「女性特有のがんである乳がんに詳しくなりたい」

「乳がんの予防法について知りたい」

本記事はこのような方のために書かれています。

女性特有のがんである「乳がん」は近年20〜40歳代の若い女性に増加しています。

本記事を通してみなさんの乳がんへの理解が深まれば幸いです。

乳がんとは?

乳がんは乳房の乳管や小葉上皮から発生する悪性腫瘍です。

乳がんに罹患する女性は年々増加しています。

日本人女性の罹患率はがんの中で第一位で、毎年約4万人の女性が罹患します。

日本人女性の20人に1人は乳がんになるといわれています。

乳がんの原因

乳がんの原因には主に以下の3つの要素が挙げられます。

  • 食生活の欧米化
  • 晩婚化・少子化
  • 遺伝因子

「遺伝因子」とは遺伝的に乳がんになりやすい人がいるということです。

「食生活の欧米化」と「晩婚化・少子化」も乳がんの発生に関わっていると言われています。

この2つの要素と乳がんの関係のキーワードは「エストロゲンにさらされる長さ」です。

エストロゲンとは女性ホルモンのことで、エストロゲンにさらされる期間が長いほど乳がんを発症する可能性が高いことが分かっています。

それでは3つの要素が乳がんの発生にどう影響しているのか解説していきます。

食生活の欧米化

食生活が欧米化するとエストロゲンにさらされる期間が長くなることが分かっています。

食生活の欧米化は女児に早期の初経をもたらすため早期からエストロゲンに曝露されることになるからです。

欧米の食事は糖分や牛や豚の赤身肉が多く含まれています。

糖分の過剰摂取はインスリンの濃度を高め体内のホルモンバランスを崩し女性ホルモンの過剰分泌を引き起こすといわれています。

米国の畜産農家には牛や豚の成長を早めるために、成長を促す物質を多く含んだ飼料を使用するところもあります。

そういったところの牛や豚は生後半年で親と同じ大きさになるそうです。

飼料の中に含まれる成分が女児の初経を早めている可能性があり、人生の早期の肉の過剰摂取はエストロゲンの暴露時間の増加に影響しているようです。

また初経年齢が早い人と同様に閉経年齢が遅い人も同様に乳がんのリスクが増加します。

閉経後は卵巣で作られるエストロゲンの量が大幅に減少します。

しかしエストロゲンは脂肪細胞でもわずかですが産生されます。

閉経後に肥満状態であればエストロゲン曝露時間が延長し乳がんの罹患率が上昇します。

晩婚化・少子化

晩婚化や少子化によりエストロゲン曝露時間が増加します。

晩婚化は初産年齢が上昇、少子化は女性1人あたりの妊娠出産回数の減少を意味しています。

妊娠中はエストロゲン曝露量が減少します。

したがって初産年齢の増加や妊娠数の減少でエストロゲンにさらされる期間が長くなり乳がんの発症リスクが上昇します。

遺伝因子

特定の遺伝子に変異などの異常がある場合乳がんの発症リスクが上昇します。

乳がんに関わる遺伝子として有名な「BRCA」という遺伝子があります。

BRCA遺伝子から作られるたんぱくにはDNAの損傷に対してその傷を修復し細胞のがん化を防ぐ働きがあります。

BRCA遺伝子の変異によってがん化する細胞が増加し、特に乳房で顕著となるため乳がんの発症リスクが増加します。

BRCA遺伝子の変異は親から子へ50%の確率で遺伝します。

変異があるのが男性である場合、本人は発症しづらいですがその子へと変異は遺伝する可能性があります。

BRCA以外のがん抑制遺伝子でも乳がんの発症に関わるものも多く存在します。

乳がんの予防

乳がんを予防するためにはどうすればいいのでしょうか?

上述の原因因子を踏まえながら以下のことに気をつけながら生活していくことが必要です。

肥満にならないための適切な食生活と運動習慣

上述したように肥満は閉経後の乳がんのリスクを上昇させます。

肥満にならにように意識して食生活を整えたり、運動したりしましょう。

アルコールの過剰摂取を控える

アルコール飲料が乳がんのリスクを増加させるのはほぼ確実のようです。

またアルコール摂取量が増えるほどそのリスクも上昇していきます。

飲酒はほどほどにしましょう。

禁煙

喫煙は乳がんのみならず様々な疾患のリスクを増加させます。

なるべく早い段階で喫煙する必要があります。

また受動喫煙も同様にリスク上昇の因子です。

乳がんの検査

乳がんが疑われたらまずは自己検診をしてみましょう。

自己検診で異常を感じたらすぐ外来を受診しましょう。

外来にて乳がんの疑いがある場合、現在主に行われる検査にはマンモグラフィーと超音波検査があります。

本記事では、自己検診、マンモグラフィー、超音波検査の概要を説明していきます。

自己検診

鏡に向かい腕を上げて乳房の左右差や変形がないかをチェックしてみましょう。

ここで乳頭の陥没や乳頭分泌物、皮膚陥凹、発赤があれば注意が必要です。

また指で触りしこりがないか確認しましょう。

これは立位と仰位で行います。

マンモグラフィー

マンモグラフィーは乳房を板の間に挟んで引き伸ばし撮影する方法です。

マンモグラフィーでは乳房を圧迫し薄く引き伸ばすときに痛みを伴いますが、圧迫することで乳房を固定し撮影しやすくすること、薄く引き伸ばすことなどで少ない放射線で済むことや病変が正常部で映らなくなるのを防ぐなどの意図があります。

マンモグラフィーでは乳がんと良性で治療の必要のないものを区別するのが難しいです。

マンモグラフィーで異常ありとなっても乳がんでない可能性もありますので、落胆せず医療機関で再検査をうけるようにしてください。

超音波検査(エコー検査)

マンモグラフィー検査は通常の乳腺も乳がんも白く映し出す一方、超音波検査は乳腺は白く、乳がんは黒く映し出すことができます。

超音波検査では放射線に被曝もなく、しこりが良性か悪性かを判断するのにとても有効です。

しかし、マンモグラフィーと比べると治療の必要のない良性の初見も見つけすぎる一面もあります。

マンモグラフィーと併用することでより多くの乳がんを発見することができます。

乳がんの治療法

もし乳がんになってしまったらどのような治療法があるのでしょうか?

