足の血管が浮き上がって瘤(こぶ)のようになる下肢静脈瘤に悩んでいる方は少なくありません。

皮膚のかゆみや炎症などによる不快症状だけでなく、美容の面からもなんとかしたいと思っている方は多いと思います。命に直結する病気ではありませんが、専門的な知識と技術を持っている医師に治療してもらいたいものです。

そこで今回は、大阪梅田に下肢静脈瘤の専門クリニックを開設されている、古林圭一先生にインタビューをしてきました。

古林先生は、心臓手術などの大血管手術から、閉塞性動脈硬化症といった末梢動脈疾患への手術まで行ってこられました。また、足の血管についても、動脈、静脈、リンパ管に限らず診察、治療を行ってこられ、血管外科の専門医として、深く、幅広い知識、技術、経験をお持ちです。

下肢静脈瘤は、どんな状態をいうのでしょう?

手足の静脈には、血液が心臓に戻りやすいように逆流防止のための弁がついています。

その静脈弁がうまく機能せず、本来心臓に戻っていかなければならない血液が逆流を起こすことで、皮膚に近い静脈が太く長く膨らんできて、瘤化した状態が静脈瘤です。そのほとんどは足に生じます。

特徴のある足の症状としては、血管が浮き出ている、血管がぼこぼこ膨らんでいる、皮膚が変色している、むくみやすい、だるい、痛い、かゆいといったものがあります。

他にもほてり、こむら返り、むずむず感、色素沈着(皮膚の色が黒っぽくなる)、湿疹といった多岐にわたる症状があらわれることがあります。

悪化すると潰瘍になる可能性があるため注意が必要です。

どういったことが原因で起こるのでしょうか?

出産、長時間の立ち仕事、力仕事をする女性に多いといわれますが、男女差があるかは定かではありません。

静脈弁が何らかの原因で機能不全に陥ると、静脈瘤ができやすくなります。

予防法を教えてください

基本的に予防法はありませんし、一旦静脈瘤ができてしまうと、治ることはありません。

症状の改善や悪化しないようにするためには弾性ストッキングという、専用のストッキングをはいてもらいます。

弾性ストッキングは、足に適度な圧力をかけることにより、余分な血液や水分がたまることを予防し、足の深部にある静脈への流れを助ける医療用のストッキングです。段階的圧迫法という技術によって、血液を心臓に戻しやすくするよう設計されています。

そのため、目指す効果を得るためには、正しく着用する必要がありますし、間違った着用方法では皮膚トラブルなどを招きかねません。

弾性ストッキングは通販でも買えますが、適切な圧をかけるためには、サイズや長さを合わせることが大切になります。

より体に合ったものを選ぶなら医療機関で弾性ストッキングコンダクターというプロに選定してもらうのが良いでしょう。当院にも4名の弾性ストッキングコンダクターが在籍しています。

下肢静脈瘤があると、痛みやかゆみ、傷ができやすくなりますが、そうした症状に対しては対症療法としても弾性ストッキングは使えます。

どのような治療法があるのでしょうか?

根治術は手術しかありません。

保険適用で実施できる主な治療法は、カテーテル治療で

・レーザー

・高周波

・グルー

の3種類があります。当院では患者さんによって適した治療法を選択します。

膝内側やふくらはぎ等から静脈にカテーテルを入れて、皮下を走行する表在静脈でもっとも太い伏在静脈をレーザーや高周波の熱で焼くか、のり(グルー)で固めるかで、血管(静脈瘤)を潰します。

熱かのりで障害を受けた血管(静脈瘤)には血液が流れなくなり、いずれは体に吸収されてなくなります。よって静脈瘤は根治できます。それまでそこを流れていた血液は他の正常な血管へと流れ、循環が良くなります。

最近の治療のトレンドは何ですか?

2011年にレーザー焼灼術が保険適用になったこともあり、最近はカテーテルによる焼灼術が増えてきました。当院ではほとんどがカテーテルによる焼灼術ですね。

あとは、1〜2mmの傷で血管を引き抜くstab avulsion法や注射で血管を固めてしまう硬化療法などを組み合わせて治療を行っています。

専門医はカテーテル治療を選択することが増えてきていますね。

治療による痛みはどれくらいですか?

痛みはほとんどありません。

強いてあるとすれば局所麻酔の注射時くらいでしょう。極細の針を使用していますので、それほどでもないと思います。

治療にかかる時間、通院回数はどれくらいですか?

手術時間は15〜30分です。その後休憩したら帰ります。日帰り手術で、入院の必要はありません。

通院は、手術後1週間以内、1〜3ヶ月、1年と経過を見せに来ていただいています。再発が0にはならないからです。

下肢静脈瘤の治療に来る患者さんはどんな年齢層や、職業の方が多いですか?

下肢静脈瘤の状態が悪い方には傾向があります。

立ち仕事の方、例えば料理人、美容師、先生といった職業の方は、皮膚潰瘍や皮膚炎など皮膚症状出てくる方が多いですね。

年間1000例くらいの手術をしていますが、治療を受けに来る方には若い方もいらっしゃいます。平均年齢は60歳くらいです。見た目も気にする時代であるためか、みなさん早く治療しようと考えておられるのかもしれません。

クリニックや先生を選ぶポイントはなんでしょうか?

下肢静脈瘤の治療は様々な治療科で行っています。治療の選択肢の幅を広げ、豊富な経験を望むなら、血管外科専門医を選ぶことをお勧めします。

また、下肢静脈瘤について治療の選択肢が幅広くて、あらゆる治療方法ができる医師がいいでしょう。2020年1月からグルーが保険診療になります。

グルー治療の場合は、カテーテル焼灼術と違って、熱で焼かないので体の負担がより少なくなります。いまのところ、全国で15施設くらいしかありません。もちろん当院もその施設に入っています。※2020年2月現在

静脈瘤を治療せず放置しておくと、見た目以外にどんなリスクがありますか?

まず多いのは皮膚症状です。皮膚炎、皮膚潰瘍が1〜2割くらいあり、その局所に痒み、痛みがでます。色素沈着がひどくなり、見た目も悪くなります。

次に血栓症です。これも局所が痛くなり苦痛です。ただし、エコノミークラス症候群と言われる様な深部静脈に血栓が進展することは稀です。

治療をされていてやりがいを感じるときはどんな時ですか?

患者さんに感謝いただいた時ですね。 下肢静脈瘤の治療をすることで、下肢がきれいになり、諸症状も消えるため大変喜んでいただけます。

大阪で下肢静脈瘤の治療を専門になさっていた先生は以前からおられますが、カテーテル治療を専門にやり始めたのは私が初めてですし、血管外科の専門医がやっている病院は大阪ではまだ少ないと思います。

他でもできない、症状が悪くなったという方の治療をうちで完結させる、最後の砦のような責任感もやりがいになっています。


インタビューにご協力いただいた専門医

梅田血管外科クリニック
古林 圭一 院長
〒530-0057 大阪府大阪市北区曾根崎2丁目1−12 国道ビル 5F
https://www.umeda-vvc.com/
TEL:06-6232-8601

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