冬によく耳にする「ノロウイルス感染症」。誰でもなり得る感染症の一つですが、適切な情報や予防策を知らないという人は多いのではないでしょうか。

ノロウイルス感染症は、適切な対応を知っていれば怖い病気ではありません。原因を知り対策を行えば、自宅でも感染予防・拡大の防止を行うことができます!

そこでこの記事では、ノロウイルス感染症の原因や感染経路治療と予防方法感染拡大を防ぐ対処についてご紹介します。

この記事を読めば、ノロウイルス感染症への感染の可能性を減らすことができるはずです。ぜひ参考にしてみてください。

ノロウイルス感染症とは?

ノロウイルス感染症とは、ノロウイルスが原因となり「感染性胃腸炎」「食中毒」を発症することです。特に、感染している人の便やおう吐物にウイルスは多く、感染予防が重要になります。

感染しても健康な成人のほとんどは軽症のままです。しかし、幼児や高齢者では、重症化することがあるため、注意しなければいけません。

ノロウイルスの感染経路

ノロウイルスのほとんどは、「経口感染」で感染するといわれています。主な経路には、次のようなものがあります。

  • 患者の吐物や便が手に付き口に入る「二次感染」
  • 家族や友人など、ヒトから直接感染する「飛沫感染」
  • 食事を作る人が感染しており、その人が作った食事を食べる「経口感染」
  • ウイルスの多い二枚貝を十分に加熱しないで食べた場合
  • 十分に消毒されていないノロウイルスの多い水を飲んだ場合

これらのほとんどは、予防対策を行えば防げる感染様式です。特に最近では、食品を扱う人からの感染が多い傾向にあります。

発生しやすい状況や時期

日本においてノロウイルス感染症は、冬に発生しやすくなります。なぜなら、ノロウイルスは乾燥に強く湿度に弱いからです。そのため、湿度は十分注意しなければいけません。

冬の中でも、ノロウイルスは12月から1月にピークを迎えます。11月ごろから2月ごろまでの乾燥する時期は、適切な予防方法を行うことが重要です。

ノロウイルスは感染力が強く、少量のウイルスでも発症します。感染すると免疫力の低い幼児や高齢者は、重症化する恐れも。生活している環境に免疫力の低い家族がいる場合、特に注意しましょう。

ノロウイルス感染症の症状

ノロウイルス感染症の主な症状は以下の通りです。

  • 吐き気
  • 急なおう吐
  • 腹痛
  • 発熱(37度から38度程度)
  • 下痢(水溶性)

このような症状で、基本的には数日で完全に治癒します。潜伏期間はおよそ24時間~48時間で、感染して2日前後です。

激しい下痢やおう吐が出ることもありますが、軽い風邪の症状で治癒することも。人により症状の幅が広く、感染に気付かないこともある病気です。

「不顕性感染(無症状でも感染している状態)」でいつの間にか人に広げてしまう可能性があるため、症状がなくても気を付けなければいけません。

検査や治療法

主な検査は「問診による診断」「ノロウイルス抗原検査」です。根本的な治療や抗ウイルス剤がなく、主に対症療法を行います。詳しい検査や治療内容については、以下の通りです。

検査方法

  • 問診による診断
    多くの場合、症状や感染経路、状況などから問診で診断、診療が行われます。しかしウイルスかどうか、断定することはできない検査です。
  • ノロウイルス抗原検査
    患者の便の中にいるノロウイルスを検査します。年齢制限はありますが保険適用で、必要に応じて行われます。
    結果は早く得られますが、「感染していないこと」は断定できない検査です。

一般的にはこの2つの検査を行います。見ていただければ分かるように、確実に分かる検査はありません

より確実な検査もあるものの、一般的な医療機関では行えず、行政機関や研究機関などに限られます。

治療方法

治療方法についてはご紹介したように、根本的な治療がありません。そのため出る症状に対して、対症療法を行います。

症状に対する治療には、

  • 脱水症状…水分補給、点滴による輸液
  • 吐き気、おう吐…制吐剤や整腸剤などの薬物療法

このようなものがあります。下痢がひどい場合でも、下痢止めはあまり使用されません。便からウイルスが排出されるため、下痢止めを使うことは回復を遅らせる可能性があります。

