白内障

世界の失明原因の第一は白内障で、40%を占めています。

白内障は、高齢者のほとんどに発症するため、高齢化の進んでいる日本では、眼科医の行っている手術の85%が白内障手術です。

本記事では、誰もがなりえる白内障の原因、予防法、自由診療も含めた最新治療について紹介していきます。

白内障の主な原因は加齢

目の中には水晶体というレンズの役割をする透明な組織があります。

健康な目では、水晶体の細胞が整然と並んで透明な状態を保っているのですが、白内障は細胞の配列が乱れ、均一性が崩れ混濁した状態になります。

白内障の原因として最も多い原因は加齢によるものです。

50歳代で約40%、60歳代で約70%、70歳代で90%、そして、80歳代では100%白内障になると言われています。現代の医学では白内障を完全に予防することは出来ません。

加齢以外の原因としては、アトピー性皮膚炎、打撲などの外傷、糖尿病などの病気によって若年者でも白内障になりえます。

また、喫煙、紫外線暴露、放射線暴露も白内障を進行させる要因といわれており、ステロイド、痛風治療薬、向精神薬なども白内障を進行させる可能性があります。

予防の基本は健康的な生活を送ること

白内障の多くは加齢によるものですが、主な予防としては、適度な運動と健康な食生活、良質な睡眠などによって、アンチエイジングを図ることです。

日本白内障学会によると、以下の予防策が有効とされています。

禁煙

・糖尿病、高血圧、高脂血症、心血管系疾患などの疾病予防、白内障の原因となる薬物を摂取しないようにするために心身の健康を保つこと。

・抗酸化効果の高いビタミンを多く含む野菜や果物を毎日摂取する。食事で十分に摂取できない方は、マルチビタミンやルテインなども白内障予防に有効との報告があります。

・眼部の紫外線被ばくを避けること。

天気が良い日には帽子やサングラスによる眼部紫外線被ばくを予防しましょう。とくに朝晩や秋、春の紫外線はメガネの横から反射して眼部に入ってくるといわれています。つばの長い帽子やサイドからの紫外線対策効果のあるサングラス、紫外線カット効果のあるソフトコンタクトレンズが、眼部紫外線暴露の予防には有効です。

・目の打撲やケガでも白内障になるので、眼部の外傷を避ける。

・放射線、赤外線被曝をさける。

チェルノブイリなどの原発事故、原爆による白内障のみならず、心臓カテーテル治療を行う医師には白内障発症が多いことがわかっています。

症状は視力低下などさまざま

白内障によって視力の低下がみられますが、これは水晶体が濁ってしまうことによるものなので、メガネをかけても見えるようにはなりません。

加齢による白内障は、水晶体の中心が黄色くなってくるので、全体的に黄色く見えることがあります。

また、ものがかすんでみ見えたり、まぶしさ(羞明)が出たりすることがあり、健康な人ではなんともないような弱い光でもまぶしく感じることがあります。 夜間車を運転している際に、街灯やヘッドライトが通常よりもまぶしく感じる場合には、白内障の可能性を疑います。

さらに特徴的な症状として、ものがダブってみえる(複視)ことがあります。

点眼薬で進行を遅らせる

 白内障の主な原因は加齢ですので、一旦進行してしまうと、現代の医学では元に戻すことは出来ません。日本では白内障の進行を抑制するための点眼薬として、ピレノキシン点眼薬(商品名:カリーユニ、カタリンK)、グルタチオン点眼薬(商品名:タチオン)があります。

最近の研究では、白内障の早期には点眼薬が有効であるという報告もみられます。

しかし、これらの点眼薬では、一旦進行してしまった白内障を治すことはできません。よって進行した白内障の治療は手術が選択されます。

白内障手術は最も多く実施されている外科手術

白内障の手術は、濁った水晶体を取り出して、代わりに人工のレンズを移植します。水晶体は、透明な袋(水晶体嚢)と、その中身から構成されています。

白内障で濁るのは、中身なので、先ず、袋(水晶体嚢)に窓を開けて、中身を取り出し、残った窓の開いた水晶体嚢の中に眼内レンズを固定します。

白内障手術は、国内で年間140万症例もされている、最も多い外科手術のひとつです。

白内障手術は、一般の眼科クリニックでも行われており、45%は日帰り手術です。

手術は一般的には局所麻酔を使用し、特に問題がなければ10~20分と短時間で終了します。 ただし、加齢や目の外傷、ある種の眼疾患のある方は、難易度が高くなり、手術時間が長くなることもあります。

