連日、新型コロナウイルスの報道がされています。不安に思っている方も少なくないと思います。

この記事では、新型コロナウイルスの拡大状況、新型コロナウイルスの原因ウイルスであるコロナウイルスについて、予防法などについてお伝えしていきます。

予断を許さない状況ですが、正確な情報を入手し、冷静な判断で感染対策をしていきましょう。

真偽不明の情報があふれている

「実際には、感染者は10万人いる」、「中国政府が情報を隠蔽している」、「生物兵器が漏れた」など、SNSを中心に真偽不明の情報があふれており、マスクが高騰するなど新型コロナウイルスに対する不安が高まっています。

たしかに、感染者は確実に増加していますし、日本国内を始め、世界中で感染者が発生している状況であり、決して油断はできない状況です。世界保健機関(WHO)も1月30日に緊急事態宣言を表明しましたが、これは、中国国内だけでなく、世界中で感染者が発生してきたためです。

しかし、 SNSやインターネットの発達した現代では、容易に偽情報が広まる危険が高くなっています。 このような偽情報を信じ、パニックにならないよう、公式情報を確認し、冷静に行動していくことが何より大切になります。

コロナウイルス自体はありふれた風邪の原因ウイルス

実は、普段私たちが風邪をひいたとき、原因ウイルスがコロナウイルスであることが多いです。国立感染症研究所によると、風邪の10~15%(流行期は35%)はコロナウイルスが原因であり、子どもは6歳までに感染を経験します。多くの場合軽症ですが、まれに高熱を出すことがあります。

つまり、風邪の3割はコロナウイルスが原因であり、私たちは普段からなじみのあるウイルスであるといえます。

では、どうして、そんなウイルスで大騒ぎになっているのでしょうか。

SARSやMERSもコロナウイルス

2002年に流行したSARSは中国広東省で発生し、香港を中心に8096人の患者を出し、うち774人が死亡しました (Summary of probable SARS cases with onset of illness from 1 November 2002 to 31 July 2003.WHO) 。高い致死率を示しましたが、死亡した人の多くは高齢者や、心臓病、糖尿病等の基礎疾患を前もって患っていた人でした。 SARSの原因ウイルスは、キクガラシコウモリを宿主とするコロナウイルスであったと報告されています。

また、2012年には中東のサウジアラビアでMERSが発生し、2019年11月30日までに2949人の感染者が報告されており、うち858人が死亡しています( Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) .  WHO)。大多数の人は、感染しても軽い呼吸器症状あるいは不顕性感染で済んでいますが、やはり、高齢者や基礎疾患をもつ人に感染した場合は重症化すると考えられています。2015年に韓国で起こった感染拡大では、中東から帰国した一人の感染者から186人に伝播しており、感染力は高いといえます。MERSの原因ウイルスはヒトコブラクダが宿主だとされています。

いま流行している新型コロナウイルスは、このSARSやMERSの原因ウイルスとも違う種類のコロナウイルスなのです。

ヒトになじみのある種類とは違うコロナウイルスが流行っているのが近年の課題といえます。

グローバル化が一層進み、膨大な人や物が世界中を移動するようになっています。そのため、かつてであれば、一部地域に限局していた感染が、世界中に広まるリスクが高まっています。また、森林が切り開かれ、地方の都市化が進んだことで、これまでならあまり触れることのなかったウイルスに曝露しやすい状況にもあります。

人口10億人を抱え、世界中に人々が移動する中国が発生源であることで、感染が世界中に拡散するのではないかという不安が高まっているともいえます。

拡散力はインフルエンザ程度

状況は流動的で、現段階で絶対こうだということはいえません。

しかしながら、いま分かっている情報からは、ただちに慌てる必要はないと考えられます。

なぜなら、新型コロナウイルスの拡散力はそれほど高くはないからです。拡散力とは、一人の感染者が他の人に伝染させる割合で、基本再生産数と呼ばれますが、WHOの試算では、1.4~2.5とされています (Statement on the meeting of the International Health Regulations (2005) Emergency Committee regarding the outbreak of novel coronavirus (2019-nCoV).WHO) 。

つまり 1人の感染者いた場合、その人が、1.4人~2.5人にうつしてしまう可能性があるということです。

毎年流行するインフルエンザの基本再生産数は2~3なので、インフルエンザと同程度といえます。

致死率は2%!?

