新型コロナウイルスの流行により世界中が大混乱に陥っていますが、その裏でアメリカでは今、インフルエンザが大流行しています。

アメリカ疾病対策センター(CDC)は、今シーズンだけでアメリカのインフルエンザ罹患者数は2200万人を超え、1万人を超える死者が出ていると発表しました。(※1)

日本では、新型コロナウイルス流行により感染予防対策が徹底されていることが影響しているからか、インフルエンザの罹患率は例年より低く推移しています。

しかし、毎年国内で約1千万人がインフルエンザに感染し、インフルエンザの間接的な影響も含めた統計では国内だけで毎年約1万人に登る死者を出していると推測されています。(※2)

新型コロナウイルスに気を取られていますが、毎年これだけの罹患者と使者を出すインフルエンザを忘れてはいけません。

今回は、インフルエンザについて【特徴や症状】【検査方法】【予防方法】などを、お伝えしていきたいと思います。

インフルエンザの特徴

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスに感染し発症する気道感染症です。

普通の風邪と比べると重症化しやすく、特に乳幼児や恒例、免疫力の低下する疾患をお持ちの方などでは注意が必要な感染症です。

インフルエンザウイルスとは?

インフルエンザウイルスはA型、B型、C型の3種類に大きく分けられます。

例年流行を引き起こしているのは主に A型とB型です。特に世界的大流行を引き起こすのは A型が多いのですが、 A型インフルエンザウイルスと言っても実に100種類以上あり、感染を繰り返す中でウイルス自体が変化します。

そのため人体が新しいウイルスの種類・性質に対応できず、毎年のように流行を引き起こしてしまいます。

比べてB型は種類が少なく、ウイルスの変異もあまりないためA型のような爆発的流行を起こすことは少ないとされています。

インフルエンザウイルスの感染経路

インフルエンザの感染経路は主に2つです。

【インフルエンザの主な感染経路】

①飛沫感染:感染者のせき、くしゃみによって出る分泌物を吸い込むことによる感染です。せき、くしゃみをした感染者から、2メートル程度の距離にいる人は感染する可能性があります。

②接触感染:感染者の鼻水などの分泌物が、手やドアノブ、手すりなどに付着し、それを触った人の手を介することにより体内にウイルスが侵入する感染です。

インフルエンザの症状

インフルエンザに感染後、1〜3日間の潜伏期間を経て発症します。

高熱(38℃以上)、頭痛、筋肉痛、関節痛、全身倦怠感(だるい感じ)などの症状から発症し、続いて咳や鼻水、喉の痛みなどの症状が出現します。

普通の風邪に比べると、インフルエンザは急激に発症し、症状が強く重症化しやすいのが特徴です。

インフルエンザ流行期(12月〜2月)に、38℃以上の発熱がある場合にはまずインフルエンザを疑いましょう。

高齢者や乳幼児、持病のある方(呼吸器、循環器、代謝系疾患や免疫機能低下のある疾患)では重症化しやすく、入院治療が必要になったり死亡の危険があるため、上記の方は特に感染予防に努める必要があります。

インフルエンザの合併症

なぜ高齢者や乳幼児、持病のある方は重症化しやすいのかと言うと、合併症を併発しやすいからです。

高齢者では肺炎、乳幼児ではインフルエンザ脳症が危険性の高い合併症です。

○肺炎

高齢者は加齢により免疫力が低下していることに加え、インフルエンザにかかると気道粘膜が損傷するためウイルスや細菌の侵入を防ぐ防御機能が著しく低下した状態となります。

肺炎球菌などの菌やウイルスが簡単に肺の中へ侵入できてしまい肺炎を引き起こすのです。

また、高齢者では慢性的な持病をお持ちの方が多く、慢性的な呼吸器疾患、代謝系疾患、循環器疾患や糖尿病などでは合併症発症のリスクも高く重症化しやすいため、特に注意が必要となります。

肺炎は、現在日本の死因の第5位です。(※3)重症化すると、最悪死に至る可能性もあります。

肺炎を合併しないためには、まずはインフルエンザを予防することが先決です。

予防接種を行い、毎日の感染予防を徹底してインフルエンザを予防しましょう。もしインフルエンザになってしまった場合には、十分な休息をとり、適切な治療を行ってインフルエンザを早く治すことが肺炎合併予防のためには重要です。

肺炎合併のリスクの高い方には、あらかじめ予防的に抗菌薬が投与されることもあります。

インフルエンザ発症後、【3〜4日経過しても高熱が持続する】【一度解熱したが、再度発熱した】【咳や呼吸苦など呼吸器症状が重い】といった症状がある場合には、肺炎の合併が疑われるため、早めに医療機関を受診して下さい。

インフルエンザ脳症

インフルエンザ脳症とは、インフルエンザ罹患によって招き起こされる意識障害、神経症状を伴う症候です。インフルエンザが原因で脳が腫れ、脳圧が上昇するため脳機能の低下を呈します。

