痩せた!」という口コミが多く、糖質制限を薦めるダイエット本・健康本も数多く出版されています。
糖質制限の有効性を認める論文も数多く存在する一方で、その危険性を示唆する研究論文も存在します。
2013年に国立国際医療研究センター研究所が発表した〝糖質制限食による死亡リスク – メタアナリシスによる検証 –〟をはじめ、いくつかの論文で「長期的な糖質制限・少な過ぎる炭水化物では死亡率が高くなる」ということが報告されています。
安全性を示す研究論文は数多くありますが、炭水化物の摂取量が少なければ少ないほど良いという内容ではありません。
どんなダイエット方法でも言えることですが、極端に行うと必ず健康に悪影響を及ぼします。
糖質制限も過度に、長期間行えば健康に悪影響を及ぼし得るため注意は必要です。
しかし、適切な方法で一定期間行うのであれば、危険性は高くないと考えられます。
ロカボのようなゆるやかな糖質制限であれば、良い影響の方が多いでしょう。
間違った糖質制限ダイエットで起こる健康リスク
人間のエネルギー源である炭水化物の摂取を制限する糖質制限ダイエットでは、ただ炭水化物や間食等の糖質を控えるだけだと、摂取カロリーが不足しがちになります。
摂取カロリーが減るので、ダイエット開始直後から急激に体重減少する人も多いのですが、人間が活動していくためにはある程度のカロリー(必要摂取カロリー)が必要です。
単純に炭水化物(主食)などの糖質を極端に制限しただけの「間違った糖質制限ダイエット」を続ければ、確かに体重は減るかもしれませんが低血糖を起こし目眩やふらつきを起こしたり、疲れやすい・気力が湧かない、体力が低下するなどの悪影響を及ぼし得ます。
またカロリー不足の状況が長期間続けば、身体が飢餓状態になり、カロリーを摂取した際に効率よくより多くのエネルギーを吸収しようとしてリバウンドしてしまう可能性が高いです。
糖質制限を行うと、足りない糖質を肝臓や筋肉、脂肪を分解して作り出すため、適度に筋肉トレーニング等の運動を行なっていなければ、どんどんと筋肉も落ちていきます。この状態を放っておけば、体重は適正でも筋肉率の低い「隠れ肥満」になってしまうのです。
筋肉が減れば、もちろん代謝も低下するため逆に「太りやすい身体」になってしまい、ダイエットを辞めてしまえばリバウンドどころか開始前よりも太ってしまう可能性もあります。
また、ハードな糖質制限を行うと、体臭が「ケトン臭」という甘ったるい酸臭に変化する恐れがあります。これは、糖質不足の身体が糖を得るため肝臓や筋肉、脂肪を分解する際の代謝産物(燃えカス)であるケトン体が、血液と共に全身を巡るからです。
このケトン臭は良い匂いでは決してありません。どちらかというと悪臭と表現される方が多い匂いです。
体臭の変化を感じた場合は、糖質制限をハードにしすぎている可能性がありますので、もう少し糖質を摂取するようにしましょう。
正しい糖質制限ダイエットの方法
・ゆる糖質制限「ロカボ」のすすめ
健康のために糖質制限を行いたいのであれば、ゆる糖質制限の「ロカボ」をお薦めします。
ロカボでは一食で摂取する糖質量は20〜40gと 、間食の糖質量は10g以下と提唱しています。
一食あたりの糖質量を20~40g以下に、かつ1日の摂取糖質量を70~130gに抑えれば、一食何を食べても良いのです。
ロカボのポイントは「ご飯は毎食半膳」「おかずはたっぷり食べる(肉、魚はどんどん食べる)」「甘みは人工甘味料を活用する」の3つのポイントがオフィシャルサイトでは紹介されています。
ゆる糖質制限とは言っても、一食の糖質量を20〜40gに抑えるのは意外と大変です。
うどん一玉で糖質量は52.0g、コンビニのおにぎりも1つ40g程度の糖質が含まれます。
今までコンビニ弁当や、カフェのランチ、ラーメンなどをペロリと食べてしまっていた方は、このゆる糖質制限からはじめてみましょう。
・極端に糖質を制限しすぎない
前項でもお伝えしているように、極端に糖質を制限すると様々な健康への悪影響が出現する可能性があります。