ノロウイルス感染症の治療で最も重要なのは、水分の摂取です。経口補水液や輸液で水分を補給し、脱水にならないことが重要になります。

ノロウイルスの感染予防対策

誰からいつ感染するか分からないノロウイルス感染症。無症状の不顕性感染を起こすこともあり、予防策はとても重要です。

下記に紹介する対策を実施し、感染予防を行いましょう。

  • 二枚貝の加熱処理
    二枚貝にはノロウイルスが含まれていることも。そのため貝の中心まで85℃から90℃で、90秒以上の加熱が予防に重要です。
  • 手洗いうがい
    手洗いは、手に付いているウイルスを取り除く方法です。食事前やトイレ前後などで手洗いを行うことで、ウイルス自体を洗い流すことができます。うがいも同様で、口腔内のウイルスを洗い流すことが可能です。
    しかし、ウイルス自体を消毒するわけではありません。あくまで水で剥がし落とすイメージです。そのため、指輪の間や爪の間も十分に洗うようにしましょう。

日常的に行えるこれらの感染予防対策を行い、ノロウイルスにかからないよう注意しましょう。

子どもに対しても指導しながら一緒に行うことで、子どもの感染も予防することにつながります。

感染を広げない方法

もしも家族の誰かが感染症になった場合、感染を広げない対処を行わなければいけません。

しかしノロウイルス感染症には、アルコール消毒への耐性があります。そのためアルコールでは効果が薄く、他の方法による処理が必要です。

そこでここでは、汚物の処理からその他の処理について以下にとまとめていきます。

便やおう吐物の処理

便やおう吐物には大量のノロウイルスが含まれます。そのため、取り扱いには十分に注意しましょう。

効果的に消毒するには、次亜塩素酸ナトリウムや漂白剤が有効です。それらを準備し、処理する人以外は部屋の外に出てもらうなど避難させましょう。

  1. マスク、手袋、ゴーグル(眼鏡)を装着する。
  2. 捨てる予定の布や雑巾で、汚物をふき取る。
  3. ゴミ袋に布を入れ、捨てる。
  4. きれいに拭き取った床を、塩素系消毒剤で消毒する。
    (0.02%以上の濃度で)
  5. 消毒する際は、汚物があった場所を中心に。
  6. ウイルスは飛沫するため、広めに消毒する。

これら全ての手順で、手袋やマスク、ゴーグルは必須です。少しでも付着すると、簡単に感染しやすいため注意しましょう。

また、漂白剤などの取り扱いにも配慮してください。裏面に取り扱い方法があるため、それに沿って使用するようにしましょう。

衣類やリネン類の処理

汚物を処理したり感染した人が着ていたりする衣類も、ウイルスに汚染されています。そのため、衣類の処理も重要です。

そのまま洗濯機で洗濯することは、他の衣類や洗濯槽に付着するため避けるようにしてください。

  1. マスク、手袋、ゴーグルを着用する。
  2. バケツに水を入れ、汚れを洗い落とす。
  3. 塩素系漂白剤など(0.02%以上)の消毒液で、衣類を丁寧に消毒する。

この手順で行えば、ウイルスは不活化させることができます。自分を守るためにも、マスクや手袋などは徹底するようにしましょう。

食器類の処理

ノロウイルスに汚染されていると思われる食器類の処理は、次亜塩素酸ナトリウムが有効です。次亜塩素酸ナトリウムがない場合は、加熱で処理することもできます。

  • 次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合
    0.02%の次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)を用意する。(1Lに対し4ml)十分に洗浄した食器を、この次亜塩素酸ナトリウムで浸すように拭き取る。
  • 熱湯消毒の場合
    85℃以上の熱湯に1分以上入れる。(まな板や食器類、ふきん、タオルなど)

触った場所の消毒

触ってノロウイルスに汚染されている可能性がある場所は、適度に消毒を行います。消毒には塩素系の消毒剤を使用してください。

塩素系漂白剤は、手の消毒には不適切です。絶対に身体に使用しないよう注意しましょう。

使用する際は手袋を付け、水に薄めた(0.02%以上)塩素系漂白剤で拭きあげます。トイレ全体やドアノブは特に汚染されやすいです。そのため、こまめに消毒するようにしましょう!

適切な対策を行い、ノロウイルスの感染予防をしよう!

  • ノロウイルス感染症とは:ノロウイルスが原因で、「感染性胃腸炎」や「食中毒」を起こした状態。
  • ノロウイルスの症状や治療:主な症状は、吐き気・おう吐、下痢、腹痛、発熱。根本的な治療がなく、対症療法を行う。
  • 感染予防対策には:二枚貝の加熱処理と手洗いうがいが有効。習慣化が重要である。

この3点を押さえていれば、ノロウイルスへの感染の可能性を減らすことができるでしょう。ノロウイルスは感染しやすい感染症です。

そのため、感染予防に限らず広げない対処も重要になります。予防と対処を知り、適切な対応で感染拡大を防ぎましょう。

「看護師 油谷美久」

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