例年、100〜300人程度の罹患者が報告されており(※4)、特に小児に多い(特に1〜5歳に多い)傾向があります。

後遺症を残したり、最悪死に至ることもある怖い合併症です。(致死率は8〜9%、後遺症を残す確率は約15%との報告※4)

原因や機序はまだ明確になっていませんが、脳内に炎症を促すタンパク質が発生することで発症するということは解っています。

インフルエンザ脳症の初発症状は、意識障害(ぼーっとする、反応が薄い/無い)、けいれん、異常行動(幻覚、大声を出すなど)です。

インフルエンザ脳症の発症・進行は非常に急激で、通常、インフルエンザによる発熱後、数時間後〜1日以内に意識障害などの症状が出現します。

進行が急激なため、インフルエンザ発症後様子がおかしいようであれば早めに医療機関を受診しましょう。

この危険なインフルエンザ脳症を予防するのも、インフルエンザそのものを予防するしかありません。感染予防、予防接種を行いインフルエンザの予防に努めましょう。

インフルエンザの予防接種を受けていれば、もしインフルエンザにかかってしまっても、症状が比較的軽く済みます。インフルエンザ自体を重症化させないことは、インフルエンザ脳症発生の可能性を低くすることに繋がると期待されるため、予防接種は受けておくべきです。

インフルエンザの予防法

予防接種を受ける

予防接種をすることで、インフルエンザにかかる可能性が低下するだけでなく、もし発症してしまった場合には重症化を防ぎます。

免疫力を高める

疲れていたり、食事が不十分であると免疫力が低下してインフルエンザにかかりやすくなってしまいます。

 バランスの良い食事、十分な休息を心がけて生活しましょう。

感染経路を経つ

インフルエンザウイルスに接触するリスクを回避することが一番の予防方法です。

インフルエンザ流行期には人混みを避け、人混みに混じる時にはマスクを着用しましょう。

新型コロナウイルス関連の報道やネットうえ上で、「マスク着用は意味がない」という情報がありますが、マスクを着用していることで飛沫感染は防ぐことができます。

満員電車内などでは、他人の咳やくしゃみを浴びる可能性もあるためマスクは有効です。(飛沫粒子は2メートル程度飛びます)また、自分に咳などの症状がある場合にはエチケットとして着用するようにしましょう。

接触感染を防ぐためには、こまめな手洗い・アルコールによる手指消毒が重要です。

新型コロナウイルスの影響で、街でもアルコール消毒をする人を多く見かけるようになりましたが、正しくアルコールで手指消毒をできている方は多くないと思います。

ショッピングモールの入り口などでは、アルコール消毒材をシュッと少量付けて掌に広げているだけの方がほとんどです。

アルコール消毒は、概ねワンプッシュで適量(3ml程度)出るようになっています。ポンプをワンプッシュ押し切って、出てきた量で消毒しましょう。

適切な量を使用しなければ、除菌効果は得られません。(※5)

  また、手の甲や指先にも行き渡るようにすり込む必要があります。

インフルエンザの診断、治療方法

インフルエンザの検査は一般的に迅速診断キットで行われます。

長い綿棒のようなもので、鼻の奥や喉の奥から分泌物を採取して検査します。10分から15分で結果が出る、簡単な検査です。

この迅速検査キットは、発症後すぐでは正しい検査結果が出ないことがあります。発症後、12時間以上経ってから検査をした方が確実なため、少し時間を置いて受診した方が何度も検査しに行く必要がなくなります。

しかし、水分が取れない場合や、けいれんを起こしていたり、いつもと様子が違う場合にはすぐに受診しましょう。

抗インフルエンザ薬での治療は発症後48時間以内に開始することが推奨されています。48時間以内に、抗インフルエンザ薬を、使用すれば、発熱期間の短縮などの効果が期待できます。

抗インフルエンザ薬の他には、解熱剤や咳止めなどの症状を和らげる薬が処方されることが多いです。

処方された薬を飲み、安静にして食事も摂取できていれば、一週間ほどで治癒します。

まとめ

・インフルエンザによる死者は間接的な影響を含めた死者は国内だけでも年間1万人に登る。

・乳幼児、高齢者では重症化しやすく注意が必要。

・インフルエンザを予防する方法は主に①予防接種を受ける②免疫力を高める③感染経路を経つ の3つ

インフルエンザ予防策で、新型コロナウイルスも予防することができます。感染予防を徹底し、感染症から身を守りましょう。

※1米国疾病管理予防センター(CDC)HP:https://www.cdc.gov/flu/index.htm

※2 厚生労働省 新型インフルエンザ対策関連情報

※3 厚生労働省 平成 30 年(2018) 人口動態統計月報年計(概数)の概況

※4 インフルエンザ脳症の診療戦略(http://www.aichi-med-u.ac.jp/Pediatric_Lab/img/file5.pdf)

※5: 東知宏, et al. "擦式アルコール製剤の使用量および指先の擦り込みが除菌効果に与える影響の検討." 日本環境感染学会誌27.3 (2012): 183-188.

参考ページ

NID 国立感染症研究所HP

首都官邸ホームページ インフルエンザ対策

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