特に低血糖になれば最悪の場合、意識が無くなり痙攣を起こすこともあり得ます。タイミングが悪ければ階段から転落したり怪我をしてしまう可能性もあり、非常に危険です。
・カロリーは多く摂取
糖質制限を行えば、カロリー不足に陥ってしまいます。おかずを多めに食べて、しっかりとカロリーを摂りましょう。
「お肉を食べすぎたら健康に悪いんじゃないの?」「お肉はカロリーが高すぎて太るに決まってる!」
と、野菜ばかり食べててはいけません。
脂質は糖の代わりに効率のよいエネルギー源となるため、積極的に摂取するべきなのです。
昔から、日本人は健康にとって脂質は悪者だと思ってきたため、脂質を摂取することに躊躇いを感じる人が多いと思います。
しかし、2017年に世界的医学誌「TheLANCET」に掲載された論文(※1)では、5大陸18カ国で13万人以上を対象に中央値7.4年間渡り追跡、分析研究を行い、
「炭水化物摂取量の多さは全死亡リスク上昇させる」
「総脂質および脂質の種類別の 摂取は全死亡リスクの低下と関連する」
という結果を発表しています。(トランス脂肪酸は未測定)
つまり、炭水化物の摂りすぎで死亡リスクは上がるけれど、脂質の摂取は死亡率を低下させるという、日本人には衝撃的な内容です。実は、厚生労働省も食事摂取基準からコレステロールの上限値を撤廃しています。
ダイエットの観点から言うと、必要カロリー以上に過剰にカロリーを毎日摂取していれば、もちろん太ってしまいます。
特に脂質はgあたりのカロリーが9kcalと高く(炭水化物と糖質は4kcal/g)カロリーの過剰摂取に繋がるため、ダイエットのためには脂質の過剰摂取には注意しましょう。
・バランス良く食べる
糖質制限を行なっていても、糖質の少ない食材を選びながら、色々な食材をバランス良く食べるようにしましょう。
糖質をとりたくないからと言って、ささみや胸肉、ゆで卵など決まったものばかり食べていては、栄養状態バランスの崩れを生じ、月経不順、免疫力低下、肌荒れなもを引き起こすかもしれません。
人間の身体はタンパク質や脂質だけではなく、ビタミンやミネラルも必要ですから、野菜や肉魚、海藻などバランスよく食べましょう。
主食以外の糖質量に注意
糖質を制限するために主食を控えても、我々の身近な飲み物、食べ物の中には糖質が含まれているものが多く存在します。
甘いもの、でんぷんの多いものは注意が必要です。
見落としがちなのが、調味料の糖質です。みりんや酒には糖質が多く含まれているため、使用を控えたり、糖質オフ製品を利用すると効果的です。
お酒を飲む方は、お酒の糖質量やカロリーも気にしましょう。
ダイエット中のお酒の選び方はこちらの記事を参考にして下さい。
主食をがまんしても、その他のものから多量の糖質を摂取していてはあまり効果が得られません。
食材や調味料、飲料の糖質量を把握して、摂取するものを正しく選択していきましょう。
まとめ
- 極端に糖質量を減らしたり、長期間に渡る過度な糖質制限は健康に悪影響を与える可能性あり
- 間違った糖質制限では、低血糖やケトン臭など体に異変を生じる可能性あり
- 間違った糖質制限では、リバウンドの確率高し
- ゆる糖質制限「ロカボ」が安全
- 糖質制限を正しく行うには、摂取カロリーに気をつけてバランスよく食べる。適度に糖質も摂取するべき
- 食材の糖質量を正しく把握し、食べるものを選択していく
※1: Dehghan, Mahshid, et al. "Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study." The Lancet 390.10107 (2017): 2050-2062.
参考文献
Noto, H., Goto, A., Tsujimoto, T., & Noda, M. (2019). Correction: Low-Carbohydrate Diets and All-Cause Mortality: A Systematic Review and Meta-Analysis of Observational Studies. PloS one, 14(2), e0212203.