健康保険適応の白内障手術費用はおおよそ決まっていますが、健康保険の制度により、ご本人の本人負担割合は異なりますし、年収による高額療養費制度による上限が定められており、支払額は異なります。また、入院するか、日帰り手術にするかの選択によっても費用が異なります。

先進医療や自由診療の選択肢も

健康保険が適用される白内障手術では、単焦点眼内レンズという種類眼内レンズを使います。これは、遠方か近方かのいずれかにピントを合わせることができるレンズです。

例えば、遠方が見えるようなレンズを挿入した場合には、車の運転などは眼鏡なしでも可能になりますが、新聞や本など近くの字を読みたい時には老眼鏡が必要になります。もちろん、これだけでも生活の不便は非常に改善されますが、生活スタイルに合わせてどちらに焦点を合わせるかを選ぶ必要があります。

しかし、2008年7月に先進医療として承認された多焦点眼内レンズであれば、遠方と近方にピントを合わせることが可能になります。

多焦点眼内レンズは、2か所もしくは3か所にピントが合うため、眼鏡が不要、もしくは使用頻度を減らすことが可能となります。

デメリットは、先進医療なので自己負担費用が跳ね上がることです。もちろん生命保険の先進医療特約が使えますので、対象の方は検討する価値があるでしょう。

また、多焦点眼内レンズは、眼の中に入ってきた光を2つに振り分けてしまうため、単焦点眼内レンズより、見え方の質が劣ってしまう可能性があります。よって、カメラマンなど見え方の質にこだわりを持っている方には向かない場合があります。

生活スタイルや仕事、価値観なども、眼内レンズを選ぶ際の重要な要素になるということですね。

さらに、国内未承認の三焦点眼内レンズや分節型多焦点眼内レンズを使用した治療もありますが、これは自由診療となります。 これらのレンズは、海外では普及していますが、国内では厚労省の承認を得られていません。遠方、中方、近方の3つの焦点に合わせられるなど、より自然に近い形で見えるように改良されています。 。

また、これも自由診療になりますが、レーザーを使用した白内障手術も導入されています。従来の白内障手術でも、熟練した術者が行う限りは十分に安全な手術ですが、より安全で、正確に手術することが可能になります。

特に多焦点眼内レンズを使用する場合は、レンズの固定位置が特に重要となるため、パフォーマンスを最大限に発揮できるようなレーザー手術の方がより確実といえます。先進医療で使用可能な多焦点眼内レンズを使用する場合には、民間保険の先進医療特約が使えます。

まとめ

・白内障は水晶体の濁りによって起こる疾患であり、視力低下や、かすみ、まぶしさといった症状があらわれる。

原因の多くは加齢によるものだが、アトピー性皮膚炎や糖尿病、喫煙、ある種の薬剤によっても引き起こされる。

・予防策としては、禁煙や紫外線対策、白内障の原因となる疾患の予防、抗酸化効果のある食材の摂取などがあげられる。

・進行を抑制する点眼薬はあるが、一旦進行した白内障を治療するには、手術をする必要がある。

・手術は、濁った水晶体を取り出して、代わりに人工のレンズを移植するもので、国内では年間140万件も実施されており、安全で日帰り手術も可能である。

・最新の多焦点眼内レンズは先進医療で認められているものがあり、自由診療ではレーザーを使ったより安全で確実な手術も行われている

参照文献】

http://www.jscr.net/index.html.日本白内障学会.2020年2月5日閲覧

http://www.jscrs.org/.日本白内障屈折矯正手術学会.2020年2月5日閲覧

http://www.nichigan.or.jp/index.jsp.日本眼科学会. 2020年2月5日閲覧

http://www.asahi-net.or.jp/~PD2K-NIM/index.html.白内障と白内障手術.2020年2月5日閲覧

看護師 古川正造

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