現段階での新型コロナウイルスによる致死率は約2%です。この数字は 2月3日現在の患者数(17362人)と死亡者数(362人)から算出しています( 新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年2月3日版).厚生労働省)。季節性のインフルエンザの致死率は0.1%以下ですので、こう聞くとかなり高いと思われるかもしれませんが、このデータは暫定的なものですし、無症状の人も多いことから、検査体制が充実してくることで、今後低下する可能性があります。

また、中国の医療制度は日本ほど整っていないこともあり、致死率を高めているようです。あくまでも現時点での評価ですが、たとえ、日本で感染が拡大したとしても、同じような致死率になる可能性は低いと考えられます。

さらに、SARSやMARSにも、新型コロナウイルスにも言えることですが、死者の中には高齢者や糖尿病、心臓疾患などの基礎疾患をかかえ、体力や免疫力が弱っている人が多いのも特徴です。現在闘病中の人は特に注意が必要ですが、一般の健康体の人は必要以上に恐れる必要はないでしょう。

ちなみに、日本国内においては、2018年人口動態統計によると、インフルエンザによる死者は3325人となっています。新型コロナウイルスによる国内死亡者は現在0人です。

私たちが現在注意すべきは、インフルエンザ対策であるともいえるでしょう。

インフルエンザと同等の予防策を心がけよう

厚労省によると、基本的には、風邪やインフルエンザと同じ予防策が推奨されています。

つまり、一般的な衛生対策として、咳エチケットや手洗い、うがい、アルコール消毒などを励行することです。(新型コロナウイルスに関するQ&A 令和2年2月4日時点版.厚生労働省)

店頭からマスクがなくなっており、不安に思われている方も多いと思いますが、マスクの役割は、咳やくしゃみで飛び散る飛沫(しぶき)を防ぎ、他人に感染させないことが主な目的なので、症状がなければ必ずしもつけなくても構いません。

しかし、相手の飛沫を浴びるのを防いだり、自分が知らずに感染を起こしていた時に人にうつすのを予防できる可能性はありますので、外出時はマスクも着用した方が望ましいでしょう。

手洗いの励行は非常に重要です。

手は無意識に色々なものを触っています。

ウイルスの付着した手で物を食べたり、口や鼻を頻繁に触ったりすると、感染を起こしやすくなります。

もちろん、野生動物や家畜に安易に触れないことも大切です。

人から人に伝染するケースも報告されていますが、今のところ家族や医療関係者、あるいはバスなどの密室で感染者と長時間過ごした人に限られています。

治療法は対症療法のみ

今のところ、ワクチン開発には成功しておらず、有効な治療法も確立していません。したがって、発症したとしても対症療法しかありません。

風邪症状がみられ、新型コロナウイルスを心配して受診しても、一般の病院では検査ができません。

もし、発熱や咳など気になる症状があり、なおかつ中国の武漢市への訪問・滞在歴があったり、武漢関係者や感染者と濃厚接触していたりすれば、いきなり受診するのではなく、事前に医療機関や地域の保健所に連絡の上、指示に従ってください。

そうでなければ、基本的には、さきほどあげた予防策を習慣化するとともに、規則正しい生活を送り、しっかりと睡眠時間をとって、免疫力を下げないように心がけましょう。

まとめ

・新型コロナウイルスの流行によって真偽不明の情報が拡散しているが、パニックにならず、正確な情報と冷静な対応を心がける。

・コロナウイルス自体は、一般的な風邪の原因ウイルスであり、新型コロナウイルスはなんらかの動物由来の種類の違うコロナウイルスが原因と考えられている。

・グローバル化や都市化の進展によって、こうした新型ウイルスによる感染はこれまでも散発している。

・新型コロナウイルスによる拡散力はインフルエンザ程度で、致死率も高くはない。

・治療法は対症療法のみだが、健康な人はインフルエンザ予防策と同等でよく、手洗いを励行することが重要である。

看護師 古川正造 

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事