乳がんの治療には主に以下の治療法があります。

  • 手術療法
  • 放射線療法
  • ホルモン療法(内分泌療法)
  • 分子標的治療薬
  • 化学療法

手術療法、放射線療法は乳房や特定の転移巣にのみ効果がある局所療法で、ホルモン療法、分子標的薬、化学療法は全身に作用する全身療法です。

乳がんの進行度により方針を決定し、腫瘍の特徴に基づいてこれらの治療法を組み合わせた集合的な治療を行います。

それではひとつひとつ解説していきます。

手術療法

手術療法には乳房を残す乳房温存手術と切り取ってしまう乳房切除術があります。

乳房温存手術

乳房温存手術は比較的早期のがんに対しての手術です。

乳頭や乳輪を残し乳房の変形を抑えること目標としています。

そのためがんは周囲の組織を含めて部分的に切除します。

乳房が残ることは美容的、精神的に重要ですので多くの方がこの術式を選択します。

乳房切除術

いわゆる「全摘」と呼ばれる手法です。

がんのある側の乳房を全て切除します。

がんが大きい時や薬物を使用しても縮小しない時、乳房に点在する時、家族性に発症しやすい人などに選択されます。

乳房がなくなってしまうので精神的、機能的にダメージのある手術かもしれません。

放射線療法

乳房温存療法などで乳房にがんが局所に残存して再発するのを防ぐために行います。

またリンパ節転移が陽性の場合、リンパ節郭清後に行うこともあります。

皮膚炎などの副作用もありますが、局所再発の可能性が大幅減ります。

乳がんは発がんと同時に目に見えない形で全身に微小転移を起こしている可能性が高く、乳房に留まらない全身病と考えられますのでこれから紹介する全身療法の重要度は高いです。

がんを完全に取ったり消滅させる局所療法に対し、全身療法はがんの再発縮小、再発の予防、延命・緩和を目標としています。

ホルモン療法(内分泌療法)

ホルモン療法は女性ホルモンであるエストロゲン依存によって増殖する乳がんに対して効果を発揮します。

ホルモン療法は女性が閉経しているかどうかで選択する治療薬が異なります。

閉経前

閉経前の方には主にLH-RHアゴニスト製剤を使用します。

LH-RHアゴニスト製剤は卵巣がエストロゲンを作ることを促す下垂体ホルモンを抑制します。

閉経前の患者に皮下注射することでエストロゲンの産生量を減少させ体内のエストロゲン濃度を低下させます。

閉経後

閉経後の方にはアロマターゼ阻害薬を使用します。

閉経後、卵巣のエストロゲン産生能は低下しますがエストロゲンは脂肪組織でわずかにですが産生されます。

この時エストロゲンの産生には脂肪組織に存在するアロマターゼという酵素が関わっています。

アロマターゼ阻害薬はこの酵素を抑えエストロゲンの産生量を減少させます。

分子標的治療薬

分子標的治療薬は生体内の特定の分子の機能を抑制することで効果を発揮する薬です。

乳がんの治療には主に抗HER2抗体薬とCDK4/6阻害薬があります。

抗HER2抗体薬

HER2は細胞増殖に関与している物質です。

HER2は細胞増殖のシグナルを受け取る部位でがん細胞では正常細胞より多くのHER2が発現しています。

そのためがんは無制限に増殖することで周囲の細胞を障害します。

この薬はHER2に結合し抗腫瘍効果を発揮します。

CDK4/6阻害薬

CDKとはサイクリン依存性キナーゼという物質で細胞増殖に関わっています。

正常細胞では無秩序な細胞分裂が行われないように細胞周期がコントロールされていますががん細胞ではCDK4/6といった物質が細胞周期を加速させどんどん増殖させています。

この薬はCDK4/6を抑制し抗腫瘍効果を発揮します。

化学療法

いわゆる抗がん剤治療です。

複数の薬剤を併用することが多いです。

乳がんの広がりに応じて術前、術後、遠隔転移の3つの場合に対して行われます。

またホルモン受容体陰性でホルモン療法が使用できない、HER2やCDK4/6陰性で分子標的薬が使用できない場合にも使用されます。

化学療法はがん細胞だけでなく正常細胞にも影響を与えるために脱毛や易感染性などの副作用が存在します。

まとめ

乳がんについて詳しくなりたい→乳がんは女性ホルモンの作用や遺伝子の影響で発症する。検査や治療法は多く存在するので医師と相談し自分に合ったものを見つけるのが良い。

乳がんの予防法→自分でできる予防法は肥満にならないための運動と食事、喫煙、アルコールの過剰摂取を避けること。

いかがでしたか?

以上乳がんについて解説しました。

乳がんは死亡率の高いがんではありません。

ただし、罹患することで乳房という女性のシンボルを失う可能性もあります。

この記事を通して乳がんの理解を深め、予防を意識して生活していただければと思います。

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