
「内視鏡検査って?」
「健康診断のレントゲンじゃダメなの?」
「バリウム検査とどっちを選べばいいの?」
など、人間ドックでよく聞く内視鏡検査ですがわからないことも多いですよね。
さて、どのような人が内視鏡検査を選択すれば良いのでしょうか?
この記事では、内視鏡検査について詳しく紹介していますので読めば答えが見つかります!
1.内視鏡検査とは?
1.1 概要
内視鏡検査は、先端に内視鏡と呼ばれるカメラをつけた細く柔軟性のあるチューブを使用し、カメラのモニターを見ながら消化管内を直接観察する検査です。
内視鏡検査をする目的は消化管の病気を早期発見、治療することです。
事前準備では安全のため、全身状態や感染症の有無を把握するため、採血、尿検査、心電図検査を行います。
また検査前日は消化に良いものや、病院指定の食事を取る必要があります。検査当日は絶食です。
加えて、検査後は消化の悪いもの、脂っこいもの、刺激の強いものは2、3日控えることを推奨されています。
1.2 内視鏡検査の種類
内視鏡検査は、検査する部位によって大きく以下の4つに区分されます。
上部消化管内視鏡検査
上部消化管内視鏡検査とはいわゆる「胃カメラ」です。口または鼻から内視鏡を挿入し、上部消化管(食道、胃・十二指腸)を観察します。
胸焼け・腹痛・食欲低下・貧血などの原因を調べるために、上部消化管で潰瘍や炎症、腫瘍などが発生しているかを診断します。
その際に、組織の一部を採取することや内視鏡下で腫瘍を切除することも可能です。
通常検査は5〜10分で終了します。
痛みの緩和のために喉の麻酔を使用します。場合によっては、緊張を和らげるために鎮静剤を使用したり胃の動きを抑えるための鎮痙剤を使用します。
下部消化管内視鏡検査
下部消化管内視鏡検査とはいわゆる「大腸カメラ」です。大腸と小腸の一部を観察するために肛門から内視鏡を挿入し、ポリープやがん、炎症などがあるか診断します。
その際に、組織の一部を採取することや内視鏡下で腫瘍を切除することも可能です。
下部消化管内視鏡検査の特徴は検査当日に下剤を約2L飲むことです。下剤によって何度も排便し、便が綺麗になった状態で検査可能となります。
通常検査は10〜20分です。
場合によっては鎮静剤を使用することもあります。
腸内を観察しやすいように内視鏡から空気が出るため、検査後はお腹が張ってくるのでガスをどんどん出すことが重要です。
小腸内視鏡検査
小腸は長いため、これまで内視鏡で観察することが困難でしたが、現在では以下の二つの方法で小腸の中を観察することができます。
- 小腸カプセル内視鏡検査
薬のカプセルよりも少し大きなカプセル内視鏡を飲んだ後、カプセルが消化管の動きによって、徐々に進みながら撮影を行います。カプセル内視鏡は、毎秒2〜4枚ずつ撮影を行います。これを患者の腰に巻きつけておいたデータレコーダーが記録していきます。
組織の一部を採取したり、腫瘍を切除することはできません。
検査は7〜8時間で、撮影した後テープレコーダーは回収となりますが、検査の間でも自由に行動することができます。
カプセル内視鏡は、消化管の運動で最終的には肛門より排泄されます。
- ダブルバルーン内視鏡検査
ダブルバルーン内視鏡検査とは、内視鏡のチューブに二つのバルーンをつけて交互に膨らませることで小腸を固定し、尺取り虫のように小腸の奥まで内視鏡を進める方法です。
小腸を観察して、炎症や潰瘍などの有無を判断し出血性病変や通過障害、小腸特有の病気を診断することができます。
また、その際に組織の一部を採取したり、内視鏡下で腫瘍を切除することが可能です。
検査時間は1〜2時間ですが、入院が必要となります。
入院の理由は、鈍痛を感じる可能性が高く予め鎮静剤や鎮痛剤を注射することが決まっているからです。
胆・膵内視鏡検査
胆嚢や膵臓を検査する内視鏡として挙げられるのは、超音波内視鏡検査(EUS)です。
EUSはスコープの先端に超音波を出す装置がついた特殊な内視鏡を口から挿入し、胆嚢・胆管・膵臓を観察するものです。
体外式の超音波検査よりも鮮明な画像を得ることができます。
発見される主な病気として、膵癌や慢性膵炎、嚢胞性疾患、胆道がん、胆石などがあります。
EUSでは、鉗子孔と呼ばれる穴から細い針を出し、組織の一部を採取することも可能です。
検査時間は15〜30分です。
検査時には上部消化管内視鏡検査と同様に、痛みの緩和のために喉の麻酔を使用します。場合によっては、緊張を和らげるために鎮静剤を使用したり胃の動きを抑えるための鎮痙剤を使用します。
2.他の検査との比較
2.1 健康診断のレントゲン検査ではダメな理由
レントゲンはX線という電磁波を使用して像を写し出します。
X線で映し出すことができるのは、水、脂肪、ガス、金属に分類される4つの濃度のみで
単純X線写真では、水濃度は白く映りガス濃度は黒く映ります。
例えば肺内には空気が存在しているので黒く映りますが、肺が真っ白になってしまったら胸水や無気肺、肺炎などを疑うことができます。
しかし、それ以外の病気の場合は他の臨床データがなければ判断することができません。
消化管も同様でガスがあるところは黒く、そうでないところは白く映ります。
つまり単純X線だけでは臓器の詳細なデータを知ることが難しいのです。
消化管の詳細なデータを得るためには、内視鏡検査またはバリウム造影をするのが望ましいです。
2.2 バリウム検査
ではバリウム検査とはどんな検査なのでしょう?
