近年、がん治療の分野で海藻類に含まれる「フコイダン」という成分が注目を集めています。現在がん治療中の方は、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

今回は、注目を集めているフコダインの効果注目を集めている理由について、現役看護師である筆者がわかりやすくお伝えしていきます。

フコイダンについて知ることで、より効果的ながん治療を行うことが可能になるでしょう。

フコイダンの効果

フコイダンとは、もずくや昆布などの海藻類のぬめり成分に含まれる多糖類で、水溶性の食物繊維の一種です。

1996年の第55回日本癌学会でフコイダンの抗がん作用が報告され、医療業界から大きな注目を集めました。

注文されるフコイダンの優れた作用は、以下の3つです。

  • がん細胞のアポトーシス誘導
  • 血管新生抑制
  • 免疫力活性化

この他にも美肌作用、抗酸化作用、抗菌・抗ウイルス作用などがあります。

がん細胞のアポトーシス誘導

フコイダンの代表的な働きはアポ トーシス誘導作用です。

私たち人間を構成する細胞は、新陳代謝によって常に新しい細胞が生まれれば、古い細胞は死んでいき、健康が保たれています。

正常な細胞は、ある程度古くなってくると自滅するように元々プログラムされています。

このように細胞が「自滅していく作用」を、アポトーシスと言います。

がん細胞には、このアポトーシス作用がありません。古くなっても、ほとんど死ぬことなく増殖・転移して身体を蝕んでいきます。この、やっかいながん細胞を自滅に追い込む作用があるのが「フコイダン」です。

フコイダンはどうやって、がん細胞のアポトーシスを誘導するのでしょうか?

そのメカニズムは、まだ解明されていない部分もありますが、多くの研究・データ解析結果から、フコイダンが細胞の自殺スイッチを刺激して自滅に追い込むと推定されています。

フコイダンはすごいことに、正常な細胞には影響を与えず、がん細胞のみアポトーシスを誘導する画期的な作用を有しているのです。

血管新生抑制作用

がん細胞は増殖・転移していくために多くの栄養を欲しがります。通常細胞と同じく、がん細胞も血液から栄養を取り込むのですが、より多く栄養が欲しいがん細胞は、自ら血管を作り栄養を確保しようとするのです。フコイダンはがん細胞に新しい血管を作らせないようにする作用があると報告されています。

がん細胞に新しい血管を作らせないようにすることで、がん細胞の増殖や転移を阻止することができるのです。

免疫活性化作用

フコイダンには免疫細胞を刺激し て、その数を増やし、免疫システム 全体を活性化する「免疫力賦活作用」があります。人が持つ免疫機能とは、体内に侵入・発生した異物を攻撃して排除する機能です。

がん細胞も異物ですので、この免疫機能ががん細胞を排除しようと働きます。

しかし、免疫力が低下していると、がん細胞をやっつけたり、増殖を抑制することができません。そのため、がんの治療・悪化予防においては、免疫機能は重要となります。

なぜフコイダンががん治療で注目されているか?

補完代替医療として

 がんの治療には多くの選択肢がありますが、近年、注視されている のが統合医療です。統合医療は、標準治療と補完代替医療の両方を取り入れて、統合的なケアをしていく医療のことを言います。

  ●補完代替医療…標準治療への追加(補完)もしくは標準治療の代わり(代替)として用いられる治療法。これらの医療行為は、一般に標準的な医学的アプローチとは考えられていない。標準治療が長期にわたる慎重な研究過程を経て安全かつ有効であることが証明されている一方、camでは不明な点が多いものが大半を占める。camの例としては、栄養補助食品、ビタミン剤の大量服用、ハーブ製剤、健康茶、鍼療法、マッサージ療法、磁気療法、霊的な癒し、瞑想法などが考えられる。「cam」とも呼ばれる。

PDQ®がん用語辞書より

      ●統合医療…西洋医学による医療と代替医療を合わせて患者を治療することである。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

中でもフコイダンを用いた補完代替医療は、多くの臨床例と医学的な根拠があり、高く評価されています。

副作用を軽減する

がん治療で行われる抗がん剤と放射線治療は、がん細胞と正常細胞を区別することなく攻撃し、活 発な細胞分裂に障害を与えるため、分裂の盛んな正常細胞はダメージ を受けやすくなります。

特に細胞分裂が盛んな骨髄内、消化管、生殖器、毛根は影響を受けやすく、 副作用という新たながんの脅威を もたらします。

 抗がん剤とフコイダンを組み合わせると、抗がん剤の副作用が軽減されるというケースが多数報告されています。

例えば鳥取大学医学部と海産物のきむらやとの共同研究では、抗がん剤投与中倦怠感を示したフコイダン投与非対象者は10人中6人であったのに対し、フコイダン投与対象者については、10人中わずか1人であったとの報告されており、データ上フコイダン投与者の副作用軽減が確認されています。

抗がん剤使用時の副作用を軽減できれば、がん患者の体力の低下を防ぐことができ、よりがん治療を有効にうけることが可能になります。

フコイダンの優れた作用との相乗効果 

九州大学の研究では、がん細胞に抗がん剤とフコイダンを加え、がん細胞がアポトーシスを起こす割合を調査しました。結果は、フコイダンを加えていない場合に比べ、フコイダンを加えた場合では2倍以上のアポトーシス誘導が確認されたのです。

すなわち、抗がん剤とフコイダンを併用することで、抗がん剤の効果を強めることができるということです。

高分子フコイダンと低分子フコイダン

フコイダンとは、糖が10個以上連なってできた「多糖類」です。あまりに分子が大きすぎると吸収されないのではないかとして、本来分子量が数百万程度あるフコイダンを分子量を少なくした「低分子フコイダン」というものがあります。

しかし、フコイダンががんに効くメカニズムの最も主要な説として、腸に存在する免疫スイッチ、消化されないままたどり着いた高分子取り込まれることで免疫機能が活性化して、がん細胞の増殖を抑えることと言われています。 

フコイダンの抗がん作用は、フコイダンが高分子であるが故なので、分子量は高い方が効果的です。

まとめ

  •  フコイダンの効果: がん細胞のアポトーシス誘導.血管新生抑制.免疫力活性化
  •  フコイダンが注目される理由:補完代替医療として副作用を軽減させるほか、抗がん剤との併用で相乗効果を得ることができる

がん細胞に対して多 面的に働きかけるフコイダンは、 通常の治療と併用することで、患者方の大きな助けになります。ご自身または、ご家族、ご友人で、がん治療を行なっている方がいらっしゃれば、試してみてはいかがでしょうか。

参考ページ

特定非営利活動法人 統合医療と健康を考える会(https://www.tougouiryou.jp/)

海藻由来酵素消化 低分子化フコダインの抗腫瘍効果を中心とした研究(http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/crt/fe/index.html)  

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