バリウム 検査は、内視鏡検査と同様人間ドックでよく行われ、正式には消化管造影といいます。
検査前にバリウム(正しくは硫酸バリウム)を服用し、先述のX線で消化管を映し出します。
硫酸バリウムにはX線をよく吸収する性質があるからです。
消化管造影は、上部消化管造影と下部消化管造影があり、前者は硫酸バリウムを経口で服用、後者は肛門から細いチューブを挿入しそこから硫酸バリウムをいれて、造影します。
バリウム検査も内視鏡検査と同様に食事制限がついたり、検査中に胃の動きを抑える鎮痙剤を使用します。
2.3 内視鏡検査とバリウム検査の比較
まずは内視鏡検査とバリウム検査のメリット・デメリットを比較してみましょう。
内視鏡検査
メリット
- 小さな病変の発見に役立つ
- 病変そのものを確認できる
- 診断の確定ができる
- 被曝の影響はない
- ピロリ菌などの菌類やアニサキスなどの寄生虫を発見できる
デメリット
- 経口の場合、咽頭反射を起こしやすい(嘔吐感)
- 麻酔が必要な内視鏡検査では検査時間が長くなる
- 麻酔薬によるアレルギー反応を起こす可能性がある
- 消化管内を傷つけて穿孔や炎症、出血等を引き起こす可能性がある
- バリウム検査に比べて費用が高い(上部消化管内視鏡検査の場合15,000〜20,000円程度)
バリウム検査
メリット
- 全体の把握が可能
- 侵襲が少ない
- 内視鏡検査に比べて費用が安い(上部消化管造影の場合10,000円程度)
デメリット
- X線による被曝がある
- 小さな病変を見つけるのには不向き
- 平坦な病変の検出は不向き
- 異常が見つかった時は、内視鏡検査をすることになるので二度手間になる
- バリウムの味が苦手な人が多い
- 発泡剤を飲むためゲップを我慢する必要がある
- バリウムが便秘を引き起こす可能性がある
内視鏡検査を選択した方が良い人とは?
メリット・デメリットを踏まえて、内視鏡検査を選んだ方が良い人とはどんな人なのでしょう?
現在は内視鏡検査、バリウム検査共に推奨されていますが、症状の有無や病気の進行度、予算等を含め検討していくと以下のような人は内視鏡検査を選択した方が良いでしょう。
- 一度の検査でより精密な診察を受けたい人
- 家系に消化管疾患を持つ人がいる人
- お腹が痛い、食欲がない等の症状がある人
- ピロリ菌などの感染歴、除菌歴がある人
3.まとめ
・内視鏡検査とは、先端に内視鏡と呼ばれるカメラをつけたチューブを使用し、モニターを見ながら消化管内を直接観察する検査のこと。
・健康診断のレントゲンではダメな理由は、レントゲンだけでは消化管の詳細なデータを得ることができないため。
・内視鏡検査を選択した方が良い人は以下のような人である。
- 一度で検査でより精密な診察を受けたい人
- 家系に消化管疾患を持つ人がいる人
- お腹が痛い、食欲がない等の症状がある人
- ピロリ菌などの感染歴、除菌歴がある人
いかがでしたか?
以上、内視鏡検査について解説いたしました。
昔から消化管の検査といえば、バリウム検査でした。
しかし、現在は内視鏡検査の方が得られるデータも多く、胃がんなどの早期発見には内視鏡検査が向いています。
ぜひ人間ドックでは内視鏡検査を選択してみてはいかがでしょうか。